<2000.08.17 K.Kotani>開発費用のページにようこそ

鉄腕アトムの開発費用・その後


2004.9.1 一部追加。

2018.1.2 一部追加。


 科学省長官の天馬博士は一人息子の飛雄くんを溺愛していたが、飛雄くんは天馬博士が誕生日に買ってあげたおプラモデルのエアカーに乗って事故を起こし事故死、

半狂乱にになった天馬博士は科学省で死んだ飛雄くんの代わりに日本の科学技術の粋をつくしたロボットを製作、トビオ(区別のためカタカナで表記します。)と命名して自宅で息子として育てる。しかし、ロボットのためいっかな成長しないトビオに腹を立てた天馬博士はトビオをサーカスに売り飛ばしてしまい、自らも行方不明になってしまう。
 やがて後任の科学省長官となったお茶の水博士はサーカスからトビオを取り戻し、アトムと命名して、お兄さん(マンガでは弟)コバルト、妹ウラン、お父さんお母さん(名前不明)を作って上げる。(アニメでは後日赤ちゃんロボットチータンが弟として加わる。)
というのがアトム誕生のあらすじですが、これ、おかしくない?
 つまり、科学省で作ったアトム(トビオ)は国費で作られている以上、国家財産であるはずで、科学省長官といえども勝手にサーカスに売り飛ばしたりはできないはず。そもそも自宅に連れ帰るのもおかしい。科学省で作ったというアトムの設計図は科学省に保管されており、これを盗み出して二十万馬力版のアトムを悪党が製作したというエピソードがテレビシリーズにもマンガにもある。(このアトムは出力過剰で番組の最後に大気圏外で爆発)また、ロボットが年をとらないとおかしいと18歳版のアトムを作ったマッド・サイエンティスト(本当の意図はオリジナルアトムのボディを盗み出し、悪用する事)にオリジナルアトムが悪用され、

18歳版のアトムにこっぱみじんに粉砕された際、科学省にオリジナルアトムからそっくり模造した予備のアトムのボディが保管されていて助かったというエピソードもある。
 この他テレビシリーズでは人気者のアトムを主人公にした映画が製作されているというエピソードがあり、その主役用のアトムの役をしているロボットは外見はアトムそっくりだが、廉価版のため性能はさっぱりで、飛ぶシーンではロープでつるというていたらくで、見かねたスタジオ見学に来ていた本物のアトムが替わりに出演すると、敵のロボットも超廉価版で木っ端みじんになってしまい、撮影にならないという話もあったが本題とは関係ない。
 また、アトム一家は誰も働いておらず、現金収入はないはずなのに、東京都内に広い庭付き一戸建ての家を持ち、エネルギーその他を入手している。強いて言えばアトムが小学校に通う合間に各地の探検を手伝ったり、火星調査隊の隊長をしたりして給料をもらっている(その気配はないが・・・・・・)としか言いようがない。もしくは科学省から「生活保護」のように生活費を出してもらっているのだろうか。この時代の多くのロボットは働いて給料を得ているようなのだが・・・・・・。もしくはアトムは子供なのでお茶の水博士が 保護者になっており、アトムのその他の家族はアトムのさらに扶養家族なのかも知れない。
 実は、「アトム今昔物語」では、開発費用に対する回答が示されている。アトム開発に際し、相当の実力者であった天馬博士さえもアトム開発費用の予算がとれず、というのは超高性能世界一のアトムは開発費も膨大な額にのぼり、とうてい国費では支出できないという事になったのである。ところが、とある個人が、完成の暁にはアトムを一日だけ貸すという条件で開発費をポンと出し、民間出資・技術は国(科学省)提供でアトムの製作が始まった。

