<2020.09.21 K.Kotani>ピピアめふアニメ教室・初歩の技法シリーズ「ダイレクトアニメーション」

2020年9月21日更新 JAPANESE ONLY


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初歩の技法シリーズ「ダイレクトアニメーション」



ダイレクトアニメーションとは

 ダイレクトアニメーションとは、カメラを使用せず、直接フィルムに描く込んで作るアニメーション。

 未感光の映画フィルムをそのまま現像した、真っ黒のフィルムの幕む面を針で引っ掻いて傷を付けて描画する「シネカリグラフ」と、映画フィルムの感光部を薬品で溶かして、まったくの透明フィルムにしてしまい、そこにペン等で書き込む「フィルム・ペインティング」がある。

 応用として、何かを撮影した映画フィルムに後から描き込んだり、傷を付けたりする場合もある。

 もともと、カメラを買えない貧乏な少年が現像所で出るくずフィルムにひとこまずつじか描きしたものがスタートという伝説がある。
 また、カメラを使えない貧乏な国でアニメーションを教えるのに使われたと言う伝説もある。

 ダイレクト・アニメーションの作家

 いうまでもなく、カナダのアニメーションの巨人・ノーマン・マクラレンが名高い。世界中に模倣者が輩出した。日本では、精密な鉛筆画のアニメーションで知られる相原信洋氏の初期作品にフィルム・ペインティングの「LIGHT」があるが、PAF(プライベート・アニメーション・フェスティバル)で発表された8ミリ作品群が素晴らしい。シネカリでストーリー・SFアニメを制作した進藤丈夫氏の「MARK」「MARK UP」、後述する二木真希子氏に対抗したPAOの「負けんぞ」などもあるが、なんといっても海外のアニメ関係者をも感嘆させた「思いつくまま」(1978 二木真希子作)の衝撃は驚異的。8ミリフィルムの6ミリX4ミリのスペースのなかを馬が駆け植物がぐんぐん伸び、流星が走った。この二木真希子氏はその後第二作「シネ・カリニバル」を発表後、プロ業界に進み、スタジオジブリの主力アニメーターとなり、画家としても活躍されていた。(惜しくも2016年5月逝去)二木氏の出身地愛知県刈谷市からは、79年に戸田恵里子さんが高いクォリティの「DREAM」を発表、PAF関係者は「シネ・カリヤグラフ」と言って騒いだ。これらの作品群も、上映すればするほど消耗する8ミリフィルムの宿命上、現在ではごくまれなケースを除き、上映される機会はない。当時、8ミリフィルムのシネコピーによる複製が試みられたが、「どうしても直に描いた輝いた感じが出なかった」そうである。
 また、実写の上からシネカリをして、シネカリのキャラクターと人間を共演させたり、殺人光線の特殊効果として使用した作品も学校のアニメ研のお遊び作品として多数製作された。

本物のシネカリの作り方

 まず、真っ黒なフィルムを入手する。現在では、8ミリフィルムまたは16ミリのポジフィルムを購入してそのまま撮影せずに「真っ黒です」と断って現像に出すと入手可能。8ミリフィルムの現像所は日本に一ケ所(海外へ委託している)しかなく、くずフィルムは皆無に等しい。プラネット映画図書館では、時々不要になったフィルムを捨てているという話を聞くので、頼めばくれるかもしれない。

 真っ黒なフィルムをライトボックスに載せ、良く研いだ針で一こま一こま引っ掻いて行く。幕面の方をひつかかないと、ベースに傷をつけるだけでちっとも絵にならない。

 基本的にはこれだけ。カラーフィルムだと、いろいろな色を重ね合わせて黒にしているので、引っ掻き方を加減して色の線を描く事も試みられた。

本物のフィルム・ペインティングの作り方

 まず、真っ白な透明のフィルムを入手する。新品のフィルムを買い、写真の定着液につけると、幕面の薬剤が溶けてベースのフィルムだけが残る。
 または、真っ白な紙を撮影して現像に出す。この方法だと、フレームの線がフィルムに残り、また、幕面に薬剤が残るので、ペンののりが良くなる。
 フィルムに絵を描いていくが、水性のインクだとはじかれて、「ティッシュでふくと絵がなくなる」という状態になる。マジックインキの細いものだとのりが良いが、リールに巻いた時に、他の場所に絵がへばりついたりする。また、ややきれいな線が描きにくい。OHP用のマーカーで幕面に描くのが一番きれいに出た。
 この他、フィルムにはんこを押したり、もの(蚊とか)を張り付けたりする人もいた。

 現在では、フィルムによる映画製作がほとんど行われなくなった為、「フィルム直書き」によるダイレクト・アニメーションもほとんど作られなくなって来ているが、擬似的にパソコン内でダイレクト・アニメーションを作る事は可能である。

1.フィルムに描くように、細長い縦長の絵を描く。
2.スキャナーでパソコンに取り込む。
3.アニメソフトで、細長い絵を縦・または横に送り、フィルム上映のように見せる。
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K.Kotani