信濃俣河内








8月12日 晴れ

夏山は北アルプスの東沢谷を計画していたが、コロナで県外移動に抵抗が
あったところに、北アルプスの天気があまり良くない感じだったので、サ
ブ計画の信濃俣河内となった。

6月に偵察を兼ねて釣り山行で来た時には水量が多くて先に進めなくなっ
たが、今回はしばらく雨も降っていないし、前回と比べると水量はかなり
減っていた。

とはいえ、やはり泳ぎなら簡単に突破できそうな所も、泳げない自分がい
ては全て高巻きとなり、初日は第1ゴルジュ途中で終了。

余談。第一ゴルジュの入り口付近で、後ろからトレラン姿の人が追い付い
てきた。最初、ウェアの色だけ見てカップルかと思ったが、近くで見れば
何と片方は望月省吾氏だった。(カップルではなく男性同士だった)その
まま本日中に沢を抜けるとか。やはり超人ですな。


<タイム>
5:18 沼平 〜 6:32 右岸林道広場 〜 9:52 西沢出合 〜 12:49 三俣 〜
15:46 テント場


8月13日 晴れ

高巻きからスタート。朝から懸垂。今日の懸案は第二ゴルジュ。入り口で
その狭さの圧迫感に恐れをなした自分が入るのを嫌がり、大高巻き。第二
ゴルジュの出口には平和なテント場があり、そこで行動終了。

テント設営後は自分もテンカラ竿を出して釣りに出かける。しかし全く釣
れず。「入れ食い」の沢だってのを信じて来たのに…(涙)適当に見切り
をつけて焚き火の準備をしていると、第二ゴルジュから声がして、間もな
く4人組が現れた。すげー。すごくフレンドリーな人たちで、向こうから
いろいろ話しかけてきた。

その後、柴田リーダーも釣りに出かけたその人たちと会ったらしく、その
うちの一人は釣り雑誌に記事を書いているような、その筋の有名人だった
らしい。

今日は柴田リーダーに釣果があり、焚き火が華やいだ。


<タイム>
5:02 テント場 〜 9:58 オリタチ沢(二俣) 〜 14:45 テント場


8月14日 晴れ

本日の核心は第三ゴルジュ。歩き始めてしばらくは穏やかな渓相が続き、
滝が出ても軽い巻きで越えられる。ヨモギ沢とホオキ沢の出合を過ぎ、や
がて手ごわい高巻きを強いられる滝に出合う。これが第三ゴルジュの入り
口か?

左岸の斜面に取りつき、沢から離れすぎないよう意識しながら悪い斜面を
登る。リッジ状に出て、それに沿って登っていると、左側の斜面に続く踏
み跡があり、辿って行くとうまい具合に沢に下りることができた。沢に下
りる最後のクライムダウンで柴田リーダーが短く転落。幸い、ザックがクッ
ションになり大事なしだったが、ビビッた自分は細引きで懸垂して下りる。

第三ゴルジュは入口の高巻き以外悪い所はなく、西沢の二俣。ここを過ぎ
ると水量がぐんと減り、心配そうな柴田リーダー。お昼前に行動を打ち切
り、そうめんで腹ごしらえして釣りに出る。

釣れそうな淵はたくさんあるのに結局釣果なし。後で聞いた話では、釣れ
るのは西沢辺りまでらしい。


<タイム>
5:09 テント場 〜 7:15 第三ゴルジュ入口 〜 9:58 西沢出合〜
11:45 テント場


8月15日 晴れ

最終日。恐れていたゴルジュ帯は過ぎたので、あとは単調に沢を詰めるだけ
かと思いきや、滝が多かった。しかも結構大きなものまで。それも二俣を過
ぎるごとに流れは細くなり、藪っぽく足場の悪い沢を避けて休憩した所から
ふと見るとしっかりした登山道とも言えるような踏み跡が希望峰方向に延び
ていた。休憩しながら途中まで偵察。

