槍ヶ岳









7月11日(土) 晴れ

槍ヶ岳に登るのは今回で10回目だ。本当なら今年の春山で硫黄尾根から登頂して
記念となるはずだったのに…残念ながら力およばず千丈沢乗越から下山した。

今年のうちに絶対!槍ヶ岳に登っておかねば!と思って、悶々と過ごした5月6月、
7月に入りそろそろ山が混み始めると焦って計画書を出したが第1週は天気が悪そう
なので延期、迎えた第2週の予報は完璧。展望を期待して出かけた。

深夜2時過ぎに新穂高の駐車場着。4時に起きるがまだ暗い。眠い。しばらくもぞもぞ
していたが意を決して起き、5時前に出発する。新穂高センターのポストに計画書を
提出して右俣林道を歩く。ちらほらと他にも登山者がいるが、歩くペースが速い。小屋
泊まり装備とテント装備の違いがあるのだから合わせても仕方ないと思いつつ、比較
的平坦な道でもありついついペースが上がってしまう。案の定、槍平から先、傾斜が
出てくると一気に足に疲労感が出てきた。まだまだ未熟者…。


槍平手前ではキンポウゲの咲く小路を歩く。


天気がいいのは有難いが、樹林を抜けると暑い。重い足取りで飛騨乗越の分岐に辿り
着く。ここからいよいよ想いを残してきた千丈沢乗越へと登る。高山植物の咲く登山道を
歩き、30分程で稜線に出た。


角度は違うけど、槍てぬぐいと槍ヶ岳。


雪が消え、緑が増えた山並みのなか、硫黄尾根の赤茶けた尾根の異質感が際立って
見える。ここから槍ヶ岳へと、春山の続きを歩く。…が、歩き出して15分もしないうちに
槍平以降、違和感を覚えつつも誤魔化して歩いてきた足の攣りが誤魔化し切れない
痛みとなり、しばらく休憩する。

それから、足の攣りが再発しないよう、足の状態を注意しながら、頻繁に立ち止まって
景色を楽しみつつ進む。


振り返れば懐かしい硫黄尾根


千丈沢乗越から槍の肩まで、正月に登った時には雪面をトラバースして最短距離を登っ
たが、夏道はジグザグに登山道が付けられていて、歩いても歩いても槍の肩に至らない。
やっとのことで槍の肩まで登った時にはへとへとだった。




槍ヶ岳山荘の前で一息ついてから槍ヶ岳へ向かう。かなり足にきている感じはあったが、
ゆっくり登れば大丈夫だろう。ハシゴの登りが疲れたけど無事に10回目の槍ヶ岳登頂!




槍ヶ岳山荘まで戻り、槍ヶ岳山荘名物の自販機でポカリを買う。500ml500円だったが
全部飲んでしまった。おかげで電解質バランスが調整されたのか、その後足が攣ること
はなかった。

南岳まで行く時間は十分にあったので先へ進む。飛騨乗越に下って大喰岳へ登る。




中岳直下にはハシゴがある。




中岳から南岳までは長い。中岳の下りが長い。天狗原分岐で本日最後のピークの南岳
の上りを眺めながら休憩してたら立ち上がりたくなくなるくらい疲れた。




南岳から小屋まではすぐ。テント場代はトイレ使用料込みで1,000円。水(天水)は
1リットル200円。CCレモン500円。食欲なく、日が落ちるまでテントでごろごろしていた。




(タイム)

4:53 駐車場〜8:32 槍平〜11:04 千丈沢乗越〜12:25 槍ヶ岳山荘〜12:48 槍ヶ岳〜
13:52 大喰岳〜15:18 天狗原分岐〜15:58 南岳小屋



7月12日(日) 晴れ

3時起床。3シーズンのシュラフでもやや寒かった。他のテントが動いている気配はある
が静か。出発の支度をして外に出ると残っているテントは他に1張くらいだった。小屋の
すぐ近くに絶好の撮影ポイントがあった。




ここからはヘルメットを着用。キレットへと下りて行く。ここを歩くのは3回目だが、南岳から
どんどん下ったことくらいしか記憶にない。鎖もあり、岩場を慎重に下る。途中、4人組に
道を譲られる。長谷川ピークを越えた辺りで振り返ると、他に2人組と3人組が見えた。
ずっと前方に単独者1人。みんなヘルメットを着けている。ここ数年ですごい普及率だ。




鎖は要所にがっちりセットされており、足場なども鉄杭のような物で作られていたりもする
一方、え、ここ鎖なしで下るの!?と思う所もあった。北穂へは頻繁に立ち止まり休憩を
しながら登り、山頂には誰もいなかった。




山頂から下って行くと、雪渓が残るところがあるも、不安なく通過できる程に幅広くきれい
に雪切りされている。芸術的…。ここに限らず、この時期、登山道に雪渓の残る箇所では、
周辺の山小屋によって雪切りがされているらしい。感謝。




涸沢岳までの間は、涸沢を隔てた前穂北尾根の稜線や、前穂〜奥穂への吊尾根の稜線
がきれいに眺められる。要所に鎖はセットされているが、ここはないの?(T−T)って思う
ところもやはりある。




前方には涸沢岳が壁のように立ちふさがる。眺めただけで疲労感が増す。普段、独り言
を嫌うが、暑い…、疲れた…などぼやきが口をついて出る。登山道脇に雪のある箇所も
出るが通過に問題はなかった。




山頂手前の急な凹角を鎖などを使って登ると、ヒョイっと涸沢岳の山頂部に出る。急に
景色が平らになる。奥穂は時間的にはぎりぎり行けるかもしれないが、疲れてわざわざ
行く気がしないので、ここが縦走最後のピークとなる。




穂高岳山荘に下ると、山荘前に登山者はいるものの閑散とした雰囲気。連休前の週末
だから少ないのかな。

ここから白出沢を下る登山道が、今回のルートの中で唯一初めて歩くので山行前から
心配していた。登山道情報は、槍ヶ岳山荘グループのHPのスタッフブログが充実して
いて参考になった。穂高岳山荘は更新が頻回でないので、少し前の情報を元にアイゼ
ン・ピッケルをここの下りのために歩荷してきたので装備的には不安はないが、残雪で
ルートをミスッて進退窮まったら…などと不安に思っていた。

下り出してみれば、コースマークのしっかりした登山道だった。ガレの中に安定した岩が
敷いてあり、コースマークに沿って下れば歩きやすい。しかし雪渓の手前くらいからコー
スマークがなくなり、ガレに足を取られて歩きにくい。そして、ものすごく暑い。2600m
付近で雪渓が現れ、アイゼンを着けて標高差250mくらいを快適に下る。見上げると、
白出沢のコルにある山荘が、ダムか要塞のように見える。下るのはまだいいが、灼熱
のガレ場を登るのはいやだなぁと思う。




とっしりと構える笠ヶ岳と対面しながら下り、荷継沢の合流点で沢から離れ、右岸の登
山道を下る。重太郎橋(角材が固定されているだけ)を渡り、歩きやすいがだらだらと
傾斜の緩い道を歩いて林道はまだかなぁと思う頃、林道より先に登山口に駐車された
車が目に入る。




疲れた足で林道を歩いて駐車場に戻ると、まだ結構な数の車があった。左俣側の山に
入っている人が多かったのだろうかと思った。


(タイム)

5:10 南岳小屋〜6:46 A沢のコル〜7:58 北穂高岳〜9:25 最低コル〜11:00 穂高岳山荘
〜12:54 荷継沢〜13:51 重太郎橋〜14:44 林道〜16:20 駐車場