「玉川上水」

江戸の町へ休むことなく
水を送り続けた
ロームの土地の田畑を潤し
遠く流れ続けた
玉川上水
人が生きるために掘りあげた
水の道

現代の機械の力を使っても
6ヶ月はかかるという
その大事業を
つるはしや鍬の簡素な道具で
1年余りで掘りあげた
男たちの日に焼けた横顔

今そこには
かつての水は流れていない
桜並木のその間から
深く茂った草の底から
乾ききった水路の悲鳴を聞いた

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