「11月の森にカッコーは鳴くか」

果たして
11月の森にカッコーは鳴くであろうか
秋の末の透き通った無音の森に

人々は都会の雑踏から
逃れようと旅に出る
山を目指して森を目指して
行く先知れずの旅に出る
けれど君たちは知るまいに
11月の森にカッコーは鳴くか

君たちは名乗ることのいらない都会から
名乗る相手の見えぬ森に来る
愛を持たぬ行為者
行為者の居ない愛
果たして君ならどちらをとる
11月の森でカッコーは鳴かないとしたら

夜の都会は死んだよ
たぶん風邪を引いたんだ
きたなすぎてか、きれいすぎてか
それはしらないけれど
だから次に何を見つけようか
11月の森でカッコーが鳴くとしたら

さて、君はどう思う
11月の森にカッコーは鳴くであろうか
秋の末の透き通った無音の森に

目次へ