「武蔵野」

武蔵野の台地をいまのぞみて
はるかなる太古のいとなみを思う
横たわる無言の台地を
流るる水の水面が光る

昔ここは広大な草原だった
風が吹けば歌い波打つ
巨大な草の海
武蔵野のその上の
いとなみが変わろうと
その上を幾年の
時間流れ行けど
武蔵野の台地は一言も語らない
その上を通り過ぎた時代のことを

その上に息づける
あらゆる命をはぐくみながら
その生業を助けながら

武蔵野の台地をいまのぞみて
はるかなる太古のいとなみを思う
横たわる無言の台地を
流るる水の水面が光る

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