2006.09.23 K.Kotani>
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 22
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月刊近メ像インターネット
2006年09月23日
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 21
粘土アニメーションを作る
アニメーションの2区分
アニメーションの制作方法はおおまかに2つに分ける事ができる。ひとつは、少しずつ違った形のものを沢山作ってカメラの前で置き換えていく方法、もう一つは形の変わるものをカメラの前に置き、少しずつ形を変えて撮影する方法である。
前者にはペーパーアニメ、セルアニメなどの2次元系のアニメの大半が含まれる。また、後者には人形アニメ、粘土アニメなどの3次元系のアニメが多いが、ジョージ・バルのパペトーンの様に少しずつ形の違ったパーツを沢山用意して置き換える事により動きをつくり出す人形アニメも有り、一概に区分はできない。
また、ノルシュテインの切り紙アニメのように、位置をずらす事とパーツの置き換えを同じに行う方法もあり、セルアニメでは、「北斗の拳」で、セル画をカメラの前で手でくしゃくしゃにするという乱暴な方法がとられたりした事もあった。
この2つの方法の一番の違いは「後で正確にやりなおせる」のか、「一からやりなおしになる」かの違いである。セルやペーパーでは、一度撮影した後結果を見て動画を足したり引いたりして再撮影することもできる。
立体や粘土のプロの撮影現場では、この点を補うため、「ランチボックス」という簡易コマ撮り機を使用し、今撮影している動きを確認しながら撮影している。このランチボックス、使い勝手は良いのだが、何十万円もする上に画質が作品本体を作るには少し粗いという面もあり、アマチュアではほとんど使用されていない。
粘土アニメーションの素材について
カメラの前で撮影するアニメーションの場合、必要とされるのは、「形が簡単に変えられる事」と、「撮影している間はその形のまま動かない」事である。例えば普通のひもでは、立体的にたてておく事ができないが、針金であればその形のままたてておく事ができる。
粘土はこの条件をよく満たしているが、直径1ミリで長さが1メートルのものを粘土で作っても立てる事はできない。また、ねずみのしっぽや人間の手等で粘土の重さ自身を粘土で支えられない場合は形を作ってもすぐに崩れてしまう。また、芯まで粘土のものを作るとそれ自体が大変な重さになってしまう。このため、針金などで骨格を作り、その上にぬのや紙を巻いて芯を作り、その上を粘土でおおうという方法がしばしば用いられる。
アニメーションに使う粘土は、一般的に油粘土が用いられる。これは普通の粘土だと乾燥してしまうので、乾燥しないものが用いられるのだが、油と言えども多少は蒸発するため、ニベアクリームやジョンソンベビーオイルなどで乾燥した分を補充しているそうである。
一般的に手に入りやすい粘土としては「こむぎ粘土」「オーブン粘土」があげられる。アニメーション用の色の付いた油粘土は大手の画材店などで入手できるが、かなり高価なものである。数時間程度の作業であればこむぎ粘土でも十分持つ。ただし、撮影の終わった後には密閉した容器に水を含ませたスポンジなどと入れておかないとカチカチに乾燥してしまう。乾燥したこむぎ粘土は白い粒粒が表面に出るが、これはカビ止めの塩分である。濡れたタオルなどでくるんでおくと水分を吸ってまた使用できるようになる。
実際にアニメを作る
まず必要なのは、出来上がった絵のイメージである。粘土アニメは平面の上に作ったものを上から撮影する場合と、立体的に作ったものを横から撮影するものにわかれる。
立体的に作った場合は粘土は当然立たなければいけない。また、手等も空中で止まるように作らないといけない。照明にも配慮が必要である。
平面的に作った場合は背景の上に人間が重なると粘土の形が崩れるので、背景の上にガラスを乗せてガラスの上で演技させるという方法が本格的には用いられる。この場合、ガラスをしっかりと固定しておく必要が有り、また、ガラスについた粘土の跡をしっかりと消さなければならない。
アマチュアが作る場合、簡易的な手法が用いられる。簡易的と言っても、粘土アニメの場合は元々が手作りの味わいが大きいので、厳密にプロの現場で使われている管理基準までやらなくても結構面白いものが出来上がる。どちらかといえばでたとこ勝負の方が面白いものが出来上がる可能性が有る。
初めて作った場合、「どの程度ずつうごかせば、うまく動くのか」という感覚がつかめていない為に、微妙なずれが発生する。が、これがまた面白い事が多いので、あまり心配しない方が良い。
粘土でも立体でもペーパーでも、動きの感覚を身につけていくのに必要なのは反復練習である。CGでもこの感覚がないと面白いものは出来ない。最近のアニメ映画は3DのCG全盛だが、面白い、と思える映画程人の手がかかっていて、大量のアニメーターがパソコンに付きっきりで作業しているそうである。ボタンひとつポンではいけないようである。
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