双 六 谷


リーダー:坂野   メンバー:松野、大山



8月15日(木) 晴れ

前夜、双六ダムを越えたところの駐車場まで入り仮眠する。ちょうど1台分空いていて縦列駐車で
無事駐車できた。

翌朝、ワイルドなトンネルが連続する林道を4時間ほど歩いて小倉谷出合の河原に着く。


河原にて沢装備を整え水に入る。出だし、流れは穏やかだが、思いのほか水流が重くて前途に
不安を覚える…


谷が狭まると水流が増え、渡渉も困難になる。まずリーダー坂野がロープを付けて突破し、次に
松野or大山が補助ロープを付けて確保してもらいながら進み、ラストがその補助ロープに確保
されて続く…というのを繰り返す。


高巻きの岩場も、困難な箇所は先を行くリーダー坂野が突破したところを確保してもらいながら
よじ登る。至れり尽くせりのサポートに感謝しつつも、ちょっと情けない…


そんなこんなで時間がかかり、打込谷出合はどこだ〜と言いながら進みつつ、地図を見てはそんな
に進んでいないことを自覚しつつ、時刻は午後4時を過ぎる。行き詰ったところを高巻いて上がった
藪の中にテントを張って1日目は終了とする。(本来のフライよりサイズの大きなフライが間違って
入っていたため、ちょっと不恰好)もちろん焚き火などできず濡れたままテントに入る。


(タイム)
6:57 駐車場〜8:15 第二ゲート〜9:11 金木戸取水口〜10:50 小倉谷出合〜11:19 入渓〜
16:50 ビバーク



8月16日(金) 晴れ

2日目は懸垂の下降点さがしから。足場の悪い斜面を少し下って絶壁を懸垂下降する。朝いちの
冷たい水をリーダー坂野が泳いで突破し、後に続くがすぐまた行き詰って高巻き&懸垂。

やがて見覚えのある壊れた橋が見えてきた。小倉谷出合から沢に入らず巻道を行けば昨日のうち
にここまで来れただろう。快適そうなテント場もあった。


そこから30分ちょっとで打込谷出合を通過する。これで1日遅れで入山しているはずの磯部チー
ムに追いつかれる心配はないと安心する。ポイントポイントでリーダー坂野の世話になりながら、
それでも昨日に比べれば沢自体は容易になった気がする。


やがて滝が見えてきた。時間的にビバーク地を探さなければならない頃で、リーダー坂野は滝の
方へ上がって行って適地を探しているようだ。しかし落石の危険がありそうで戻ってきて、対岸に
広い場所があったがあまり高くなくて増水時に不安がありお気に召さない様子。疲れて、もうここ
でいいじゃんと思っている大山から不穏な空気が漂う。温和な松野さんが中和剤だ。もう少し行っ
たカーブの先を確認したいというリーダーに従うが、その先はゴルジュで、戻ってテントを張る。


(タイム)
5:57 ビバーク地〜8:33 壊れた吊橋〜9:29 打込谷出合〜14:29 センズ谷出合〜
16:09 ビバーク(1580m)



8月17日(土) 晴れ

本日の核心は、通称「キンチヂミ」と言われる場所。水流が強く、泳ぎでの突破は困難。最初は
高巻きを試みるが藪に入ってしまい、リーダー坂野はスラブをトラバースして行った。


続いて大山がトライするが、「むり、無理、ムリ!!!」と泣きが入り、ザック泳法で引っ張ってもらう。


その先も1箇所、泳ぎがあり、リーダー坂野に引っ張ってもらう&水から上がるのにお助けスリング
を出してもらうなど完全にお客さま状態。やがて渓相も穏やかになってきて、前方に稜線が見える。
計画書でのビバーク予定地の2008mの辺りでリーダー坂野から行動終了の提案があるが、まだ
早いのでもう少し稼ぐことにする。(昨日のことで気を遣わせたか…)

2195m付近に適地があり行動終了。



(タイム)
6:10 ビバーク地〜9:23 蓮華谷出合〜15:09 ビバーク(2195m)



8月18日(日) 晴れ

だいぶ水流の少なくなった沢を行く。1ピッチで最後の二俣。やがて水流もなくなり薮の中を水の
流れた跡を頼りに登って行く。薮を抜けると草原状となり、縦走では出合えない景色の中を進む。


少し双六岳の方へ登りすぎてしまったが、無事に双六小屋に到着。小屋で沢装備を解き、カレーで
お腹を満たす。これが想定外に美味しかった。


空身で双六岳をピストンし、下山にかかる。灼熱の小池新道を秩父沢に下り、長かった夏山が終
わった。

(タイム)
5:23 ビバーク地〜6:15 二俣〜7:24 双六小屋〜8:30 双六岳〜11:28 鏡平〜15:27 新穂高温泉