◆■ 遺跡見学会 ■◆
   

2003年8月2日(土曜日)。北海道考古学会主催の遺跡見学会に参加しました。
 
  
小樽、余市、岩内の縄文時代の遺跡と、各地の郷土資料館等の観覧も含め、1日のコースは大変盛りだくさんな内容です。 これまで、遺跡については興味はあったものの、なかなか見に行く機会もなかったので、有名な遺跡も今回が初めてのところばかり。何よりも丁寧な解説付だったのでとてもわかりやすく、素人でも十分楽しめました。
 
▼小樽市忍路環状列石

楕円形に石が並べられているストーンサークル。

ごく普通の畑の農道を入るといきなりストーンサークルが現れます。 お行儀よく並んでいる石は石仏のようでもあり、やはり”奇妙な景色”でした。 

明治時代から有名な遺跡だったそうですが、付近にこんな大きな石はないため、昔は手ごろな建材として持ち出す人もいました。 明治時代に皇太子が行幸した際に、このストーンサークルを見るということで、慌てて持ち出した石を回収し、並べなおした部分もあるのだとか。

今は、石を持ち出すのではなく、なぜかいつのまにか増えていたりするそうです。

このストーンサークルを作った主がいなくなり、使用目的もわからなくなって久しいけれどそのまま静かに埋もれてしまうのでなく、後世の人が石を持ち去ったり、持ち込んで積んでみたり、石を巡って右往左往する様子を想像すると、不謹慎かもしれないけれど、なんだか可笑しい・・。
    
(ストーンサークルは、国指定の史跡なので立ち入り禁止になっています。しかしいろいろな人がいるもので、勝手にこの中に入ってUFOと交信を試みる輩もいるのだとか。UFOも面白いけれど、3000年以上も前にここに住んでいた人々が何を思いながら暮らし、この石を積んだのか考える方が、ここにいる自分自身に繋がることなのだから、余計にワクワクすると思うのだけどなぁ・・・。)
  

▼余市町西崎山環状列石
 
車1台がやっと通れるくらいの狭い坂道の曲がり角を大型バスがソロソロと右折するのが一番恐かった〜〜(恐)。ちょっとわかりにくい場所で、ここはよほど興味のある人でなければ来ないでしょう。
 
100段はあろうかという急な階段を上り、林を抜けると突然→ストーンサークルが現れます。
  
高台からの眺めはすばらしく、夕日を眺めるには絶好のスポットですね。。
デートスポットとしても、穴場中の穴場と言えるでしょう。人は来なさそうだし、男子のほうは古代ロマンについての薀蓄を語れるし。そして海を眺める絶景で盛り上がること間違いなし。ただし、蚊が多いので注意。
 
駐車場ではきのこ狩りのグループとすれ違いました。山の幸も豊富なようです。

  
←西崎山のストーンサークルのすぐ近くから見た景色。海の向こうに見えるのが「シリパ岬」。忍路環状列石に使われた石はこの岬の石ではないかという説があるそうです。 ・・・すごく遠い! 

▼岩内町東山遺跡 発掘現場
  
このあたりまで来ると多少疲れてきて、移動中のバスではしばし爆睡。 寝ぼけ眼でバスを降りたら、いきなりこの景色!! 岩内町の墓地と民家の間にある生活道路の幅いっぱいが発掘現場になっていました。

住宅地のど真ん中に非日常の発掘現場が現れるのは、すごくシュールなものです。 それでいきなり眠気もふっとびました。

湿った土はまさに「掘っている最中」で、土の表面には土器の破片などがそのままへばりついている状態でした。 博物館で見るとは全然違う迫力です。

ここには縄文時代の竪穴式住居跡や、ドングリなどの木の実を貯蔵した設備→、時代が下って奈良時代の住居跡などがあるのだそうです。
 

←竪穴式住居跡にある竈の煙道。石が使われているのは珍しいのだそうです。 縄文時代の設備をそのまま受け継いで奈良時代も住んでいたというのですが・・・・”100年住宅”どころじゃないですね。 

(このあたり、メモと記憶で書いてますが、違ってたらすみません。) 


▼赤井川村 土木沢川付近で黒曜石を拾う
石器といえば黒曜石。黒曜石はマグマが急速に冷やされてできた石です。
産地は限られていて、北海道内でも産地が数箇所にあり、それぞれに特徴があって、わかっている人が見れば、見ただけでも産地を特定できるのだとか。実際にサンプルを見せてもらうと、これが同じ黒曜石かと思うほどにはっきり違うのでびっくり。

面白いと思ったのは、北海道産の黒曜石が東北でも使われたり、ロシアでも発見されたりしていること。 しかも質の良いものは更に遠くに運ばれるのだそうです。こういう話を聞くと、人間のやっていることは何千年たっても余り変わらないなとつくづく・・・。
 
左下が土木沢川の様子。 右下の写真は一応川底。水色の矢印の先にある灰色の石が大きな黒曜石です。(長さ25センチくらい) 川の中にも、すぐそばの道路にも探すとたくさん黒曜石が落ちていました。 バスから降りた参加者たちは嬉々として黒曜石探しを始めました。 石ころを拾うシュミはないつもりだった私もついついつられて拾ってきてしまいました。 
  
 
ピンボケになってしまいましたが、→これらは拾ってきた赤井川産の黒曜石。左下のには特徴的な白い斑点がついてました。

この他に郷土資料館、博物館など3軒を訪ねました。 膨大な民族資料があっても、整理されずに漠然と積み上げられて、まるで古道具屋か資料館かわからないところもあり、それはそれで何やらわけのわからない迫力はあったのですが、せっかくなのだからもっと整理したり使い方を書いた説明をつけるとかすればいいのに・・・と思うのですが。 
 
それでも見に行く価値はあり。 特に岩内の郷土資料館は、古民具どっさりで面白いです。
 
なにはともあれ、お腹一杯の充実した一日ツアーでした。

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