2006.11.13 K.Kotani>
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 05
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月刊近メ像インターネット
2006年11月13日
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 05
平面アニメーションの立体表現
元々平面である絵画を立体的に見せるテクニックは、昔から試されてきた。
・絵自体を立体的に描く
・影をつける
・遠近法で描く
遠近法 遠くにあるものは小さく、近くにあるものは大きく描く。
初期のアニメーションでは、背景も動画も一枚の紙に描き込まれていたため、奥に向かって歩く人物は固定位置におき、奥から手前に道ぞいの木などを大きくしながら移動させる事で立体的に表現を試みている。
ディズニーのマルチプレーンシステム
短編アニメ「丘の風車」でテスト、「白雪姫」で実用化され、「ピノキオ」で技術的にほぼ完成する。
複数の絵をカメラからの距離を違えて配置し、カメラを動かす事によって遠近感を強調する。
絵画への写真的遠近法の取り入れ
ピントのぼけの活用
写真では一点にしかピントは合わない。近くは強くぼけ、遠くはややぼける。この効果をマルチプレーンを活用して利用する。
映画的遠近法 カメラの移動 左右の移動
パン カメラは固定の位置にあり、方向を変えて別のものを写す。
フォロー カメラを方向を固定したまま、左右に移動させて別のものを写す。
パンとフォローでは、効果が違う。
パン 主人公が同じ位置からいろいろ観たように写る。
フォロー 主人公が移動している。マルチプレーンで使用すると、立体的効果があがる。
映画的遠近法 カメラの移動2 前後の移動
ズーム・イン(アウト) カメラは固定位置にあり、レンズの焦点距離を変え
てものの写る大きさを変える。
トラック・イン(アウト) レンズの焦点距離は固定したまま、カメラの
位置を前後させてものの写る大きさを変える。
マルチプレーンを使用して立体効果を出す場合は、フォロー・トラック・インアウトを使用する。
トラックインとズームインの違い ズームインはカメラに写っているものが一様に大きくなるが、トラックインは近くのものは急速に大きくなり、遠くのものはそれほど大きくならない。
マルチプレーンへの挑戦
フライシャー兄弟の立体背景
絵の背景に代えて、立体のミニチュアの背景を作り、その手前にセルを立てて撮影した。
マルチプレーンは一枚一枚の絵は平面の為、左右に移動しても形はかわらないが、立体背景は左右に移動すると形が立体的に変わる。
・面と面の間の立体的距離感はマルチプレーンの方が良くでた。
・立体背景に合わせての作画が大変。
後継者なく、技法は消滅したが、近年3DCGで立体的な「背景」として復活している。
なぜ「立体的」に表現するのか
・一連の宮崎アニメにおける「飛翔感」の表現
・ディズニーによる「模倣」の試み
現在
・仕上げ・撮影のデジタル化により、マルチプレーン撮影台が事実上消滅、アマチュアにも技法が解放された。
・3DCGアニメの高精度化
・デジタル化された人形アニメ「トイ・ストーリー」 ・正確無比な背景動画(通常背景と同じクォリティを実現)
・劇場映画では、従来の特撮を駆逐して、実写とほとんどみわけの
つかないCGアニメが使用されている。
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