5月2日 曇り/雨/晴れ 馬場島〜赤谷尾根2010m付近 天気のせいか、朝着でも馬場島荘前の駐車場に停めることができた。朝方 まで雨が残る予報で、高速も雨降りだったが、馬場島は曇りだった。林道 を歩いているうちに雨が降り始め、尾根取りつきの頃は本降りだった。 尾根取りつきからしばらくはテープがある。ネットの記録では藪尾根が強 調されていたが(心が折れるとか)、そこそこ雪があったせいか、そこま での藪ではなかった。(心が折れそうになるもっとひどい藪を経験してる せいもあるか…) 1550m付近で、昨日入山した男性4人組が下山してくるのとすれ違う。 赤谷山の雪の状態が悪くて、今朝も雨が降っていたし、雪崩そうだから下 りてきたと言っていた。 1800mくらいから藪も出なくなり、雪尾根を進み、赤谷山への急登を 明日に残して2010m付近で行動終了。 (タイム) 6:43 馬場島〜7:35 赤谷尾根取付〜10:55 1550ピーク〜14:05 1863ピーク〜 14:51 テント場 5月3日 晴れ テント場〜赤谷山〜赤ハゲ〜白ハゲ〜大窓〜池ノ平山2500mピーク下 昨日は日没から冷えたので、雪崩の心配はない。しかし、赤谷山の上りの 出だしの斜面は急なうえに雪面がガッチリ固まっていたので、なかなか足 を休めるステップを作れず難儀した。今回、今シーズンに買ったばかりの アイゼンだったので、固い雪面にもよく効いて助かった。(古いアイゼン を持って行くことも検討していた自分を反省) 赤谷山の山頂は平らで広く、行く先には既に3組ほど先行していた。 赤ハゲから先、いきなり緊張のトラバースから始まり、白ハゲから先は急 斜面の下降となり(1回滑落しかけた)、大窓へ降りるところで2ピッチ 懸垂下降した。雪壁の下降に近いところもあり、視界がないとルートの見 定めが難しいと思った。今回はトレースがあり、天気も良かったので、ル ートファインディングの労力は省略できた。 大窓からの登り返しは特に悪い所はないものの、2500mピークを越え たコルに下りるまで休憩なしで2時間行動し(立ち止まって息を整える頻 度も多かったが)、バテバテで、そのまま池ノ平山北峰に進みそうなリー ダー坂野に、その登りはムリと伝えて行動終了となる。 (タイム) 5:25 テント場〜6:57 赤谷山〜8:29 赤ハゲ〜10:21 白ハゲ〜11:49 大窓〜 14:07 テント場 5月4日 晴れ テント場〜池ノ平山〜小窓〜三ノ窓 前夜、テントの中では明日は早月小屋までだろうなどと話していた。 しかし何となく内臓的な体調不良。昨日のバテた胃腸が、夕食の本格スパ イスカレーを消化できなかったか…朝の雑炊を食べすぎたか、原因不明。 言いたくないけど、リーダー坂野に、今日は体調が悪いから休憩はなるべ く1時間に1回は取ってくれと伝える。 池ノ平山北峰へは傾斜の強い斜面を登っていくが、トレースが深くついて いるため、ペースは上がらないが、昨日の赤谷山斜面のようなきわどさは ない。振り向くと、自分たちのテント場のすぐ上のピークにテントがあっ て、人が一人出てきていた。 北峰から南峰へは、トレースに沿って急斜面をトラバースして下降する。 コルから南峰へ登る。南峰には山頂標識があり、その下で雨具のズボンを 脱ぐなどの調整をしていると、単独の人が現れて無言で通過していった。 上にテントを張っていた人だが、速い。(後日、ヤマレコの記録を見つけ たが、ブナクラ谷を登り、1泊2日で馬場島に下りてしまったらしい。) 南峰からは雪の斜面を下りていくが、途中、斜面の雪がズタズタになって いるところで草付きの灌木帯に入る。先を行っていたリーダー坂野が「階 段状です」と言う。リーダー坂野が先に行かずに留まってこちらの様子を 確認するときは大体が悪い箇所だ。