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南方都市報 2003年10月11日 

 『飛鷹』(シルバーホーク)インタビュー 
 

アクション映画の女王、ミシェール・ヨーの最新作『飛鷹』は
『天脉伝奇』に続く、天津電影製作廠と香港浩瀚電影娯楽有限公司の
合作映画です。

『飛鷹』のストーリーは、もともと武術に長けた女性が悪人を
やっつける話ではあるけれど、今回はSFの要素を取り入れ、
新鮮なものに仕上げています。 

二千万米ドルを費やしたという大作映画は当初から人々の目を引いていました。
現在、制作の最終段階に入っているところですが、公開時期は未だに確定せず、
早くても来年の一月公開とのこと。

昨日午後、ミシェール・ヨーさんと浩瀚電影社長の鐘再思さんはインタビューで
『飛鷹』撮影への熱意と苦労話を語ってくれました。

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記者 :『飛鷹』制作の後半部分の作業は順調に進んでいますか?

鐘再思:制作の後半部分というのは大変重要ですから、多くの時間を
    かけたいと思っています。 俳優、監督、照明、衣装、セットなど
    いかにすばらしくても、編集がまずければ、良い映画と言えません
    からね。 それから、我々はCGの効果も加えようとしていて
    更によい仕上がりとなるはずです。

記者 :最近ハリウッド映画ではCGが頻繁に使われていますが、
    これについてはどのように思われますか?
    
鐘再思:たとえばマトリックスのシリーズのように、今は多くのアクション映画が
    ありますね。 時代劇の大作『ベン・ハー』のような100万の群集のシーン
    もCGを使えばできてしまうわけです。
    しかし、そうなるといわゆるある種の物足りなさを感じるのですよ。 
    例えば『マトリックス リローデッド』では、車の上での戦闘シーンがありま
    したが、観客はCGと現実の演技は違うとわかっているわけです。
     飛び上がるアクションも絵だとわかっているし、現実感という
    ものがないんです。    ですから、私はCGは映像の補助でしかなく
    全てではないと強調したいですね。
 
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記者 : 『飛鷹』ではリッチー・レンが360度回転するアクションをやったそうですが
     これはスタントを使ったのですか、それとも本人が自ら?
     
鐘再思: リッチー・レンのアクションシーンは全て本人が演じています。
     彼は以前ラブストーリーしか演じられないとされていましたが、彼は体力が
     あるし基礎的な訓練がしっかりしています。
     
記者 : 今回の作品では当初からリッチーを男性の主役として考えていらしたのですか?

ミシェール・ヨー:
     シナリオを検討していたとき、この役を演じるのに最も相応しいのは
     誰かということになって、全員一致でリッチーに決まりました。
     彼もシナリオを見てすぐに承諾してくれたんですよ。
     これまで演じたラブストーリーとは違うからということでした。
     今回はアクションシーンがたくさんありましたが、俳優でありながら
     とてもアクションに積極的で、私たちはすぐに同調できました。

記者 : 今回の作品のテーマは”アクション、コメディ、サスペンス”の
     三位一体ということでしょうか?
     
ミシェール:
     サスペンスはありませんし、それほどシリアスでもありません。
     主に、マンガチックなプロットと、アクションとコメディですね。
     要するにエンタテイメントですよ。 スーパーヒーローものの映画は
     結構暗いじゃないですか。例えば『バットマン』のような多くの映画は
     悲劇的な色彩が濃いんです。 これらの作品は殆どが”仇討ち”が
     メインですが、『飛鷹』は楽しい未来のストーリーにしたいと
     思っています。
     
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記者 : 最も印象が深いシーンは?

ミシェール:
     万里の長城越えのシーンですね。
     長城の九門口で撮影しました。 準備にほぼ二週間かかりました。
     最適な位置を探し、一方で台を作りながら、もう一方にはマットと
     ゴミ箱を置いてあらゆる安全措置を講じてからはじめて撮影しました。
     
     BMWのバイクを借りました。普段私もバイクには乗ってますが
     今回は全然違うんです。長城を飛び越えなきゃならないから、
     精神を集中してやらなければならないでしょう。 結局、このシーンは
     一回で撮れました。とてもスムーズだったと思います。
     
     
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記者: ミシェールさんが演じた黄鷺鷺はかっこいいですよね。
    今まで演じたどの役よりも変化が多いのでは?
              
