<2009.11.15 K.Kotani>「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 38


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2009年11月15日

「ピピアめふアニメーション教室」特別講座 38





「いろいろな素材のアニメーション」



アニメーションの素材について

 「アニメーション」というものが始まって以来,様々な素材がアニメーションには用いられてきた。

 現在,商業アニメの主流は3DCGアニメと2Dのセルアニメとなっているが、何れもコンピュータを用いて作られるアニメーションである。

 3DCGアニメ コンピュータ内に少しずつ違った静止画をたくさん作り,アニメーションを作る。当初は宇宙空間のような場所でのカメラ移動による表現を得意としていており、2Dのセルアニメでは出来ない表現が出来る、という事で注目されたが,その一面、キャラクターの動きが画一的で硬い,という難点もあった。現在はその点も克服されて、長編アニメの主流となっている。なお、最近ではクレイアニメ風や人形アニメ風の3DCG作品がテレビのコマーシャルで多く見受けられる。

 2Dセルアニメ 元々は透明な「セル」に描いたキャラクターを別に水彩で描いた背景に載せ,コマ撮りする手法。動画と背景が分離でき、分業化が可能な事から商業アニメでの利用が飛躍的に進み,戦前から戦後にかけてディズニーを中心とした劇場アニメ、日本でのテレビアニメの主流となった。現在では実物のセルはほとんど用いられず,コンピュータ内で手描きの動画と背景を組み合わせる手法がメインとなっている。

 最近ではコンピュータの低価格化・高性能化にともない、アマチュアでも広く用いられる様になった。

創成期の手法

 黒板アニメ 黒板に描いた絵をコマ撮りし、すこし消しては描き、またコマ撮りする方法。大量の動画を必要としない。最近ではこの変形として,クロッキー画を描いては消すという手法で作られる作品も有る。

 ペーパーアニメ 白い紙に背景とキャラクターを同時に書き込んでコマ撮りする。セルアニメの様に動画をセルに転写して彩色するという手間がかからないため、8mmフィルム時代にアマチュアで広く用いられた。鉛筆のタッチや水彩彩色による微妙な表現も可能だが、背景があまり書き込めない,平板な表現になりがちでもある。

 人形アニメ 関節を持った人形を少しずつ動かしてコマ撮りしアニメーションにする。作家数は決して多くはないが、非常に佳作の多い手法。チェコ,日本での制作例が多い。

 クレイアニメ 粘土を少しずつ形を変えてコマ撮りしアニメーションにする。非常にファンの多いジャンルで、TVのコマーシャルなどにもしばしば用いられた。最近では3DCGに置き換えられるケースも多いが,NHKの子ども番組などでもよくみかける手法。

 切り紙アニメ セルアニメに似ているが,キャラクターを描いた絵を切り抜いて背景に載せてコマ撮りする。貧乏な時代の日本ではセルアニメの代用として用いられた時期も有る。アートアニメーションの重要な手法。

実験アニメの手法

 人間アニメ マクラレンの「隣人」など、人間が人形の代わりにポーズをとり、コマ撮りしてアニメにする。8mmフィルム時代には、機動力のきく8mmカメラの特色を生かして、「飛ぶ」シーンなどが多く撮影された。

 ダイレクトアニメ カメラを使用せず,フィルムに直接書き込まれるアニメーション。カメラを買えない貧乏なアニメーターが現像所のくずフィルムをもらって作り始めた・・・という伝説が有る。マクラレンの諸作品が有名。

 光アニメ バルブでシャッターを切り,懐中電灯など光で描いた形を撮影しコマ撮りする。フイルム時代に、若干の作品が作られていたが,最近はトーチカにより、デジカメ化されて復活している。

 石アニメ 形の違う「石」を置き換えて撮影する。応用として、かっぱえびせんアニメ、芋アニメ、じゃこアニメなどがある。既存のものを動かす楽しみがある。
 石膏アニメ 石膏で少しずつ形の違ったものを作り、置き換えて撮影。保田克史氏の「PULSER」がカラオケのBGVになっている。

 針金アニメ 針金を少しずつ形を変えて撮影する。

 ビーズアニメ イシュ・パテルによる「ビーズ・ゲーム」黒い紙の上に置いたビーズに微妙に光を当てて輝かせ,コマ撮り。対抗して、日本でも「ライス・ゲーム」という米粒のコマ撮りアニメが制作された。

 砂アニメ 砂を動かしてコマ撮り。砂を立体アニメにした「砂の城」、砂で影絵アニメ風にしたキャロライン・リーフの一連の作品集などがある。

 その他 何でも,少しずつ形を変えて撮影すればアニメになるため、ありとあらゆる素材がアニメ化されている。


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