この出資者完成後にはアトムを何か悪い事にでも使うのかと思ったら、意外と善人であり、完成後のアトムも7つの超能力の一つ善人悪人見分け能力を使って、「この人いい人です。」と言っている。そして、アトムに世間のいろいろな所を見せて、ロボットと人間の関係について考えるように言ってそのまま去ってしまう。民間出資であれば、技術的には国有であるが、もの自体は天馬博士個人のもの(?)になるのか、とにかく天馬博士はアトムを公然と自宅に連れ帰り、サーカスに売り飛ばしてしまうのである。
 さて、お茶の水博士がその後サーカスからアトムを引き取ることになるのだが、実は若き日の貧乏ロボット研究家お茶の水青年は、スリル病院というボロボロのヒゲオヤジのやっている病院の地下室を借りてロボットの開発をしていた。その時にアトムを見ているのである。タイムスリップしたアトムは昔(つまり今)の東京で大事故に遭遇、ロボット工学の三原則に従い人間を救おうとするが、そのままでは正体がばれてしまうためお茶の水青年の作ったロボットの外殻を着て救助活動を行う。お茶の水青年は殻だけのロボットが動くのを見て仰天するが、さすが未来の科学省長官だけあって、いままで人間の子供と思っていたアトムがロボットだったと直感、後でアトムを問いただし、ロボットであることを白状させる。この後アトムは飛んで逃げ、ベトナムで村を爆撃から救ったあとエネルギー切れとなり、数十年後掘り出されるまで眠り続ける事になる。
 本物のロボット、それも人間と見まがうばかりの精密なロボットを見たお茶の水博士の衝撃は相当のものであったはずで、その後ロボット工学から離れてしまったのならともかく、順調に立身出世を重ね、科学省長官にまで昇りつめたのだから、若い日のこの出来事を忘れるはずもない。
ところが物語が順調に進み、過去からやってきたアトムが新しく作られたアトムと入れ替わるため自爆し、新しいアトムが生まれてサーカスに売られ、それを引き取った時、博士はかっての若き日に見たロボットと同じロボットとは思わなかっただろうか。そもそもアトム開発自体が当時ロボット関係者の間では相当のニュースだったはずで、アトム開発時には相当の地位にあったはずのお茶の水博士が「あのロボットではないか」と考えないはずがない。
 すべてを知っていてなにくわぬ顔をしていたとも思えない。
 また、アトムはテレビシリーズ最終話では太陽に飛び込んで自爆している。

タイムスリップしたアトムはほぼ時間を一周してアトム完成時まで戻り、そこで自爆して新しいアトムに生命を受け継がせている。新しいアトムは数十年後またタイムスリップして現代に戻り、時間を一周してまたアトム完成時まで戻り、そこで自爆するはずである。つまりタイムスリップした時点より未来にアトムは存在せず、太陽に飛び込んで自爆した後にはタイムスリップしようがない。
 アトムがタイムスリップしてしまった事により、歴史が変わってしまったのかもしれない。アトムが過去に去った世界はそのまま続き、アトムがやってきた世界はそこで方向を変え、アトムはタイムスリップせず、地球を救うため太陽に飛び込んで自爆する。アトムが過去に去った世界ではお茶の水博士は過去にアトムを見ていないので、そのままアトムをサーカスから引き取ってほとんどのテレビ・マンガシリーズの世界をアトムと共に生きる。アトムがやってきた世界ではお茶の水博士はアトムを過去に見ているが、この世界のアトムのその後の物語はテレビシリーズ最終話「地球最大の冒険の巻」だけなのではないか。

この件に関し投稿をいただきました。

「鉄腕アトム」のコーナーがあるのを見つけて非常にうれしく思いました。その後についてですが、TVアニメ最終回で太陽に突入したアトムは、その三ヶ月後の産経新聞に継続され、いなご型宇宙人に助けられて地球へ帰ってくるのです。しかし、超光速を使った為に当時の昭和43年の日本に到着してしまうのです。昭和50年のサンコミックスの単行本になるときアトム今昔物語として話を合わせる為に冒頭部分を書き換えたのです。つまりアトムは太陽突入はしましたが自爆しておらず話のつじつまは合うのです。

という事ですが、別の漫画では半分溶けたアトムが宇宙人に救われて強化改造されるという話もありました。またまたつじつま合わせがむつかしい・・・

「アトム今昔物語」を再読した所、お茶の水博士の所で助手をしていたアトムが姿を消して24年後に姿を現したおりに、直接会った訳ではないが、「あのロボットだ。」と、「未来から来たんじゃないか。」お茶の水博士が気がつくシーンがある。その後この未来から来たアトムは消滅してしまい、天馬博士が新しいアトムを作り、結局お茶の水博士が引き取る事になるのだが、その時にはこの「昔の未来から来たアトム」の話はしていない。あまりに話がややこしくなりすぎるので、あえて触れなかったようである。

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