2009.3.19 K.Kotani>
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 35
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月刊近メ像インターネット
2009年3月19日
「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 35
「アニメおもちゃの世界」
アニメおもちゃの世界
アニメおもちゃと言っても、何とかロボの超合金とか、 なんとかエモンのお絵描きマシンの類いではない。
おもちゃというからには本物があるわけで、映画とかテレビとかビデオとかで見るものがアニメの本物で、映画館の映写機とかテレビとかビデオデッキ・DVDプレーヤーなども本物だろう。
アニメの本物を作る会社やスタジオもホンモノだ。
ホンモノに対してはおもちゃの他、ニセモノもあるわけで、ミッキーマウスに良く似たマ○ティマウスとかは広い意味でのニセモノだろうし、「盗作」と騒がれたライオンキングも「ニセモノ」かもしれないが、今回は特にふれない。
「おもちゃ」というからには、ホンモノがまずあって、それを子供が遊ぶためのものとして小型・簡易化したものが普通だが、アニメおもちゃの場合はホンモノの映画に先行して、まずおもちゃが作られている。
実物におもちゃ(模型)が先行した例としてはしては他に飛行機がある。
ぱらぱらマンガは、アニメーションの原理を説明する時に非常によく用いられる。ノートや教科書の片隅に少しずつ違った絵を次々に描いてゆき、パラパラとめくると絵が動いて見える。
この原理を発見した人は誰かわからないが、普通の人間がノートや本を簡単に入手できるようになってからそう年月がたっておらず、(江戸時代にはなかったと思う)グーテンベルグの聖書でパラパラマンガをする罰当たりもいなかったと思うので、学校教育が普及しそのあたりに本がゴロゴロする時代以降に考案されたものではないかと思われる。
驚き盤は1832年にヨーロッパで発明され、日本では古川タク氏が再発見し、映像作品化してから普及した。鏡に映った絵を裏側からスリットを通して覗くと言う動画部分と映写機部分が一体化した単純な構造にも関わらずスムーズな動画が見れるという、「驚き」盤である。
驚き盤は一度に一人しかみれないが、複数の人間が鑑賞できるのがゾートロープである。これは円筒の内側に動画を並べて外側からスリットを通して直接見るというものである。
さらにスリットを用いず、回転軸の周りに多角形状に鏡を並べて反射した絵を見るプラキシノスコープが考案され、スリットを通さずに明るい絵をみんなで見る事が出来る様になった。
この他、円盤の両側に別々の絵を描いて早く回転させると二つの絵が重なって見える「ソーマトロープ 」があるが、動いて見えるわけでは無いので厳密にはアニメおもちゃとは言えない。
このあたりまでのアニメおもちゃは基本的に短い動きの繰り返しを見るもので、ストーリーを語るにはいたらず、映像表現の方法としては「映画」の登場と共に、ほぼ歴史の舞台裏に姿を消す。
「映画」の登場と共に、これを家庭で見たいという要望に応え、おもちゃの映写機が登場した。これで上映するのは、なんと映画館で上映後のフィルムを短く切ったもので、35ミリフィルム。(こんなことをしたのは日本だけらしいが、そのおかげで正規ルートでは失われた映画が断片的とはいえ残っているそうだ)
「おもちゃ」の撮影機としては、アマチュア/報道/記録映画などに広く用いられた16mmフィルム用のカメラ(おもちゃというにはすごく高いが)さらに9.5mm/8mmフィルム用のカメラをへて現在の家庭用ビデオカメラに至る。新品の売価で1万円代のものもあり、画質的にもおもちゃとよぶのがふさわしいビデオカメラもある。
ところで、おもちゃ映写機の歴史の上で、「新作」を安く提供するために紙製のフィルムが登場している。紙に印刷した動画を細長く切ってつなぎ、映写機にかける。普通のフィルムと違って光を通さない為、反射光で上映する仕組みである。この紙フィルムの映画は普通のフィルムと違って耐久性がないため、大半が消耗して失われてしまっている。しかし紙であれば現像の必要もないため、一こま一こま手描きでアニメーションを作る事も当然可能ではある。
最も最近まで「おもちゃ映画映写機」として販売されていたのは8mm映写機で、なんと最近「大人の科学」から新品が発売されている。この新品ざんねんながらフィルムがついていないため、8mmフィルムが無いと見れない。
昔は百貨店などの大きなおもちゃ売り場で電池で動くおもちゃの8mm映写機が販売されており、上映用の8mm映画も販売されていた。
もちろん8mm映画自体はおもちゃではなく、昔はTVドラマを8mmで撮る試みがなされたりしたこともあったが、おもちゃと本物が限りなく近いという事例である。
また、映写機というよりもビュワーというべきだが、「くるくるビデオ」とよばれるおもちゃが過去数種発売されており、カートリッジに入った8mmフィルムを手回しでまわして小さなファインダーからのぞくもので、手軽に動画を家庭で見れるものだった。
現在では家庭でいくらでもビデオでアニメを見られるために、かってのように映画作品の断片を家庭用に販売する事はほぼ無くなったが、「絵が動く」という驚きはいつの時代にも共通のようだ。
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