<2006.11.19 K.Kotani>「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 23


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2006年11月19日

「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 24




デジカメを使ったアニメーション

 アニメーションとは、静止画を次々に見せる事により、あたかも物が動いているように見せるトリックです。この静止画をつぎつぎ見せる方法についてはいくつかあります。

 まず、描いた絵を直接見せる方法で、ぱらぱら漫画や驚き盤などのアニメおもちゃが該当します。

 次に、静止画を映画フィルムに撮影して映写して見せる、という方法で、ほとんどの映像作品としてのアニメーションがこの方法でした。

 ビデオテープに録画したものを再生するという方式も、ほぼフィルムと同じような方式です。ただし、最近のMPEG方式で録画されたものについては、多数の静止画を再生する、という意味合いからは若干はずれる部分があります。

 バソコン上で動画を再生する、という方法も良く似たものですが、ゲームのプレイ画面などは一見アニメーションに見えますが、静止画が用意されているわけではなく、背景と用意されたオブジェクトがプレーヤーの操作によって動いているわけですから、リアルタイムの人形劇と同じで厳密にはアニメーションではありません。

 この静止画を撮影する方法として、一般的には映画のカメラが用いられてきました。一部の実験映画作家の方は写真をさらにコマ撮りするという方法でアニメーションを作っていましたが、最初の写真は普通のカメラで撮っていましたが、最終的には映画のカメラを使っていました。

 パソコンでアニメーションが作られるようになると、静止画をバソコンに取り込む方法がいくつか試されました。スキャナで読み込む方法、ビデオカメラの画像を取り込む方法などです。

 デジカメは初期にはビデオカメラの一こまと同じ程度の画質でしたが、最近になって非常に高画質になり、スキャナと肩を並べるような画質を実現するようになってきました。一部の機種では短い動画の撮影もできます。しかし、単体でコマ撮りが出来てムービーファイルとして保存出来るようなデジカメは今のところない様です。

 最近では、デジカメを利用してのアニメーション作りも普通に行われるようになってきました。プロの現場においても、特に人形や粘土アニメの世界では、事実上デジカメによる撮影が標準になってきている様です。それも放送用ビデオカメラの様な超高価な機材ではなく、個人でも十分手が届くレベルの機材がプロの現場で使用されています。

パソコンを使用する場合、各種の取込み方式の比較

 パソコンに画像を取り込むには、USBカメラやビデオキャプチャーボードを使用して直接取り込む、スキャナーで取り込む、デジカメなどで撮影した画像をメディアやケーブルを介して取り込む、という方法があります。

各種取り込み方式の比較

 USBカメラから取り込む方法はカメラ自体が数千円と安いため、お手軽ですが、画質が良くない、という問題があり、よほど割り切らないとお勧めできません。
 ビデオキャプチャーボードを使ってビデオカメラの画像を取り込むという方式は、ビデオカメラがきちんとしたものであればUSBカメラよりは高画質の取込みができます。だだし、画質には限界があります。すでにビデオカメラを持っていない場合は費用もかなりかかります。
 スキャナーで取り込む、という方式は最も安定して高画質の取込みが出来ますが、1枚取り込むのに時間がかかる、平面のものしか取り込めない、という限界があります。しかしながらコスト的にはUSBカメラについで安く上がります。
 デジカメで撮ったものを取り込む、という方式は、デジカメの性能次第では高画質のものを簡単に取り込む事が出来ます。人形・粘土などの撮影も可能です。また、パソコンから離れた場所でも撮影が可能なので、屋外での撮影もできます。費用的にはスキャナーよりも高くなります。

デジカメを選ぶ基準
1.露出・ピントがマニュアルで固定できる事 コンパクトタイプでは、露出・ピントが自動しかないものがあり、被写体によって露出・ピントが勝手にずれたりする事があります。ただし割り切れば、全自動タイプでもできない事はありません。
2.外部電源が使える事 最近ではデジカメの電池の持ちも良くなりましたが、それでも長時間電源を入れっぱなしで撮影するわけですから、ACアダプターなどの安定した電源で撮影するにこした事はありません。撮影中に電池の入れ替え作業などはしない方が良いです。
3.リモコンが使える事 本体のシャッターボタンを押す時に本体がぶれてしまう事があります。撮影はなるべくリモコンでしましょう。有線のタイプのリモコンがあればそちらの方が使いやすいです。
4.撮影画像が外部でモニターできる事 カメラのファインダーや背面のモニター画面を見ながらの撮影はやりにくかったり、カメラの固定方法によっては不可能だったりします。小型のモニターなどで画像をチェックしながら撮影できるようにしましょう。
5.画質は高い方が良いですが、まず200万画素以上であれば問題ないと思います。一眼レフタイプでなくても、高機能一体型で十分いけるでしょう。

デジカメによる撮影の実際

1.立体など カメラを三脚に固定して撮影します。ピント・露出はマニュアルモードで固定。1コマ撮影しては少し動かす、という基本は変わりません。「止め」のシーンでは、同じ絵を3枚撮影してくり返し使用すると、画面の凍り付いた感じが少しはなくなります。ケーブルの取り回しに気をつけて、足を引っ掛けて三脚ごと倒さないように気をつけて下さい。

2.平面では カメラを下向きに固定します。照明に気をつけて、画面にむらが出ないようにして下さい。モニターで画面をチェックして動画などがずれがないか確認します。

3.撮影サイズの決定 最終的にはスタンダードの映像データは横640縦480ドットのサイズに仕上がります。従って撮影サイズにその設定があり、撮影した画像を加工せずそのまま使用する場合は、640×480のサイズで撮影してかまいません。しかし平面動画の取込みで撮影後加工する場合は、倍の1280×960で取り込んでやった方が良い結果が期待できます。
 しかし、デジカメによってはその設定がない場合があります。一眼レフタイプのものであるカメラを例にとってみると、3008×2008/2400×1600/1536×1024の3通りの設定しかありません。この場合、1536×1024のサイズで撮影してそのままアニメにすると、画面の縦横比が崩れて縦に縮んだ絵になってしまいます。(1536×1024の画面は縦横比1.5であって、640×480の1.33に比べて横長なため)こういう場合は縦の1024を生かして横は1365ドット(縦に対して1.3)まで使い、後は捨てるという事が必要です。


 逆に1280×1024のようなやや正方形に近い形の場合は下を捨てて1280×960で使います。

 実際撮影する場合は上記黒枠内のデータが記録されますが、アニメ制作ソフトの画面設定で赤枠を設定し、赤枠内の画像を640×480に縮小するという方法を用います。

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