酵素は主にプロテイン(タンパク質)から出来ている大きめの分子ですが、過度な熱に弱く、簡単に破壊され、つまり本来の働きを失うという特徴を持っています。酵素は触媒として私達が食べたものを消化し、さらに体内の細胞内で何千という生化学反応を行っています。消化に働く酵素は主に口の中や胃から分泌され、又、膵臓から分泌される酵素によって食べ物は消化され胃のすぐ下にある小腸へと移動します。健康な細胞機能に重要な酵素は人間だけでなく、植物や動物にも見うけられます。生の食べもの愛好者達は火を通した食べ物よりそのまま生が体に良いと信じています。この理論は、体は野菜や果物に入ってる消化の為の酵素によって支えられてる事と、酵素が調理による熱によって大部分失われてしまうから、という考え方から来ているものです。
「生が良い理論」によると、もし私達が口にする酵素が含まれていなかったら、体が自分で酵素を作らなくてはいけなくなるため、体の機能が沈滞するというわけです。つまり本来体が他の部分に使わうはずの酵素を奪うエネルギーが要求されるわけです。
しかし、加熱といってもどれくらいの温度が酵素を崩す温度なのでしょうか?
短い時間で約55℃の加熱なら食品の栄養素を壊さないといわれています。この方法は、食品が乾燥するまで熱い空気をあてる特殊な装置で可能な方法で、食品は保存できます。
しかし多くの生理学者は「生が良い理論」には化学的に同意できないと言っています。「生が良い理屈」は理論的に聞こえますが人間の消化に使われる酵素の多くは体そのものから作られ、食事からの酵素ではないという訳です。
しかし、いずれにしても健康をサポートするには毎日の食事の中に生の野菜や果物を取り入れるべきです。それによって、ビタミン、ミネラル、植物栄養素(ファイトニュートリエンツ)そして繊維を摂取できるのですから。
1998年5月号のThe Journal of epidemiology(疫学ジャーナル雑誌)で発表されたある研究によると生野菜を多く取り入れた食事は乳がんのリスクを軽減させ、果物を多く取り入れた食事は、腸の癌のリスクを軽減するという事です。さらに、1996年9月の情報によるとブリティッシュ メディカル ジャーナルでは新鮮な果物を含む毎日の食事は心臓発作の危険を24%も軽減するとの事。多くの研究者は、食べ物から得られる繊維や抗酸化物質や他の植物栄養素は、消化酵素うんぬんの前に、体を守る効果があるのは事実です。
野菜や果物が持つ栄養を高める為には、一般的に加熱調理時間を減らす工夫が重要です。出来るだけ多くの野菜と果物を食べるように心がけて下さい。新鮮な生の果物を食べる事を問題としない人はいても、生野菜を食べのは抵抗がある人ももちろんいます。ここでは出来るだけ多くの栄養を保持するコツを記しておきます。
(1) 出来るだけ新鮮な野菜を手に入れ、可能な限り良い、有機野菜を選びましょう
(2) 茹でるよりも蒸すようにし、少し焼くようにすれば味も良くなります。
(3) 調理時間を短くしましょう
一般的には「生」は良いですが、いつもベストであるとは限りません。
実際、加熱調理された物のほうが、栄養価が高くなったり、体内への吸収率が高くなったりする事もあります。台湾での研究やアメリカのラトジャー大学での研究者によると48種類の野菜の内、37種類は実際、加熱調理されたほうが鉄分の吸収率が上がる事を報告しています。又、キャベツからの鉄分吸収率は6.7%から27%増加した事も報告しています。ブロッコリーについては6%から30%になっています。驚くべき事に、トマトは生よりもソースにされたトマトのほうが栄養価が高いという事実です。
1995年12月6日付けの、Journal of the National Cancer Instituteによると調理されたトマトの摂取が前立腺癌のリスクを減らすという発表もありました。ハーバードの研究所で実験された結果によると、ラザニアやスパゲッティ等トマトの調理された食べ物1週間に10皿食べた人と、そうでない人では前立腺癌になる確立が45%減ったとの研究発表もありました。リコピンという強力な抗酸化物質が生のトマトより加熱調理されたトマトの方が体内吸収有効率が高いのです。
生が良い、そうじゃない という論争は長年続いていますが、いずれにしても重要なのは、どっちにしても野菜や果物を毎日多く食べる事です。残念な事に、多くの人が十分な量の野菜と果物を食べていません。果物や野菜には多くのビタミン、ミネラル、酵素や抗酸化物質のような植物栄養素が、含まれています。世界中の化学者や政府機関の専門家は毎日5〜9盛り分の野菜と果物をとるように勧めていますが、実際にはアメリカ人の平均を調べてみると、3.6盛りとなっていて、はるかに足りない事がわかります。
何にもまして、バランスが一番大切です。2、3日果物と野菜と浄化された水だけで過ごすと体の解毒が施されます。ビタミンやミネラルも加熱処理による調理で多くの栄養素が失われていますので、実際に食べてる野菜には栄養価が低くなってる事も知っておく必要があります。油の種類にも気を使って下さい、オリーブオイル、ごま油、キャノーラ油を使うべきです。油を長時間加熱しない事も大切です。
もちろんより多く噛む事はより良い消化を促す点でも重要です。
皆さんが購入してる90%の食品は加工食品であるという専門家もいます。これらの食品は栄養はもちろん十分な繊維等も含みません。加工食品は便利ですが、香料、着色料、保存料等がふんだんに使われています。自然食品と比べると栄養価の全く異なる物です。一つの良い例が、炭酸飲料です。多く飲むと、カルシウム等の吸収を阻害する事実があります。まさに酸性飲料ですから体が適切なペーハーバランスを保つには大変な代謝努力が体内で必要になります。虫歯の原因になる事からもアメリカ中でソフトドリンクの販売を制限する運動が起きてる程です。
悪い脂肪分は取らない事です。食品ラベルを呼んで発音出来ないような成分表記が書いてあったら購入すべきではありません。
100gあたりでのORAC値(体内で酸化を引き起こすフリーラジカルを減らす力を測定するもの)
上から順に、
1・プルーン (5770)
2・レーズン (2830)
3・ブルーベリー (2400)
4・ブラックベリー (2036)
5・いちご (1540)
6・ラズベリー (1220)
7・プラム (949)
8・オレンジ (750)
9・赤ぶどう (739)
10・チェリー (670)
11・キウイ (602)
12・グレープフルーツ(483)
1・ケール (1770)
2・ほうれん草 (1260)
3・メキャベツ (980)
4・アルファルファ (930)
5・ブロッコリー (890)
6・ビーツ (840)
7・赤唐辛子 (710)
8・玉ねぎ (450)
9・コーン (400)
10・なす (390)
(タフツ大学、USDA人間栄養研究センターからの資料)
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