ミキオの映画と人生ーパート2   

 

 

 サイダーハウス・ルール(2000年アメリカ)

 2000年アカデミー賞の2部門を受賞した

心を揺さぶる珠玉の名作である。旅立ち、家族の絆と愛情、人々との出会い、初恋、そして生きていくこと『サイダーハウス・ルール』は、大人になる過程で誰もが経験する道のりを優しく爽やかに描く感動作である。現代文学の巨匠ジョン・アーヴィングが自身の同名ベストセラーを脚色、アカデミー賞では主要7部門にノミネートされ、助演男優賞、脚色賞を受賞するという快挙を成し遂げた。

 この物語は自分の運命を発見するひとりの孤児、ホーマー・ウェルズの人生を中心に回る。その主役を演じるのが、トビー・マグワイアださらにアカデミー賞俳優マイケル・ケインが、頑固な医師で、孤児院の院長でありホーマーを育てたドクター・ラーチを演じる。

 シャーリーズ・セロンの演じるキャンディはロブスター漁師の娘という下層階級の役柄だ。

 メイン州ニュー・イングランド。ホーマー・ウェルズはセント・クラウズの孤児院で生まれ育った。ラーチ院長の「人の役に立つ存在になれ」という言い付けを守りつづけて成長した彼は、院長の仕事助産と当時禁止されていた堕胎を手伝うようになる。ある日手術に訪れたキャンディとその恋人ウォリーと共に孤児院を飛び出した。初めて見た海、ドライヴイン・シアター、ロブスター、そして初めての恋。セント・クラウズ以外の場所を訪れたことのなかったホーマーは驚きの目で新しい世界を発見して行く。ウォリーの誘いで、彼の母が経営するリンゴ農園で働き、収穫人たちの宿舎サイダーハウスで暮すことになったホーマー。新しい生活と人々との出会いの中で彼は何を見出していくのか。

 「おやすみ、メイン州の王子、そしてニュー・イングランドの王たちよ」と孤児院の子供たちによびかける言葉はとても印象的であった。ぜひ、見てください。

 

   

 トビー・マクワイアー         シャーリーズ・セロン   ニュー・イングランドの孤児院

 

 暗い日曜日(1999年 ドイツ・ハンガリー合作)

1930年代。オーナーのラズロ・サボーと恋人イロナ・ヴァルナイはブダペストに一軒のレストランをオープンした。店を繁盛させるためにピアニストを雇うことにした二人は、オーディションを行い、その中からイロナの推薦でアンドラーシュ・アラディを選ぶ。イロナの美貌とアンドラーシュのピアノ演奏で店が繁盛する中、イロナの誕生日、アンドラーシュはプレゼントの代わりに自作の曲「暗い日曜日」をイロナに捧げる。

自殺を誘う曲「暗い日曜日」が織りなす人間の愛憎劇。
 最初のシーンがラストの復讐劇に繋がっているのはちょっと予想できなかった。
 この作品もナチス・ドイツのユダヤ人迫害による悲劇が描かれているが、「暗い日曜日」との結びつきが今ひとつ。一人の女性と一緒にいたいがために二人の男がどちらも互いに嫉妬を抱きながらも、独占しようとせず、双方が我慢することによって、それがいつしか一人の女と二人の男の組み合わせという一見不安定ではあるが、意外と崩れない微妙な恋愛関係を形成していて、興味深かった。ヒロインのイロナ役エリカ・マロジャーンは美人でスタイルよく、申し分がない。
 しかし、それだけにナチスの高官ハンスのせいでアンドラーシュがイロナを残してあっさり自殺してしまったのは残念、ラズロの方はハンスが救いもなく収容所へ送られるという展開はたたかう人間としては不満がのこった。 

 

 天使がくれた時間  (2000年 アメリカ)

エリートの男性がある朝、目覚めたら、昔別れた恋人と夫婦になり、別の人生を歩んでいたという映画。コメディっぽいところとロマンチックなラブ・ストーリーがかさなっている。どんなに、喧嘩をしても真剣に愛してくれているジャックの妻ケイト役をティア・レオーニが好演。

あの愛らしいケイトと暮らす夢を見てしまったら、現実に戻った時、ジャックが現実のケイトと別れたくないと思うのもわかる気がする。それぐらい愛情あふれる演技で、映画のラストにかなうものだった。
 ジャック役ニコラス・ケイジの演技は大変よかった。

1987年、研修のためロンドンへ旅立とうとしていたジャックは空港で法律家をめざす恋人ケイトの見送りを受けていた。

ケイトはすべてを捨てて一緒に暮らしたいと言うが、ジャックは離れていても愛は変わらないと約束して旅立つ。13年後、ジャックは大会社の社長となり、優雅な独身生活を謳歌していた。 

何の不満もないジャックだったが、クリスマス・イブの夜、コンビニで店員とトラブルを起こした黒人青年キャッシュの調停をしていたことで、彼から謎めいた言葉を告げられる。

 翌朝、ジャックがベッドで目覚めると、自分の横に13年間一度も会ったことのなかったケイトが寝ていた。そこから、思わぬ展開が大変面白かった。

 

 ノッティングヒルの恋人(1999年 米・英)

ロンドンの小さな街ノッティングヒルで平凡な毎日を送る青年ウィリアム・タッカーの経営する旅行書専門店に世界的に有名なハリウッド映画スター、アナ・スコットが偶然、訪れる。その出会いをきっかけに恋の生涯が展開されていく。

 

  

 

 コメディとラブ・ロマンの調和がとれた感動的な映画。出演者全員のチームワークが取れていて、演技に不自然さがなく、素晴らしい。キャラクターそれぞれに個性が描かれていて、印象深く、それが主人公と密接に関わっている点も実に緻密。

 また、ドラマもタッカーを中心に話を進めたことで、観る側は素直に登場人物に感情移入が出来てよい。最後の告白シーンの演出、エピローグでの歌を流しながらの後日談、どれも非常に計算されていて、感動できる。ローマの休日のリメイク版という感じはあまりしなかった。

 役者としては、ヒュー・グラントがタッカー役をうだつは上がらない、気の優しい男をうまく表現している。ジュリア・ロバーツはアナ役―女優を自然に演じていた。スパイク役リス・エヴァンスは人を笑わせるタイミングがうまい。ベラ(ジーナ・マッキー)とマックス(ティム・マッキンリー)の深い夫婦愛も印象に残った。

 私としては、毎年行っているロンドンの町並みを思いして懐かしさを感じている。とりわけ、映画にもでてくるポートペトー通りの蚤の市をヒューグラントが季節を感じさせて歩くシーンは印象深く残っている。

 

  

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