<2007.01.22 K.Kotani>「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 25


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2007年01月22日

「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 25



パソコンでアニメーションを作る

 パソコンでアニメーションを作る事は8ビットパソコンが普及した頃から行われてきた。しかし当時のパソコンの能力は現在に比較して非常に貧弱で、「アニメが出来た」というレベルに留まった。

 16ビットパソコンの時代になってもまだパソコンの能力は貧弱であり、普通に映写して見れるような作品を作る事は出来なかった。CGアニメがようやく大学や企業の研究室などの超大型パソコンで作られるようになったが、まだ高嶺の花だった。中島興や松本俊夫などの実験映画作家により「スキャニメイト」というコンピュータ利用の実験映像が作られているが、スキャンした画像を仮想の円筒の内側に張り付けて仮想のカメラが前進・後退したような映像だったが、短時間コンピュータを借りるだけで数百万もかかったそうである。
 PC9800シリーズを使ってのアニメ作りもプロ・アマ両方で試みられたが、パソコンで作った図形をプリンタで打ち出してそれをセルにトレスしてムービーカメラでコマ撮りするというものであったりして、機械的なスムースな動きを作るのに利用された程度だったようだ。

 32ピットマシンの時代になってようやくパソコンでのアニメ制作が現実味を帯びてきた。DoGAではシャープのX68000シリーズを対象としたCGアニメのシステムを開発した。また、AppleコンピュータではMacintoshシリーズに画面と音声を外部出力できるAVシリーズを発売した。

 パソコンでのアニメーション制作を実現するためには、いくつもの難関があった。アニメーションというのは数百枚から数千枚の絵を次々に置き換えて動きをつくり出していく。ビデオでは毎秒30枚程度の絵を次々に見せなければならない。ところがテレビサイズの1枚の絵は640*480ドットあり、その絵をパソコンのハードディスクに保存しておかなければならない。640*480ドットの絵の容量は1.2メガバイトであって、それを1000枚保存するには1200メガバイトの容量を必要とする。ところが当時のパソコンのハードディスクは100-300メガバイト程度しかなかった。1000枚の絵では33秒のアニメにしかならないのに。
 また、ハードディスクから読み出す速度がせいぜい毎秒数メガ程度で、ほんとに紙芝居のようにパラリ、パラリとしか動かなかった。
 音声と動画は別々に保存されていたので、機械の能力により、音声と画面の進行がバラバラになる事があり、ゲームソフトなどでは「このソフトはこれこれのスペックのマシンで再生して下さい」というコメントがつけられる事があった。この問題はQuickTimeという技術で克服された。動画と音声をシンクロさせるために、動画の再生が間に合わない場合動画を間引いて音声の進行とマッチさせるのである。ただしさらにパラパラした動きとなった。
 1枚の絵の容量を小さくすればハードディスクの容量と読み出し速度の問題はなくなる。絵の場合はJPEGという圧縮方式で、10分の1以下のサイズに絵を圧縮できる。しかし、今度はパソコンの計算能力が問題となった。圧縮して保存された絵をハードディスクから読み出す場合、一定の方式で計算して圧縮されたデータを元の絵に戻すのだが、その計算が間に合わず、パラリ、パラリとしか再生されない。
 絵自体を小さくする事によって容量を小さくする事もおこなわれたが、「パソコン画面の片隅に切手サイズのアニメが動いている」という状態だった。

 ようやく実用化に向けての目処が立ったのは、MotionJPEGの圧縮伸長ボードが開発されてからである。当初はTARGAシリーズというプロ用のボードが数十万で発売された。本体とセットにすると200万程度のものでまだアマチュアの手の届くものではなかったが、「パソコン」で「ビデオの編集」ができるシステムであった。アナログのビデオカメラで録画された素材の映像をパソコンにデジタル化して取り込み、自由に編集してまたビデオに出力する夢のようなシステムだった。当時の家庭用ビデオの編集は、2台のデッキ(叉は片方はカメラ)で、片方で再生した映像をもう片方で録画しながら順々に編集していくというもので、最初から最後まで順番に作っていくという事からリニア型編集と呼ばれるものだった。ダビングしながらの編集になるので画質は劣化するし、後からカットを追加するという事になると最初からやり直しとなる。「ここからここまで」という指定を記憶させておいて自動で編集するという編集機もあったが、数コマのずれが発生するため、作品作りには無理があった。パソコンによる編集は数コマ単位での編集を可能とし、デジタルデータであるため、何回編集しても画像の劣化はなかった。
 その後、アマチュア用としては、数万円のものが何種類か発売になっている。MacintoshのLC630用として発売された「PowerVideo630」や「StudioProLite」などで、プロ用に比較して画質はがたっと落ちるが、一応テレビ画面で見られるものが出力できた。

 パソコンの進歩というのは早いもので、その後miroより発売となったDC20やDC30になると、プロ用の画質に近くなり、作品作りになんの支障もなくなった。この頃Bravado1000やAvidCinemaGearなど同クラスのボードが一気に発売となり、多くのアニメーション作家がこれを利用しての作品制作を始めた。だんだんと衰えていた自主制作アニメーションが一挙に息を吹き返したのもこの時期である。

