注)この図解は単純化して書いており、電子軌道を正確に表すものではありません。


  水素の元素記号は、ご存じ「」です。

 ですが、普通の水素分子では「2」と書くのもご存じのハズです。

 水素原子の場合、原子核1個に対して、電子が1個の形です。
 このとき電子の回る軌道は原子核に一番近いK殻ですが、K殻の軌道には本来電子が2個で安定するのため、なんとか2個の電子を存在させようとします。

 このとき、隣にあるもう一つの水素原子の電子1個を共有してK殻に2個の電子が存在して、見かけ上、K殻は安定するわけです。
 これは水素原子が2個になりますから、「2」と書いて表します。

 下の図では、水素分子のもっているエネルギーが最も低い状態(基底状態)を表しています。


 水素原子は不対電子をもっており、水素ラジカルということになる。


 酸素は「」ですが、これも酸素分子としては「2」と表します。

 酸素「」の場合は、原子番号8、つまり陽子の数は8個ですから、電子は通常8個です。電子の軌道K殻には2個の電子しか回ることができませんから、残り6個の電子は次の軌道L殻というところを回ることになります。
 ここで問題なのが、このL殻は電子8個で安定するのです。
 「」のままではどうしても電子が2個不足している状態です。

 このため、となりあった酸素原子「」とL殻の電子2個を協同で所有すると、これも見かけ上安定となるのですが、酸素の場合はちょっと特異な性質があり、電子のスピン量子数の関係で以下の様な結合状態となるのです。
 通常この状態を酸素分子といい「2」と表します。


 内殻(1s軌道)は結合に関与しないし、2s軌道は完全に打ち消し合っているようですので、ここでは考えません。
 結合はσ2p軌道より上位の電子の状態を考えます。

 σ2p軌道に全て電子が入ることから、まずσ結合が1つ生じます。
 三重項酸素は、このσ結合がまず1つ。
 π*2p軌道に電子が1つずつですので、電子が全て入ったπ2p軌道との差は、1/2と1/2の合計となりこちらも結合は1。
 σ結合との合計で結合次数は2となります。

 一重項酸素はπ2p軌道までは同じですが、π*2pの片側に二つの電子が入ることから、電子が全て入ったπ2pπ*2pの差は、1となります。
 つまりσ結合の1との合計で2となります。

 スーパーオキシドアニオンは、一重項酸素のπ*2pの片側に1つの電子が入ることから、その結合次数はσ結合の1とπ2pπ*2pの差1/2の合計となり、1と1/2結合となります。


 酸素分子がこの特異な電子構造をとることこそが、酸素が他の分子と違って特別の性質を持つ原因となっているのです。
 人間も含め多くの生物がこの酸素の“ほど良い反応性”言い換えれば“ちょうど良い不安定性”を利用しているのです。


 水(2)は、下図のように、酸素原子の電子軌道L殻に不足している電子を補う形で水素の不対電子が共有結合して、安定な水分子となります。
 水素原子と酸素原子の結合角度は104.5度であり、この形から水独特の様々な性質を生みだします。

 水の結晶、つまりとなるときは、この形のおかげで、分子と分子の間に隙間ができることになり、水は凍ると体積が増えるのです。
 また液体のときは、水分子同士はつながりやすく、ある数だけつながったクラスター(房)を形成して存在しているということです。しかしその大きさを測る明確は方法はまだないのが現状のようです。


 比較的安定な水分子ですが、放射線などが照射されますと、水素と酸素の電子共有結合が切断される時があります。
 こうしてできたものが、(・OH=「ヒドロキシラジカル」)と言われるものです。
 水素原子もラジカルです。


 水に放射線が照射されると、・OHや水素原子ができる他に、さらに電子だけもはじき飛ばされるものも出てきます。
 このはじき飛ばされた電子を酸素分子がもらい受けるとこれが、「スーパーオキサイドアニオン」と呼ばれるフリーラジカルとなります。

 このスーパーオキサイドアニオンとヒドロキシラジカルは「酸素フリーラジカル」と呼ばれます。

 さらに、スーパーオキサイド同士が二つ結合して、お互いの不対電子同士が共有結合するとラジカルでなく普通の酸素分子(22)となり、これが水素と反応すると22(過酸化水素)となります。

 下の図では、スーパーオキサイドが、22(過酸化水素)となる反応の例を示しています。

 



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