情報公開条例制定
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12月21日の本会議で足立区議会の情報公開条例が制定されました。これは2001年1月1日
から足立区が制定した情報公開条例に合わせて、区議会としても区民への情報公開をいっそう促進
するため制定したものです。
条例は区議会の幹事長会のもとに区議会の情報公開制度検討委員会を設け、検討してきたもので
このたび、全会派が一致したため条例が制定されたものです。
検討委員会で最大の問題は区民の「知る権利」の明文化でした。
日本共産党の委員である私は都議会の条例のように「前文に知る権利」を明記するように提案しました。
しかし、自民党委員から「知る権利」は憲法上の規定もなくあいまいなもので、「知る権利」だけが一人
歩きして、個人のプライバシーの保護ということと矛盾してくる。しかも、説明責任をうたっているの
だから、「知る権利」の明文化は必要ないという主張をしました。
公明党委員からは「知る権利」の主張も理解はできるが、裁量的公開という規定もあるなど、曖昧で
ある。「知る権利を入れた場合、裁判でいろいろ問題になったときに困ると思う。したがって明文化
しなくともいい」という主張をしました。
民主党委員からは「知る権利」は近代社会になって国民のさまざまな運動で広がってきたものだ。
したがって、知る権利は明記すべきである。
そこで「知る権利」について、突っ込んだ議論が行われました。最終的には、「知る権利」という
言葉は明文化しないが、条文の中にその趣旨の具現化がされている。たとえば、第3条の2で「議長
は情報公開を求める区民の権利を十分に尊重しなければならない」という規定があるので、
「知る権利は別の言い方で入っている」という理解で合意しました。
また、議会が非公開を決定し、区民が不服申し立てをした場合、それを救済する機関として「区議会
情報公開審査会」の委員が区議会議員では公平性を確保したとはいえないという指摘があり、第21条で
「審査会は不服申し立て人、学識経験者及び議会事務局の職員などの意見を聞く」となっており、
第三者の意見を聞くことを担保することで合意しました。
さらに、インターネットでの公開請求については、区議会がホームページ、Eメールアドレスをもって
いないので、ホームページを公開しなければ応じられないので、今後の課題となりました。
さらに、情報公開の定義について、区議会議長が「管理」している情報をさすのか、それとも「保有」
するものをさすのかについて、区議会事務局には議長の職務に関する情報と区長の権限に属する予算の
執行権などがあるが、「保有とは議長の所有権の帰属があるものさすと解される。管理は区長の予算執行
権に及ぶ議会事務局の情報も含まれると解されるので保有より管理のほうが幅が広いと理解されるので、
「管理」を採用しました。
なお、区議会情報公開条例は平成13年1月1日から施行されることになりました。
条例全文は以下のとおり
足立区議会情報公開条例 第一章 総則 (目的) 第一条 この条例は、地方自治の本旨にのっとった足立区政を実現するために、足立区議会(以下「議会」という。)の総合的な情報公開を積極的に進め、議会の諸活動を区民に説明する責任を全うし、もって議会に対する区民の理解と信頼を深め、足立区政の発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 情報 議会事務局の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真(マイクロフィルムを含む。)及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、議会事務局の職員が組織的に用いるものとして、足立区議会議長(以下「議長」という。)が管理しているものをいう。ただし、官報、公報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものを除く。 二 情報の開示 議長が、この条例の規定に基づき、情報を閲覧に供し、又はその写しを交付することをいう。 (議長の責務) 第三条 議長は、第一条の目的を達成するため、情報を開示することを原則としなければならない。 2 議長は、この条例の解釈及び運用に当たっては、情報の開示を求める区民の権利を十分に尊重しなければならない。この場合において、議長は、個人生活に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。 3 議長は、この条例に定める情報公開制度が適正かつ有効に活用されるよう条例の目的、内容及び運用等の周知に努めなければならない。 (情報の管理) 第四条 省略 (利用者の責務) 第五条 省略 第六条 第二章 情報の開示 (情報の開示を請求できるもの) 第六条 省略 (情報の開示の請求方法) 第七条 省略 (情報の開示義務) 第八条 議長は、開示の請求(以下「開示請求」という。)があったときは、開示請求に係る情報に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている場合を除き、当該情報の開示をしなければならない。 一 個人生活に関する情報で特定の個人が識別されうるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。 イ 法令及び条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行として公にされ、若しくは公にすることが予定されている情報 ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報 ハ 当該情報が公務員の職務遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分 二 法人(国及び地方公共団体を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより当該法人等又は当該事業を営む個人の利益を明らかに損なうと認められるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。 三 会派の活動に関する情報であって、開示することにより会派の活動に著しい支障が生ずると認められるもの 四 議会の事務又は事業に関する情報であって、次に掲げるもの イ 争訟、交渉、契約、検査、調査、研究、人事管理等議会の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの ロ 議会及び議会以外の区の機関並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるもの ハ 議会運営に関する情報であって、開示することにより重大な社会的障害の発生のおそれのあるもの 五 法令等の定めるところにより、開示することができないと認められる情報 (情報の一部開示) 第九条 省略 (公益上の理由による裁量的開示) 第十条 議長は、開示請求に係る情報に非開示情報(第八条第五号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該情報を開示することができる。 (情報の存否に関する情報) 第十一条 省略 (情報の開示の決定及び通知) 第十二条 省略 (第三者に対する意見書提出の機会の付与等) 第十三条 2 議長は、前項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該情報の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、議長は、開示決定後直ちに、当該意見書を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。 (情報の開示の方法) 第十四条 省略 (費用負担) 第十五条 この条例の規定による情報の閲覧については、無料とする。 (不服申立てがあった場合の手続) 第十六条 この条例の規定による議長の処分に不服のあるものは、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)の規定に基づく不服申立てができる。 2 省略 第四章 足立区議会情報公開審査会 (設置) 第十七条 議会の総合的な情報公開の推進を図り、開示請求者の救済機関としての役割を果たすため、足立区議会情報公開審査会(以下「審査会」という。)を置く。 (組織) 第十八条 審査会は、委員六人で組織する。 (会議) 第十九条 (調査権限) 第二十条 省略 (意見聴取等) 第二十一条 審査会は、審査のため必要があると認めるときは、不服申立人、学識経験者及び議会事務局の職員その他の関係人の出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は必要な調査をすることができる。 (実施状況の公表) 第二十七条 議長は、毎年一回議会における情報の開示等についての実施状況を取りまとめ、公表しなければならない。 (委任) 第二十八条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が定める。 付 則 1 この条例は、平成十三年一月一日から施行する。 2 この条例は、平成十二年四月一日以後に作成し、又は取得した情報について適用する。 |