 その後、家庭用ビデオカメラが8ミリビデオからミニDVに移行する時期になると、また別の変化が起こった。ミニDVは画像をデジタルデータとして記録するので、それをそのままパソコンのハードディスクにコピーできる。ボードを介してアナログのデータをデジタル化する必要がなくなった。このパソコンに記録されたデジタル映像データをまた編集してミニDVに出力する事もできた。
 ただし、ミニDVの画面は普通の画面と違い、720*480ドットだった。従ってパソコンの画面で見ると少し横長の画面になる。当時の映像ソフトはこの点に対応しておらず、この点をいちいち考えながらの制作となった。(現在では、この問題は解決されている。)
 このミニDV対応のパソコンとして、iMacDVがある。DV用のFireWireポートを持っていた。また、普通のパソコンでもDV用のボードを追加する事により、ミニDVのデータを編集できるようになった。
 このミニDVであるが、現在ではDVDとハードディスクビデオカメラに押されて早くも市場から消えようとしている。量販店でも、8ミリビデオのテープは置いてあってもミニDVのテープはない店すらある。

 現在、家庭用ビデオの標準はハードディスク付きDVDレコーダーとなっている。お持ちの方は御存じと思うが、従来のVHSビデオに比べて非常に画面がきれいである。また、DVDはCDと同サイズであって、保管に場所を取らない。ハードディスクには数十時間以上の番組が録画できるので、空いたテープを探す手間がない。(問題は録画した番組を全部見る暇がない、という事である。)
 このハードディスクやDVDには、映像がMPEGという圧縮方式で録画されている。VHSの場合はアナログ方式で、一枚一枚の絵を電気信号に変換してテープに書き込んでいく。この変換した絵が家庭用のために元のサイズよりかなり小さく、ために画質が放送画面より悪く、ダビングを重ねると画質が落ちていく原因なのだが、MPEGの場合は動画を動画のまま巧妙に圧縮しているために、容量が小さくかつ画質が高い。

 従来、ノートパソコンは映像編集に向かない、とされていた。理由として、同じ価格ならデスクトップパソコンより性能が低く、かなり高いCPU能力が必要とされる映像編集には向かなかった、コンパクト化するため、2.5インチの小型ハードディスク(デスクトップでは普通3.5インチのハードディスクが使用される)を使用していて、その速度が低いために読み出し・書き込みに無理がある、PCIバス用の拡張カードが搭載できない、というものであった。
 ハードディスクについては、3.5インチのハードディスクでも単体では間に合わず、複数のハードディスクを組み合わせるRAIDというシステムが利用された時期もあったほどである。
 しかし、現在ではパソコン自体の能力が非常に高くなったため、パソコンの能力やハードディスクの速度はもはや問題ではなくなった。(数年前のパソコンによる映像編集についての記述によると、ペンティアム120Mhz以上のパソコンが必要、という事だそうだ。そんな遅いパソコン今はもう中古でも売っていない。)
 拡張カードに関しては、パソコンから直接ビデオに出力するのでなければ、必要はない。

 DVDに出力する、という形でのアニメ制作システムを説明する。
 まず、アニメスタジオ2などのアニメソフトで必要なカットを作成する。次に音声を用意してパソコンに取り込んでおく。
 つぎに、映像編集ソフトを使用して各カットと音声ファイルを取りまとめて、MPEG方式で保存する。この映像編集ソフトは高価なものである必要はない。パソコンショップの「グラフィック・映像」コーナーに行くと数万円のソフトを売っているが、あれはプロが使うものである。複数のカットと音声を組み合わせて編集できるだけで良い。カット切り替えの種類については、アニメ作品制作ではディゾルブ以外が使われる事はほとんどない。今回使用するソフトは「家庭用」のコーナーに売っている2780円のソフトである。
 最後に、MPEGデータをDVD作成ソフトでDVDに書き込んでDVDビデオにする。このDVDをDVDプレーヤーにかけるとアニメーションが見れる。パソコンのハードディスクの速度や映像の圧縮伸長速度などはこの方法では関係がなく、ハードディスクにゆっくり書き込んだものをDVDに焼ければ良い。映像への出力部分はDVDプレーヤーに任せておけば良い。

 必要なハードウェア

 DVDが焼けるノートパソコンである場合、他には画像取り込み用のハードウェアがあれば良い。デジカメで取り込む場合は、別に何も必要ない。ハードディスクの容量も十分あるはずである。スキャナーで取り込む場合は、USB対応のスキャナーを用意すれば良い。

 DVDが焼けないノートパソコンである場合、さらに外付けのDVDドライブが必要になる。WINDOWS用だと数千円から、Macintosh用だともう少し高いようである。特に高価なものは必要がないが、ポータブルCDプレーヤー程度の大きさのものとかは少し高いようだ。今回は7980円のドライブを用意した。

 さらに、古いパソコンでハードディスクが小さい場合、外付けのハードディスクを用意してやると良い。最近は80GBクラスのものが一番小さいようである。

 必要なソフトウェア

 アニメ作成ソフト アニメスタジオIIなど

 映像編集ソフト アニメスタジオIIで作成した映像データを編集できて、MPEGで出力できるもの。また、複数のカット・音声を組み合わせて編集できるもの。

 DVD作成ソフト 映像編集ソフトで作った映像データをDVDビデオに焼けるもの。たいていDVDドライブにおまけでついている。また、今回は映像編集ソフトに含まれている。

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