来年度、二学期制の全校実施で
子どもの学力向上とゆとりにつながるか

 

 

 

 

 


1年を前期、後期に分けて学校教育をすすめる二学期制。足立区では2004年度から全小・中学校で実施すると発表しましたが、区議会文教委員会での質疑や試行実施している学校、すでに全校実施している仙台市などの自治体の例を参考に検証してみたいと思います。

 授業時数が増える?

 二期制になると授業時数が増えると区教委は言っていますが、加賀中や栗島中の報告でも授業時数は三学期制でも行事のやりくりで増やすことは十分に可能です。

 14年度に二期制を試行した加賀中学校の報告書には、「三学期制でも授業時数の確保は十分可能ですとのべています。同じく栗島中でも三学期制のもとで24時間の授業時数をふやした」という報告もあります。

 学力向上のためには少人数学級を推進することが本来の教育行政の仕事ではないでしょうか。

 ゆとりは本当に生まれるか

 小手先の教育改革ではなく、教育条件の整備こそ求められます。

通知表が二回になるため、夏・冬の休み前に学習カードなどを作成することになり、事実上、四学期制という指摘もあり、教職員の負担が増えてしまうというデメリットも生まれています。

 すでに昨年度から全市で実施している仙台市では、生徒、保護者、教師すべてがゆとりがなくなったというアンケート結果がでています。

 さらにアンケートでは2学期制より、3学期制がいいと答えた人が保護者では3倍です。

 

    

 

高校入試と二期生のリズムのズレ

中学三年生は現行の一学期(7月)の成績に基づいて三者面談を行い、目標の高校の設定や夏休みの課題を設定します。

 また、一学期の成績をもとにして、高校見学や体験入学を夏休み中にしています。

 二学期制だと一学期の評定が出ていないため、判断がつきにくく、12月の内申確定前の時に成績をださなくてはならず、高校入試へのリズムが悪いことははっきりしています。

 学力向上のさまたげは新学習指導要領

新学習指導要領は学習内容の基礎的な事項を切りはなし、系統性もなく、週休5日制で一時間に教えるスピードがはやくなり、わからない子が増える結果となりました。

 新学習指導要領を作成した三浦朱門氏は、「これで平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならん」と言い「できん子はできんままで結構」と公言し、「ゆとり教育」とはできる子を伸ばすための改定だということをあからさまに言いました。

 二期制で学力格差が広がる危険性があります。

長期の休み、連合行事などは三学期制のまま、

矛盾だらけの二学期制

今の三学期制では夏休みなど長期休業の前に評価評定がだされ、休業中に不得意教科の課題を設定して学習し、次の学期に入ることができました。

 二学期制では、夏休みも学期の途中であり課題の学習も途中です。節目をつくらず長期休業に入るのは、子どもたちの成長過程を考えたものとは言えません。二学期制をとっている高校や大学では夏休み前に前期の試験を済まして夏休みに入っています。

 宿泊行事や連合行事はどうなるのか、まだ、検討が決まっていないままの二学期制は矛盾だらけです。しかも、普通教室にクーラーも入っていない足立区では条件整備が整っていないま、推進していいのでしょうか。

 足立区の場合、教職員・PTA、地域に何の相談もなしに、16年度から二期制を実施すると一方的にマスコミに宣伝し、モデル校の検証もないまま実施しようとしていす。

 保護者の中には、子どもたちを実験材料にしないでという声もあがっているほどです。区民の皆さんのご意見・ご要望をお聞かせください。

 

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