八ヶ岳・石尊稜


L:大山、松野







2月7日(晴れ)

7年ぶり、3回目の石尊稜。前回も松野さんとだった。今回は権現岳東稜に向けてのトレーニング・
その1だけど、前回、下部岸壁の出だしのピッチのランナウトにビビッた記憶が強烈でわりと緊張して
臨んだ。

美濃戸口から美濃戸まで、行けるなら車で入ろうと思っていたが、八ヶ岳山荘の駐車場付近でチェー
ンを巻いている人がいるのを見てやめた。案の定、林道を下って川を渡って登り返す急カーブの路面
は一面の波打つ氷だった。切ない音が聞こえて振り返ると、いかつい四駆が登れずにもがいているの
が見えた。(ここは3月半ばに通ったときには雪面に深い轍が刻まれていて、自分は入口を入った所で
やばいと尻尾を巻いて引き返したが、帰りに新潟ナンバーの車が林道脇に車の底を上に向けて引っ
くり返っているのを見た。)

美濃戸山荘から赤岳鉱泉まで1ピッチ、そこから行者小屋へのトレースを歩く。途中、西面の谷筋へ向
かうトレースがあったが、自分たちの予定しているところではないのでスルーして、行者小屋へのトレー
スが中山乗越に向かって傾斜をつける辺りから西面の方へ向かって進んだ。しかしトレースはなく、
まさかのラッセル。やっとのことで樹林帯を抜けると谷筋に出て、そこにはさっき見たトレースの延長と
思われるトレースが続いていた。




傾斜の強い草付を登って下部岸壁の取付きへ。




1P目スタート。最近ダブルアックスが流行しているので、バイルを持ってきたがさすがに岩に引っか
けて登るのは恐くてできない。天気が良くオーバー手袋の必要がなく、わりと細かいホールドも持て
たのでそのまま登る。前回ランナウトを感じた出だしも、ボルトが打ち足されたのか(もっとも前回は
岩に突き当たってロープを出したため、ビレイの場所も悪かった)、すいすい登れたわけではないが、
前回よりは恐くなかった。

しかし途中から左上しなくてはならなかった所を真っ直ぐ登りすぎて崩れた岩に突き当たり、嫌なトラ
バースをする羽目になる。




ビレイしていると後ろからもう1チーム来ているのが見えた。

下部は全部で5ピッチロープを出す。ほとんど雪稜だが、雪が固く締まっていたのでロープがある方
が安心な個所が多かった。

一旦ロープを回収して雪稜を歩き、上部岸壁へ。本日のリードが雪稜ばかりだった松野さんから出だ
しの岩をリードしたいと申し出があり、松野さんからスタート。




凹角を登って岩稜に出て、2ピッチ目も岩稜をひと登りで終了。ロープを回収し、主稜線で荷物を片付
ける。雲は多いが辛うじて富士山が見えた。主稜線は風があり、休憩もそこそこに地蔵尾根の下降点
へと向かう。途中、阿弥陀岳の向こうに沈みゆく夕陽を見る。自分の置かれている状況とは無関係に
美しいと思う。




地蔵尾根の下降点まで来たところで、残留のR子さんは仕事中だろうということで、緊急連絡者の花村
さんに現時点での状況を連絡しておく。地蔵尾根上部の岩稜帯では日が落ちてもまだ比較的明るく
注意しながら下り(一回ルートを間違えるがすぐに回復)、樹林帯に入ると真っ暗だったがしっかりした
トレースがあり不安はない。

樹林を抜けると雪に埋まった行者小屋の窓の灯りがメルヘンチックでよかった。美味しそうな匂いの
漂う行者小屋の前で登攀装備を解いてのんびり休憩しながら、しかし温泉の時間が結構ぎりぎりな
ことに気付くと一目散に1ピッチで美濃戸口まで下った。


▲反省▼

日帰りなのに、スタートが遅かった。せめて、6時には美濃戸口を出られるようにしたい。


(タイム)

7:05 美濃戸口〜9:23 赤岳鉱泉〜11:08-45 下部岸壁取付〜15:16 上部岸壁取付〜16:38 主稜線〜
17:15 地蔵尾根下降点〜17:53-18:21 行者小屋〜20:03 美濃戸口