ミシェール:
    そうです(笑)。こんなに衣装を取り替えた映画というのは初めてです。
    黄鷺鷺はとても成功した実業家であると同時に流行の先端を行く女性でも
    あるんですよね。 彼女が”飛鷹”に変身した後、衣装がめまぐるしく
    変わります。 衣装の色は主にシルバーを使っていますが、気分にあわせて
    ショートパンツやブーツなども含めて色々な衣装に着替えました。
    
    バットマンやスーパーマンでは主役はいつも同じ服装でしょう。
    でも衣装の仲文さんと監督が話し合って、それぞれの配役の
    性格から、配役ごとにテーマカラーを合わせました。
    リッチーの衣装は少し濃い色にするとか。 飛鷹の衣装は飄々としていて
    彼女が飛んでくるとき、人が飛んでくるというだけじゃなく、衣装も風に
    なびいてひらひらするのがとても綺麗なんですよ。
    
                        

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記者 :飛鷹を演じる上で、一番つらかったことは?

ミシェール:
    ハイヒールを履いてのアクションが辛かったですね。
    完璧を目指すために、撮影担当の方が、私の足を実際よりも長く
    みせたかったんです。
    だから多くのアクションシーンではハイヒールを履かなければ
    なりませんでした。 すごくキツかったですが、良い結果が得られれば
    満足です。
    
    
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記者 :撮影中に最も困難な時期というのは上海でSARSが流行していた時期との
    ことですが、どのようにして過ごされていましたか?
    
鐘再思:北京にいた時は、新しい病気が発生したくらいしかわかりませんでしたし
    何が起きたのか全然わからなかったんです。
    当時、SARSの感染の状況はそれほどひどくありませんでした。
    
    私たちが北京を離れて上海に着いた頃が、最も感染が広がっていた時期でしたが
    そのときはいろいろ予防策をこうじていました。
    一番恐ろしかったのは、敵役の外国人俳優がいましてね、彼の運転手が
    まず発熱したんです。それから彼を診た医者とメイク担当が発熱して・・・
    幸い彼らは普通の熱だったんで、映画のほうは順調に撮影できました。
    
            
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記者 : 『飛鷹』を撮った理由は?


鐘再思: 『天脉伝奇』の宣伝をしていたとき、丁度アメリカの『スパイダーマン』が
     大ヒットしていました。
     それで私たちは国内の制作会社に、中国人の義侠精神を反映した映画を
     撮れないだろうかと提案して認められたというわけです。
     海外での出展は考えていません。中国で上映される全ての映画は農村生活を
     反映したドラマですから、超現代的な映画を作って、中国の最も現代的なものを
     皆さんに見ていただきたいと思いました。
     
記者 :香港映画は『インファナル・アフェア』からドラマ性を重視する時代に入ったと
    されていますが、今回のアクション映画ではドラマは重視しないのですか?
    
ミシェール:
    そうですね。シナリオを検討していたとき、アクションに気をつけるだけでなく
    ドラマも考えました。ストーリーに内容や主題がなければ、観客にすぐに忘れられて
    しまいますから、ドラマにも重点を置いていますよ。
              

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記者 :ジングル・マ監督を採用した理由は?

ミシェール:
    彼が『東京攻略』を撮り終わった後、次は彼に撮ってほしいと考えていました。
    彼はもともと有名な撮影カメラマンで、監督に転向後は、一般の人よりも
    撮影と監督の差異をよくわかっています。
    
    それに彼はすごく良い人で、義理堅い友人なんですよ。だからプロデューサーも
    最も良い俳優と監督を配置して火花を散らすことができたのです。
    
    とりわけ、リッチーと李冰冰は素晴らしいですね。冰冰は冷酷な殺し屋なんですが
    とても新鮮で、彼女自身もとても勤勉な俳優でもあります。
    
(原文)
http://www.nanfangdaily.com.cn/ds/20031011/ylxw/200310110236.asp