12月30日(水) 晴れ 前夜発。長谷村の道の駅「南アルプスむら」で仮眠。朝、戸台川の河原の駐車場へ 向かうとほぼ満車の状態だった。 駐車場には全く雪はなかったが、河原を歩いていくとうっすらと雪が出てきた。 角兵衛沢が近くなってくるが、前方の山に雪の気配はなく、テント場での水の心配が 頭をもたげてくる。やはり心配なので戸台川で水を2リットル汲んで行くことにする。 神谷さんは既に自宅で2リットル用意してここまで歩いて来たというから驚き。 戸台川を渡り、尾根に取り付く。終始急登。最後尾を遅れがちに歩き、3ピッチで岩小 屋に至り行動終了。そこには細いながらも水が出ており、ここまで運んだ水を泣く泣く 捨てて文字通りの岩清水を詰め直した。 後から男女2人組が登ってきて、隣にテントを張った。 (タイム) 7:57 駐車場〜9:54 角兵衛沢分岐〜12:56 岩小屋 12月31日(木) 晴れ よく寝れた。 雪のない角兵衛沢を登る。足元はガラガラで非常に悪い。最初は左側を登り、途 中から右側にある踏み跡を登る。 そろそろ1ピッチかと思う頃、大山にアクシデント発生。 岩に足を置いた瞬間、目の前から岩が飛び出して顔面を直撃した。これはやばい という痛みで、顔を押さえると間もなく鼻血がだらだらと出てきた。先行2人に 「鼻血出た!」とだけ声をかけて荷物を下せる所まで下りた。 歯は大丈夫。ヤッケやグローブが血で大分汚れてしまった。岩に落ちた血は既に 凍っている(装備に付いた血も、フリーズドライとなり行動中に擦れて取れてしまっ た)。鏡で見てもそんなすごい事にはなっておらず、鼻血が止まれば大丈夫だろう と判断。アクシデント発生から行動再開まで15分くらいだった。 しかし歩き始めてしばらくするとじわじわと鼻血が出てくる感覚があったので、仕方 なくこの日一日は鼻にティッシュを詰めて行動することになる。 何で岩が飛び出したのかという点については、当初は何が起こったか分からず混乱 していたこともあり、足を置いたタイミングと岩が飛び出したタイミングとがあまりに 一致していたことから、たまたま偶然にその岩に足を置くと上の岩が飛び出す仕掛 けができていたのに引っ掛かったのだろうということで納得していた。 しかし、落ち着いて考えたところ、落石に当たったとの結論に至った。落石というと 上から落ちてくるイメージしかなかったため、顔の正面から岩が飛んだということで 最初は可能性の候補に上がらなかったが、バウンドした岩が当たったとすれば充分 に有り得るし、バウンドして衝撃が緩和されたものが当たったため、怪我も小さくて 済んだのだろう。傷は受傷後、1週間でカサブタまで取れた(痛みは続いているが)。 コルが近くなると雪も増えてきて、コルの手前に1か所、テント場が整地されていた。 角兵衛沢は結構風があったが、コルに上がると更なる強風に晒された。 ここでアイゼンを着けて稜線の縦走のスタート。1ピッチで第1高点に到着。 第一高点からはこれから辿るルートが一望できる。 第一高点から下り、小ギャップのコルへは懸垂で下りる。登り返しは左の岩稜にルー トあり。その先の岩のリッジも右側にルートが取れた。雪が少ないせいでルートが出 ている。しかし、岩稜から鹿窓へのトラバースに下りる所が一枚岩で足が届かず際ど かった。鹿窓の上には右側から上がったが、岩が出ていてちょっと嫌な感じだったが、 神谷さんは躊躇なく花村リーダーに付いていく。 第三高点を過ぎ、いよいよ大ギャップのコルへの懸垂。前回間違えて下りた残置ロー プの所まで来ると下から声がする。先行している2人組はここから下りたようだ。ここ から下りると1ピッチでは下りられない。ロープを出し、花村リーダーが悪そうなトラバ ースをコル上の懸垂ポイントを目指してリードしていく。ロープをフィックスして、神谷さ んが続く。 コルの上まで至り、ガイド本の記述と照らし合わせると、トラバースはもう少し上の 方でするものと思われた。何はともあれ、リーダーの突破のお蔭で今回は無事に 大ギャップのコルに下りることができた。 コルからは雪がなくてガレガレのルンゼを下り(前回は股まで雪に埋まったのに…) 第二高点から延びる尾根に上がる。この尾根も上部は這松の藪に閉口しながら やっとのことで第二高点に登る。 ここから中ノ川乗越への下りも足場の悪いガレを下り、乗越で本日の行動終了。 (タイム) 7:05 岩小屋〜9:16 角兵衛沢のコル〜10:25 第一高点〜13:18 大ギャップのコル 14:12第二高点〜15:01 中ノ川乗越 1月1日(金) 晴れ 夜に雪が降って、木々が白くなっていた。 乗越からはいきなりの急登から始まり、上部に出てきたのは藪。 これが続いたら本日中に北沢峠まで至れるかと後で花村リーダーに言わしめた藪 だったが、心配するほどには続かなくてよかった。リーダー曰く、夏道はこの藪のピ ークは巻いているとのこと。 三ツ頭手前は静かな回廊のような樹林帯を歩き、やがて六合目小屋に至る。 六合目小屋から上は大きな花崗岩が積み重なったようになっており、越えるのが 大変。本日は大山のアイゼンが外れやすく、何度か皆の足を止めてしまった。 森林限界も越えてきて、岩をこなす頻度も多くなり、一つこなすごとに息を整えな いといけないくらい消耗する。いいペースで進んでいく2人からも遅れがち。 何とか登り切った甲斐駒の山頂で目に飛び込んできたのは富士山!超感動。 神谷さんは感動のあまり涙している。 山頂神社に初詣して下山。下りは雪が少ないので摩利支天の方を回って岩場を 避ける。駒津峰への登りがきつい。花村リーダーのトラップもあり、その後の双児 山への登りが更にきつくなる。鋸岳方面を振り返ると、正月か?と思うくらいに雪 がない。 下るにつれ雪が少なくなってきたのでアイゼンを外して北沢峠へ。テント場までが 意外に遠かった。 (タイム) 7:26 中ノ川乗越〜9:07 三ツ頭〜9:48 六合目小屋〜12:16 甲斐駒ケ岳〜 13:55 駒津峰〜15:55 北沢峠〜16:09 テント場 1月2日(土) 晴れ 下山。北沢峠までの地味な登りが疲れる。2ピッチで戸台川に下り、河原を2ピッチ 歩いて駐車場へ。仙流荘で汗を流して帰路についた。 (タイム) 7:17 テント場〜8:57 戸台川〜9:38 角兵衛沢分岐〜11:13 駐車場 |