<2006.10.15 K.Kotani>「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 18


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2006年10月15日

「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 18




人の動きを表現するという事

 人間にとって最も興味あるものは人間だった。従ってアニメーションの初期から最近にいたるまで、ほとんどのアニメーションに人間が登場する。

 ディズニーのアニメーションには多くの動物が登場するが、多くの動物は動物でなく、「動物の形をした人間」として描かれている。たとえばミッキーマウスは洋服を着て二本足で歩き、自動車を運転する。ミッキーマウスの友人にはグーフィというのがいるが、これは犬であるが決して犬の動きはしていない。しかしミッキーマウスの飼い犬(!)のプルートはやや人間的な表情はするが、立派な犬であって、四つ足で歩きワンワン吠えしっぽを振ってははあはあ口をあけて息をする。ミッキーのガールフレンドのミニーにいたってはなんと「猫」を飼っていたりする。
 ドナルドダックもガアガア鳴くが立派な人間である。しかしドナルドの宿敵チップとデールは立派なリスである。しかし同じく宿敵、三人(三羽でなく)の甥っこは人間の子供として表現されている。

 日本でも、戦前・戦争中のアニメから、動物を擬人化して表現する事は広く行われてきた。
 宮崎駿がかかわったTVシリーズ「名探偵ホームズ」においても、登場人物全員が犬である。しかしまったく犬の動きはしておらず、犬の姿をしている必然性はまったくない。主人公が下宿している家主のマリー・ハドソン夫人にいたってはなかなかの「美人」である。ところが盗まれる名画の「モナ・リザ」はなぜか犬でなかったりする。そのへんをついたマニアの間では、これは「犬の惑星」であって、人間が滅びた後に犬が進化して出来た「犬人」が世界を支配しているのだという冗談もあった。
 虫プロ最後のTVシリーズ「ワンサくん」では、犬は犬として描かれている。しかし犬どうしのシーンでは人間の言葉を話してコミュニケーションしている。が、そこに飼い主があらわれるとワンワンとしか聞こえないという芸の細かさが興味深い。

 その他、キノコ、電気スタンドなど、生命の有無にかかわらずありとあらゆるものが擬人化されて表現されている。

 日本特有の「巨大ロボットプロレスアニメ」においても、兵器であるはずの巨大メカが人の形をしていて、その弱点がなんと「目」だそうである。最近マニアの方が1/1や1/3のロボットを作っていてその非実用性がうかがわれる。

 人の動きの表現

 人間の動きは一様でない。例えば「歩き」

 幼児の歩き 幼児は神経/筋肉/骨格が未発達で、バランスをとるのが難しく、体全体を使ってよちよちと歩く。ころびかけるとパタンと倒れてしまう。

 子供の歩き 幼児に比べてスムースだが、まだ未発達ではある。ただし体重に比べて筋肉の発達が進んでいることが多く、階段を急いで降りる時など、転げ落ちるように見える事がある。

 青年の歩き 骨格/筋肉/神経とも発達し、もっともバランスがとれた時期。ただし歩くスピードに比べて体力が余っているため、ゆっくり歩いている時など、だらだら見える事がある。

 成人の歩き 青年期に比べてパワーは落ちているが、無駄なく歩いているため、青年に比べてきちんとあるいているように見える。

 老人の歩き 体力は衰えているが、気持ちが先行しているため、ゆっくり歩いていても急いでいるように見える事がある。



人間の気持ちの表現

A地点にいる人間がB地点に移動する

1.そのまま、一定速度で移動する。特に感情を込められていない場合。



2.最初ゆっくりと接近し、B地点にあるものを止まって確認し、急速に加速して
B地点に移動する。B地点に何があるか分かっていない場合、B地点に何があるか確認し、確認が出来てから大慌てで接近するケース。



3.A地点からB地点まで急速に移動しB地点の手前で急に減速し、ゆっくりと接近する。B地点に何があるか分かっていて急いでいかなければならないが、B地点の手前まで来てB地点にあるものが予想外のもの(本人にとって都合の悪いもの)であった場合。



 人間の気持ちの表現は、そのような状況になった場合、自分がどう行動するか考えて、オーバーめに表現するのがよい。芝居や映画の俳優の演技は大いに参考になる。ただし芝居の演技は舞台という場所の性格上過剰ぎみに演じられる事が多い。またテレビドラマでは歌手やタレントなど基本的に演技のあまりできない人を使う関係上、本人の性格そのままの役を演じている事が多い。

感情の表現

 人間の感情は、多く、顔の表情で表現される。特に日本のアニメでは目の表現が強調される事が多く、海外で「日本のアニメのキャラクターの目はなぜあのように巨大なのか」と驚かれる事がある。



動きによる感情表現

 体を震わせる 怒り、恐怖、悲しみなどの表現で用いられる。怒りの場合は、拳を握りしめる、恐怖の場合は体をすくませる、悲しみの場合はうなだれる、というポーズと組み合わせて使われる。



 体の緊張を緩める 喜び、安堵などの表現で用いられる。喜びの場合は緊張で縮こまっていた体をのばして解放するようなポーズをとり、安堵の場合は不安で緊張していた体の力が抜けへたりこむような感じになる。




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