越百山







7月19日(日) 曇り/雨

今年の4月に松野さんと越百山に登ったとき、伊那側の広々とした谷を眺めながら
松野さんが言うには、以前、こっちから越百に登ったけど、沢沿いで滝とかもあって、
良かったよ♪とのこと。

50周年山行で、中央アルプスは南は空木岳までとなって、自分としては越百山まで
延ばしたい希望があり、伊那側から空木岳〜越百山だと下りてからの車の回収が
問題だなぁと思っていたところ、花村さんが伊奈川ダムからの越百山〜空木岳の計
画書を出したので、同じ日程で、自分も伊那側から「素敵な」登山道を辿る越百山
ピストンの計画を出した。

一般登山道だし、特に事前の情報収集もせずに臨んだ山行当日。登山地図にある
シオジ平自然園の駐車場を利用できると思っていたのに、林道法面の崩落の危険を
理由に随分手前(カモシカ展望台の入り口付近)で通行止めになっていた(下山時に
気付いたけど、歩行者も通行禁止らしい)。カモシカ展望台の方へ入ってすぐの所に
縦列で3台くらい止められるスペースがあった。

駐車場所から1時間くらい歩いて登山口。事前に花村さんに、下の方は藪だぞと言わ
れていたが、またまたぁ〜脅かさないでくださいよ、くらいなノリで深刻には捉えていな
かった。しかし、登山口を入ってすぐこんな感じだった。




一瞬ひるんだが、藪に突っ込んでみると、足元にはしっかりした踏み跡があり、所々
テープもある。踏み跡以外は藪で歩けないので、胸から顔くらいまで高さのある笹を
かき分けながら足元を確認して進む。普段歩いている笹の刈り払いがされた登山道
の有難さを実感するとともに、こんなに藪なのに登山道がしっかり残っているのも不
思議だった。

小さな沢を越えると背の高い笹薮はなくなり、登山道は沢沿いになる。踏み跡程度の
登山道は藪に埋もれているが、テープがしっかりと導いている。逆にテープを見失って
適当に進むと藪で行き詰まるので一旦戻ってテープを探す。

やがて乙女の滝に出る。ここは鎖を使って下り、左岸から右岸に渡る。




すぐに相生の滝。ここも左岸から右岸に渡らねばならないのだけど、ジャンプが苦手
な自分は、着地の悪いイメージが先行して跳ぶことができず、跳んで越えるしかない
急な流れを前に10分以上躊躇していた。




何とか跳んで敗退の危機を脱し、沢の巻道のような道を渡渉もまじえて進んで行く。
荒れているけれど登山道なので、沢のときにフェルト靴でそろそろと登るスラブ岩に
は足場が打ち込んであったりする。木のハシゴは大半が損壊していたが、ルート上で
唯一危険マークの付いているカモシカ落しの岩場には立派なハシゴが付けられていた。




飛竜の滝を越えたくらいから雨がぱらつき始める。最後に天気予報を見たのは昨日の
昼で、静岡の予報が晴れから曇りに変わっていたのはちょっと気になったが大して気
にもとめず、地図もビニール袋に入れてこなかった…。

それほど強い雨でもないので雨具を着けずにいたが、濡れた笹でズボンが濡れるので
仕方なく雨具を着ける。渡渉があったり、登山道に水が流れていたりで靴も濡れてくる。
そんななか、2300mを越えた辺りでルートを見失う。

急に行く先にテープがなくなってしまった。足元は沢の詰め上がりのようなガレた細い
窪み。窪みをそのまま上ってみると前方は急な傾斜と藪。左右も藪。仕方なく最後の
テープの所まで戻ってみるが、次がない。その前のテープまで戻るが周囲を見回しても
テープはなく、最後のテープの所で左右の藪に入ってみるが何もない。

雨で濡れた地図を出し、方向確認すると、現在いる窪みの方向が正しい。ここまで来て
撤退して宿題を残すのは嫌だ。もう二度と来たくないので、今回で完了させたい。雨で
びしょ濡れでモチベーションゼロだがそんな思いが強く(勿論、リミットは決めていたが)、
周囲を見回しながら藪を掴んで上に上がる。

すると右手に小さなピンク色のテープが見えた。その方向へ藪をトラバースし、ずるずる
滑りながら急斜面を強引に上がると踏み跡に出た。ルートは右の方を回り込んできていた
らしい。

踏み跡に出てからも、この辺りは踏み跡が藪に還っている部分もあり不明瞭でテープも
少ない。迷ったことで下りに備えてテープを足したりできたので却ってよかったかも(それ
でも下りで少し迷った)。

花村さんチームと12時に無線交信することになっていたので、12時に開けてみたが交
信できず、いくら何でももういないだろうと思いながら登り、コルに出る。コルにはこんな
標識が…。




通行止めかい!と思うが、確かに、下りのみで利用するのは危険かも…。稜線に雨は
なく、木曽側に出ると風があった。誰もいないガスで真っ白な山頂で写真を撮り、下りに
備えておにぎりを食べる。




下りは雨に濡れて滑るので、ただただ慎重に下るのみ。登りでロストしたところは越百
小屋跡の方へ回り込むところのテープを見落としていた。沢を渡った後、窪地方向に
誤って付けられたテープの方が目立ってしまっていた。登ってきた自分の目線も上に
向いていたから、トラバースする道の少し入ったところに付けられていたテープに気付
かなかったのだろう。

今回持参したのはいわゆる登山地図(5万分の1)だったが、後で2万5000分の1の
地形図を確認したら、登山地図には出ていない右への回り込みがちゃんと記載されて
いた。夏山でも地形図ですね。(反省)


ないよりは良いけど、微妙なハシゴが多かった。


下りは思ったよりも早いので、相生の滝の渡渉点にクサリを使って下りる所で、突然
テープがなくなっておろおろした他は順調に下った。心配した雨による増水もなく、
渡渉も、どうせ靴はもうぐしゃぐしゃなのでじゃぶじゃぶ水に入ってしまったので登り
よりラクだった。登山口に出る頃には雨も止んでいたのでカッパを脱いですっきりして
林道を駐車場まで戻った。

温泉は、松川温泉の清流苑へ。400円。自覚はなかったが、温泉のお湯に浸かったら
濡れた衣類を着続けて身体がとても冷えていたことがわかった。気を付けないといけ
ないと思った(老人か)。

今回多かった独り言:「痛っ!」(向う脛を計3回強打)、「悪っ!」、「全然良くない…」


(タイム)
5:18 駐車場〜6:19 登山口〜7:55 相生の滝〜9:18 飛竜の滝〜12:26 越百山〜
13:15 越百小屋跡〜15:35 相生の滝〜16:39 登山口〜17:36 駐車場