確かに階段状だが傾斜が強く段差の大 きい草付きは結構ギリギリ。「ロープ出しますか?」と言うのに「出して くれればありがたいけど」と低い声で答える。 結局ロープなしで何とかこなし、雪の斜面に下りて急斜面をバックステッ プで下る。傾斜がきつくなり、緩んだ雪でステップが崩れ、段差が大きく なっているところでもたもたしながら何とか下りると、リーダー坂野が懸 垂下降の準備をしていた。3ピッチの懸垂で小窓に下りる。 小窓からの登り返しは、気温も上がり、ますますペースが上がらない。リ ーダー坂野がみるみる小さくなる。しばらく登るとロープが垂れてきて、 リーダー坂野が下りてきた。「?」と思っていると、この先の斜面の雪が 緩んではまる可能性があるので、脱出用にとロープを出してくれたらしい。 そのエリアも無事通過し、先を行くリーダー坂野が引きずる60mロープ の末端も、ずっと下から自分を追い越していって姿を消し、暑さと気持ち 悪さに耐えて登る。先の方でリーダー坂野が荷物を下ろしていたので、あ そこまで行けば休憩だと思いながら立ち止まり立ち止まり登っていくと、 近づいたところでリーダー坂野が荷物を背負い始める。 「休憩じゃないの!?」と叫ぶと、少し上の方が広いからと言って移動。 やっとのことでそこまで登り「今日体調悪いって言ったよね」と殺気立つ が、どこ吹く風の雰囲気のリーダー坂野。 小窓ノ頭は巻くかたちで小窓尾根に合流。ここからは2年前に歩いたルー トで、そんなにキツかった記憶はないのだが、えー!こんな登り返しあっ たっけ!?( ̄△ ̄;と、体力的な限界を感じた。三ノ窓への懸垂下降点ま での間にも1回休憩を入れ、懸垂2ピッチとトラバース。トラバースは雪 が多く残っていてこの日差しでも結構固くて悪い感じだった。 三ノ窓へ登り返し、池ノ谷ガリーは当然今日は無理。三ノ窓で行動終了。 己のふがいなさで、早月小屋には至らず、しかし三ノ窓の雰囲気は好きな ので、またテントが張れて嬉しくもある。 (タイム) 5:13 テント場〜5:52 池ノ平山北峰〜6:50 南峰〜8:56 小窓〜11:05 小窓尾根合流〜 13:33 三ノ窓 5月5日 晴れ 三ノ窓〜池ノ谷乗越〜剱岳〜早月小屋〜馬場島 今日のうちに下山できるのは確実だが、少しでも早めに出ようと2時起床。 朝イチの池ノ谷ガリーは、赤谷山を彷彿とさせる雪面の固さで氷化してい るところもあり、足を休められるような深いステップが少ない。後ろから ダブルアックスの3人組が登ってきており、途中で先行させる際、リーダ ー坂野がダブルアックスを揶揄するのにハラハラする。その人たちは黒部 横断をしてきたらしい。 池ノ谷乗越からひと登りすると、長次郎のコルまでは快晴の稜線歩きが気 持ちいい。コルから急な斜面を登る。2年前と比べると、こちらも雪が固 くしっかりと蹴り込みながら一歩ずつ登る。そして2年前はガスに巻かれ た山頂部は今年は快晴。富士山まで見え、展望を満喫する。 早月尾根の下りでは、氷化した凹角を1ピッチ懸垂し、獅子頭でも1ピッ チ懸垂する。あとは暑さとの闘い。早月小屋から下もますます暑くなり、 長い下りで濡れた靴の中で足にできたマメが破れ、痛みとも闘う。休憩を 要求したくても姿が見え、近づくと逃げ水のように消えるリーダー坂野を 追い、松尾平の末端付近でまたしても消えようとするリーダー坂野を強い 口調で引き留めて休憩をGet。 よれよれになりながらも無事に「試練と憧れ」の碑まで下り、きつかった 赤谷尾根山行が終わった。スマートな印象が残る小窓尾根に対し、赤谷尾 根には泥臭い印象が残った。 帰りはゆのみこ温泉に立ち寄り、回転寿司を食べて帰った。 (タイム) 4:39 三ノ窓〜5:32 池ノ谷乗越〜7:03 剱岳〜9:40 早月小屋〜13:15 馬場島 |