最初、希望峰と仁田岳のコルに上がる予定だったが、変更してその踏み跡を
辿る。踏み跡は途中で消えたが、希望峰付近の登山道目指して上る。途中、
一昨日の4人組の先頭が追い付いてきたが、何とか逃げ切り、先に登山道に
上がる。(つまらない競争心が芽生えてしまった)

予備日を使っているので、リーダーが残留に電話を入れていた。そういえば
初日には、あまりに進まなかったので、予備日を使っても下山できるか少し
心配したっけな。

ここからは稜線歩き。快晴、最高!茶臼岳手前の上りで、疲れの見えたリー
ダーが突然「もうダメだー」と声を上げた。すると前方からひょっこりとト
レランの人が現れ、「もう少しですよ〜」と声をかけて光岳方面へと下って
行った。リーダー苦笑い。

茶臼岳直下でまた例の4人組の先頭が追い付いてきた。茶臼岳から茶臼小屋
に下る。小屋周辺には思ったよりテントがたくさんあった。そのうちの一つ
から変な声が断続的に発せられていて、下りながらリーダーの後ろでその声
の真似をしながら歩いていたらリーダーが小屋直下の階段を3段くらい踏み
外して頭から地面に落下した。

いつもならすぐ体勢を立て直すリーダーが呻いて起き上がらないのでビビる。
少しして起き上がり、恐る恐る帽子を取ると(血が苦手なので)、擦り傷程度
だった。しかし頭を打っているので、しばらく患部を冷しながらそこで休憩
する。沢がすぐ横を流れていて、手拭いを冷せてよかった。

自分が変な声の真似をしつこくしていたので、リーダーの気が散ってしまっ
たのではないかと反省した。

そこからの下りは慎重にゆっくり。横窪沢までが長かった。小屋には釣りっ
ぽい雰囲気の人がたくさんいた。横窪峠へは以前は斜面をトラバースして上
がっていたが、手前から尾根に上がって尾根通しに行くように登山道が変わっ
ていた。

そこからウソッコ沢小屋までの間も登山道が付け変わっていたり、小屋手前
の鉄製の橋が流されて仮橋のようなものになっていたり以前との違いに驚き
ながら歩いた。ウソッコ沢小屋から先も、沢が開けて明るくなっており、鉄
の橋が破壊されて仮橋が掛けられているのが数か所あった。これらは2年前
の台風の影響らしい。

そんな様子を写真に撮っていたら、いきなりバッテリー切れ。これは写真に
収めたいからリーダーにひと声かけて先に行ってもらい、ザックを下ろして
バッテリー交換…しようと思ったけど、ほんの数枚なら…とスマホ写真に切
り替える。

そんなことをしながら急ぎ足でリーダーを追うが、途中で道迷い。ここまで
登山道の付け替えでテープを目印に進むところが数か所あったので、目にし
たテープの方向に進んだら道がなくなった。しかし登山道の付け替えが多い
ので地図もGPSも信用ならず、取りあえず確かな所まで戻ろうとするが、
方向音痴のため、思ったのと違う方向に進んでしまう。落ち着け…と自分に
言い聞かせて、地図とコンパスで方向を確かめて何とか回復。ピンクテープ
がなければ迷いようがない感じだった。10分以上ロスした。少し行った先
でリーダーが待っていた。スミマセン…

沼平のゲートまで来ると、監視の人に下山届を促された。駐車場に戻り18
時半近く。温泉は望めそうもないと車の陰で着替えるが、白樺荘まで行った
ところでリーダーが中に入って聞きに行ってくれたら、時間は過ぎていたが
入らせてくれた。

最終日にプチトラブルが集中したが、充実した山行だった。


<タイム>
5:02 テント場 〜 9:51 縦走路 〜 11:57 茶臼小屋 〜 15:39 ウソッコ沢小屋
〜 17:22 畑薙大吊橋 〜 18:20 沼平