あまりに凶悪な犯罪をあっさりやってのける、いわゆる「キレる」という状態。
食事(栄養素)との親密な関係があったのです。
このキレる、という意味は、「堪忍袋の緒が切れる」の「切れる」から来ていますが、現代の青少年を中心に使われる「キレる」とは少々意味が違うかもしれません。
堪忍袋とは、ガマンしてガマンして何とか理性で怒りを抑えている、この「理性」であると思います。しかし青少年の凶悪犯罪を見るとき、いとも簡単に衝動的な行動に出ています。これはもはや「理性」を失った、ただの“野生動物”と同じ状態になっているとも言えます。知性や情などの理性を司るのは新しい皮質と言われる大脳皮質ですが、「キレる」の正体は、この大脳皮質の働きに障害が生じている可能性があります。
食物(栄養素)との関係を考えるとき、低血糖状態とカルシウム、マグネシウムを初めとするミネラル不足が懸念されます。
最近の青少年は、砂糖がたくさん入った清涼飲料水やアイスクリーム、お菓子など甘〜いものが主食か? といえるくらい大量にしかも頻繁に摂取しています。
甘いものを摂取したときは、一度に大量の糖分を処理するため、すい臓からインシュリンが大量に分泌されます。
その結果、一時的に200(mg/dl)近くにまで急上昇した血糖値は、今度は、50程度(以下)にまで急低下してしまいます。
このままでは生命の危険性すらありますから、より生命維持に関係する脳幹部分に優先してブドウ糖や酸素などを供給するようになります。このため、理性をつかさどる大脳皮質の働きは低下してしまいます。
こんどは血糖値を上げるべく、アドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、血糖値を上げようとします。
こうなると余計に甘いものが欲しく感じたりします。
これらを繰り返していては、やがてすい臓のコントロールがうまくいかなくなり、インシュリンが出過ぎることで慢性的な低血糖状態にもなります。
また、ホルモンの急変化により情緒不安定を引き起こし、ますます「キレ」やすい状態になってしまいます。
さらにこの状態が続けば、今度はすい臓が疲れ果て、インシュリンの分泌がうまくできなくなってしまいます。
こうなると今度は、深刻な糖尿病が待っています。
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機能低下 |
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(キレた状態) |
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血糖値が短い間に乱高下しては、精神的にも不安定な状態になります。アドレナリンの分泌によってある種の興奮状態も作り出します。さらに、低血糖状態では、脳ではより生命維持に必要な脳幹部分に優先してブドウ糖や神経伝達物質のアミノ酸、ミネラル、酸素などの栄養素を供給するようになり、その結果、大脳皮質の働きが低下し、理性の低下した状態が生じます。
さらには、砂糖分の取りすぎでは血液が酸性に傾きますから、それを中和する目的でカルシウムイオンが消費されます。カルシウムは脳の神経細胞においては信号伝達の重要な役目もしますが、これが脳細胞で不足してしまいます。このカルシウムもまた、より生命維持に関係した脳幹部分に優先して供給されるため、「理性」を司るハズの大脳皮質は働きがますます低下してしまいます。カルシウム不足が続くと、いらいらや道徳心の低下などが症状として現れる、いわゆる「エンセファロバチア症候群」という病気になってしまいます。
カルシウム不足の状態でさらにカルシウムが消費されると、骨そしょう症になってしまいます。
カルシウムとマグネシウムはお互い拮抗していますから、カルシウムだけを積極的に摂取してはいけません。
マグネシム不足では、細胞でのエネルギー生産などの働きが低下してしまいます。
カルシウム補給を考えるときには、かならずマグネシウムというミネラルも考慮すべきです。
ちょっとしたことで「キレる」のは、この「理性」が無い状態、つまり“野生動物”と同じ状態を一時的に作り出しているわけです。アドレナリンの分泌もありますから“興奮した野生動物”です。これはちょっと恐いですね。
・この対策としては、
1・台所から白砂糖を廃止する。どうしても甘い味付けが欲しいときは、黒砂糖にする。
2・甘い清涼飲料水は飲まない。
特に「キレる」経験がある方には厳禁です。
他の甘いものもできるだけ減らすといいです。
いきなり、甘いものを禁止というのは難しいかもれませんが、せめて、甘いものは空腹時には摂取しないように心がけることが重要です。
お勧め食材は、ヒジキ(海藻)です。できるだけ頻繁に利用し各種ミネラルを補給しておきたいものです。食物繊維のおかげで、糖の吸収も緩やかになります。
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