「日暮れ」

雑木林を抜けると
人の住む街がある
気取りも悲しみも無い
静かな街がある
路地の奥から聞こえる
子供たちの遊ぶ声
連なる家の瓦屋根が
夕日を浴びて紅くなる

武蔵野の街並みの
素朴さのその中に
素朴さゆえの語りきれない
美しい輝きを見た

春をたたえるかのごとく
今街は輝く
春をはぐくむかのごとく
今街は輝く

夕日さす路地
子供たちが駆けていく
もうすぐ夕飯だと
母親の声がする
ありふれた風景を
街が包み込んでいく

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