クエン酸について


 クエン酸は“クエン酸サイクル”、または“クレブスサイクル”と言われる機構に無くてはなりません。

 食べ物の糖質(炭水化物)などは分解されブドウ糖になり、さらに細胞内のミトコンドリアにて酸素と、炭水化物などを分解して得られるプロトン(水素イオン)と電子とを反応させて、ATP合成酵素からエネルギー発生の基であるATP(アデノシン三リン酸 = 高エネルギーリン酸結合)が作られます。ATPが加水分解によりADP(アデノシン二リン酸)とリン酸に分解するときに、我々人体で必要となる、ありとあらゆる“エネルギー”が生み出されます。

 エネルギー発生にATPが使われてしまうと、またATPを再合成しなければなりませんが、そのときのエネルギー源として糖質(炭水化物)や脂肪と酸素の反応(酸化)によるエネルギーが使われます。そして水と排気ガスとして炭酸ガス(二酸化炭素)が排出されます。

 ブドウ糖がエネルギーとなる際、主にビタミンB群、酵素と酢によって燃焼(酸化)しますが、酢はクエン酸を始めとして8種類のアミノ酸に順次変化しながらエネルギー生産、老廃物の排泄などを行いながら、またクエン酸に戻ります。この一連のクエン酸の変化を“クエン酸サイクル”、または発見者の名を取って“クレブスサイクル”と言われています。1953年にイギリスのクレブス博士は人体の各細胞内でのエネルギー発生過程を発見しノーベル賞を受賞されています。(Krebs cycle, Citric acid cycle, Tricarboxylic acid cycle, TCA cycle)

クエン酸

アコニット酸

イソクエン酸

アルファーケトグルタン酸

 

熱(ATP)・炭酸ガス・水

オキザロ酢酸

リンゴ酸

フマール酸

コハク酸

 ブドウ糖の燃焼(酸化)によるエネルギー生産では、ブドウ糖は全てが完全燃焼することはなく、一部が不完全燃焼の焦性ブドウ糖(焦性ぶどう酸)というものになりますが、これが筋肉などに蓄積すると、その一部が乳酸に変わります。クエン酸はこの疲労物質である乳酸となる焦性ブドウ糖を分解する働きがあります。肉体疲労時にはクエン酸を不足させないように補給しておくと、疲労の早期回復に役立つことになります。

 クエン酸は血液を弱アルカリ性に保つ働きがあり、きれいな血液になって血液循環もよくなります。つまり血の巡りが改善され、細胞ひとつ一つに充分に血液が行き渡るため、体調も良くなり健康増進に大いに役立ちます。

 一連のサイクルの過程では、各種のビタミン、ミネラル、酵素、補酵素、アスパラギン酸などのアミノ酸等が必要になってきます。
 クエン酸だけを摂取すれば良いというものではなく、基本的なビタミンやミネラルは充分に摂取できていてはじめてクエン酸を摂取したときの効果が期待できます。普段からバランスの良い栄養素の摂取を心掛け、その上でクエン酸を多く含む食材を意識して摂取するようにすると大変良い結果になると思います。

 クエン酸はまた、各種のミネラルの吸収効率を助けてくれます。
 ビタミンCも同様な働きがあります。
 食事のときに、フライなどにレモン果汁をかけて食べるというのは、大変良いことなのです。
 “ポッカレモン”などを普段の食事に利用しますと、キレーション作用によりカルシウムなどのミネラルの吸収効率が上がります。ビタミンCは鉄分の吸収効率を改善することが知られています。


 貝のカキ(生牡蠣)を食べるときにレモン果汁をかけて食べますね。これはただ美味しいというだけでなく、実はたいへん理にかなったことなのです!
 フライなどにもレモンを搾って食べますが、これも良い食べ合わせの例です。
 お寿司の“酢飯”も良い食べ方ですね。

 クエン酸は、体内をきれいにし、体液を弱アルカリ性に保ち、血液さらさら、ミネラル吸収促進、乳酸生成抑制、疲労回復、肩こり・筋肉痛の防止、神経疲労の予防、肝臓機能の改善、その他病気の予防、と非常に大切な働きがあります。
 意識して摂取してみることをお勧めします。

 すっぱい果実、米酢、リンゴ酢、黒酢などを意識して摂取しましょう!
 最近では、レモン濃縮果汁やクエン酸が豊富なドリンクなどが市販されています。
 これらを上手に利用し、肉体疲労時には一本飲んでおくのもよいですね。


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