2006.11.13 K.Kotani>
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 04
毎月読める日本で唯一の自主アニメ情報誌
月刊近メ像インターネット
2006年11月13日
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 04
日本のアニメーション上映と技法解説
技法説明
1.墨絵アニメ
描画アニメの一バリエーションで、毛筆で和紙に作画する。中国では水墨画のアニメーションも制作されている。
紙は水墨画用の竹入鞍馬(たけいりくらま)という和紙をずっと使っていたのですが最近は麻紙(アサガミ)(水墨画用)を使っています。
墨汁は最初の頃は開明墨汁だったのが、墨絵用の玄宗(げんそう)という
墨汁になり、最近は硯ですって描いてます。
硯ですると、やっぱり色がうすーい青が入っていて、それが凄く綺麗で
目からウロコが落ちてしまった・・・!
(横須賀令子さんより)
2.立体置き換え
少しずつ違った形のものを置き換えてコマ撮りする。昔はジョージ・パルの映画タイトルに使用され、「パペトーン」とよばれた。人形アニメとしてはなめらかな質感のある動きが表現できるが、数百・数千の人形を制作しなければならないので、大変な費用と時間がかかる。
最近ではディズニーの「ナイトメアビフォアクリスマス」に使用された。保田克志氏のNHKの連続シリーズ「ロボットパルタ」にも顔の置き換えと言う形で使用されている。
3.切り絵アニメ
色紙などを切り抜いたものを位置をずらしたり置き換えたりしてコマ撮りする。世界の巨匠・ユーリ・ノルシュテインの一連の作品などは典型。
撮影台の上で直に動きをつくりながら撮影するので、少人数による長期制作と言う形がふつう。岡本忠成・川本喜八郎の「注文の多い料理店」では、「限りなく切り紙アニメに近いセルアニメ」という手法が採用された。
材料の質感が生かせる、アート・アニメーションの代表的手法。
4.テレシネ
アニメーションの技法ではなく、フィルムで制作した映像をビデオに録画する事を言う。映画のビデオソフトなどはほとんどこれ。再撮影という事になるため画質はフィルムを直接観賞する場合に比べて落ちるが、ビデオカメラで直接撮影したものとは質感が異なる。
フィルムは家庭用のビデオカメラに使われているCCDに比べてラチチュードが広く、質感表現に優れているため、適切に撮影してプロ仕様の高性能CCDを使ってテレシネするとビデオにない表現ができる。
5.CGアニメ
コンピュータを使って制作した絵をコマ撮りしたもの。以前は番組タイトルなどに3DのCGグラフィックスを使ったものなど、明らかにわかるものが大半であったが、「ジェラシックパーク」などの様にほとんど実写と区別のつかない特撮映画や、デジタルペイントされたテレビアニメのように普通のセルアニメと区別のつかないものが登場し、現在制作されている映画の大半にはどこかにわからない形でCGが使われている。現在の自主制作アニメーションも一見切り紙であってもCGであったりする。
現在はいかに「CGに見せない」かという事が課題となってきている。CG固有のぎらりとした質感が嫌われたり、CGの得意な自由自在なカメラ移動と言うテクニックがあまりに安易に多用されてあきられたりした結果、「手作り」に近い質感を出した上で、CGの多機能性・省力性という特徴を活かして制作するという流れが出てきている。
NHK プチプチアニメについて
NHK教育テレビで、毎週月-金の午前8時25分と午後4時から放送されている5分間のアニメーション番組。内容は、海外の短編シリーズ(現在は「カペリート」と、「KOKI」の粘土アニメ)や、内外の一流作家や新進の作家を起用してオリジナルの作品を制作・放送している。「いないいないばあ」と「おかあさんといっしょ」の間にはさまれており、子ども向けの内容ではあるが、粘土・人形・砂・CG・野菜・墨絵・水彩画など、さまざまな技法が使われている。
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