ワスプ・ザ・マスター (ワスプ)
スズメバチの能力を持った改造人間で、『組織』内でも
珍しい女性の改造人間である。
登場はEpisode.4、ドクター・ケイトがその全ての技術
を込めて開発され、いきなり幹部候補生待遇での実戦
投入となった。
これまでに無いほどに完成度の高い脳改造を施されてお
り、自らの思考で活動できるところから作戦の総指揮官と
なる。改造人間がエージェントを指揮するというこれまでに
ない作戦展開は特筆すべき事項であろう。
指揮官としても高い手腕を発揮し、機動戦闘部隊やサボテ
ンベースのカークタスや蟹ベースのクラブといった改造人間
軍団を使役する。
自らの戦闘能力も優れており、グラスホッパーをも上回る
俊敏なスピードと格闘能力を誇っている。
剣術も得意で、常に携えているステッキは鋭い切れ味を持
つ高周波サーベルとなる。
黒須仁、そして岡部忍に対して異常ともいえるほどの憎悪
を抱いており、それが彼女の闘争意識を支えている。
それは明らかに感情操作されたものであるが、それにも理
由があった。
ワスプのベースになった人物は鷺沼恵理という女性である。
恵理はかつて科学班に所属し、ケイトの一番弟子とさえ言わ
れた才媛であった。
かつ、ケイトが有する女性のみで編成された戦闘部隊でも優れ
た成績を残している文武両道という言葉が似つかわしい女性で
あった。
だが、そんな彼女も仁と有森との出会いにより変わり始めた
のだ。
グラスホッパーの改造手術が行なわれた後、彼女は仁の担当
となり、密接に接するようになった。
仁と有森と出会った事により、恵理の中には『組織』の思想に
対して再び疑問を抱き始めるようになったのだ。
そして彼女は仁と有森の研究所脱走計画の協力者となった。そ
の脱出の際、彼女は負傷。
仁達を逃がすために自ら研究所に残った。そして、その際に仁
に対して秘めた思いを告白し、彼女は銃火の中に消えたのだ。
その後、ケイトは愛弟子を改造する事に対する罪悪感を押さえ
込み恵理を改造した。
そして、仁に対する感情を戦闘エネルギーとして利用する事に
したのである。
ワスプ自身は、恵理であった頃の記憶は無く、ただ仁や忍に対
する理由さえ分からない憎悪に従って行動しているのだ。
忍を巡る、無人島に作られた科学班要塞研究所での決戦におい
てワスプは、自らが持つ必殺の能力を使い、グラスホッパーを絶
体絶命まで追いつめる。
だが、突然発動したグラスホッパーの『力』に妨げられ、そこ
から放たれた光のパンチによって敗北する事になる。
その際、恵理としての記憶も奇跡的に蘇ったのだが、彼女はそ
れをグラスホッパーに知らせる事はせず、最期までグラスホ
ッパーを憎む改造人間ワスプとして振舞い、自爆する要塞
の炎に消えていった。
スズメバチの改造人間とはいえ、蜂としての様々な能力を持っ
ており普段は戦闘時に着用する軍服に隠されているが羽根
があって飛行能力も持つ。
そして、必殺の能力はミツバチが命がけで針の攻撃をするかの
ような、最後の力を込めた強力な衝撃波である。
弱点は、普段隠されている羽根であり、そこに彼女の生命エネ
ルギーが集中されている。
そのため、羽根が千切れればあっという間に力を失ってしまう
のである。
第一話から描かれている、愛弟子を改造してしまった事につい
ての有森の苦悩。それは実はケイトにもあるのだという事を示す
改造人間でもある。
そして、改造人間の悲しみをグラスホッパー以上に体現した敵
ともいえるのだ。
ちなみに、ワスプは単体のカスタムタイプの改造人間として開
発されたため、その他のシリーズは存在していない。
初めから、幹部候補生として開発されたという事から正式名称
として『ワスプ・ザ・マスター』というのがプロットの段階まで
あった。これは、同じくこの回から登場したグラス・ザ・マンに
呼応させようとして名付けたのだが、混乱する可能性があるとい
う事で本編にはその名称は登場させず、『ワスプ』で統一した。
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