『デュアン・サーク完結記念、
深沢美潮先生公認 お茶会』レポート

 深沢美潮先生のファンタジー小説『デュアン・サーク』の完結を記念して開かれたファン同士の交流ゲーム会。それが、『デュアン・サーク完結記念、深沢美潮先生公認 お茶会』です。

 ゲーム好きな深沢先生はボードゲームも大好き、ということで、ファン同士の交流を図りつつ、各種ボードゲームやカードゲームを遊んでしまおう、というわけ。
 以下は、このお茶会の報告であります。
 レポートを作成しているのは、会の主催者でもあるはせがわみやび・織神尚砥のふたり。
 さて。果たして、どんなお茶会だったのでしょう……。

はせがわみやび:
では、お茶会のレポートだ!
織神尚砥:はーい♪
み:今回の『デュアン・サーク完結記念、深沢美潮先生公認お茶会』は2011年の5月15日に開かれましたー!
織:ましたー!
み:さて織神くん、この日は何の日か知ってる?
織:5/15ですか?
み:そう。
織:知りません!
み:即答!? す、少しは考えるフリくらいして〜。
織:5月15日は──、ええと……わかりません!
み:考えてない! それは考えてないよ!
織:教えてください!
み:投げた!? わ、わかった。ええと、「国際家族デー」なんだって。
織:へぇ。
み:1993年9月の国連総会で制定された、と。
織:なるほど。つまり、家族団らんにもゲームはぴったりとか、そういう流れですか。
み:いや、とくに意味はない。
織:ないんかい! じゃ、そのネタ、なんで振ったんですか〜。

1.開会式〜最初のゲーム

み:
というわけで時間の針を戻そう。今は、5月15日の13時。お茶会の開始時間だ。場所は都内の旧小学校で、30人ほど収容できる教室の中。
織:すでに参加者のみなさんが集まってますねー。
み:織神くん、そういえば今日の参加者は何人なのかな?
織:5人です!
み:……えーと、もう一度聞こう。何人だって?
織:主催のみやびさんと僕、それと、ゲームのインストラクターを勤めてくれる(ず)さんの3人を足せば8人です!
み:ちょ、ちょっと寂しい……ね。
織:アットホームですよね♪
み:な……なんてポジティブシンキングなんだ……。

 事前の告知が遅れてしまったこともあって、少々寂しい参加人数になってしまいましたが、そこは考えよう。ファン同士が気兼ねなく語り合える空間を作れると考えましょう。
 主催者の開会の挨拶のあとは、全員が簡単な自己紹介をしました。

み:とゆーわけで、自己紹介も終わり。このあとテーブル分けする予定だったけど、どうしようか。というか、最初は何のゲームから始める?
織:あ、それは既に考えてあります。
み:ほぉ。なになに?
織:『キャット&チョコレート』のビジネス編。これをやりましょう。
み:それは何人まで遊べるの?
織:6人までですね。だから、参加者全員が参加できるかと。
み:おお! ちょうどいいね!

 そして『キャット&チョコレート』(ビジネス編)です。
 プレイヤーは全員がビジネスマン(ウーマン)という設定で、カードで示されるビジネスマンに降りかかるピンチ(危機)を手持ちのアイテムを駆使して乗り切る、というゲーム。
 詳しいゲームの説明は注釈ページを見ていただくとして……。

み:なるほど、このゲームは会話が活発になっていい感じだね。参加者のみんなも緊張がほぐれてきたみたいだ。
織:それに、答え方でその人の性格が出るんですよね。ああ、この人は、こういう人なんだなってわかるから、パーティの最初にやるにはいいと思ったんです。
み:なるほどねっ。
織:あと、ビジネス編は現実世界が舞台で、とっつきやすいですし。
み:確かに……。みんな、ちゃんと危機を乗り切ってるもん。すごいや。
織:というか、ゆいいつの「アウト」って、みやびさんなんですけど!
み:あ、いや、それはぁ……ごにょごにょ。

2.『グラフィティ』で遊ぶ

織:
……結局、危機を乗り切れなかったのはみやびさんだけでしたねー。
み:手、手札(アイテム)がよくなかったんだよ!
織:(じとー)
み:つ、次に行こう、次!
織:じゃあ、せっかくですから、もうひとつ全員で遊べるゲームをやりましょう。これです!
み:おお、それは『グラフィティ』じゃないか。
織:これは8人まで遊べます。つまり僕やみやびさん、インストラクターの(ず)さんまで含めて全員が遊べちゃいます。
み:やろうやろう。

 『グラフィティ』はお絵かきゲームです。
 カードで提示される「お題」にしたがってプレイヤーたちが絵を描き、描いたイラストを見て、親役の人が「お題」を当てます。当てると点が入るわけですね。それから、一番上手く描いた人にも点が入ります。

 一見、絵の上手いひとが有利なように思えますが、誰が描いたか当てられてしまうと、親に点が入り、当てられなければ絵を描いたひとに点が入る、というルールになっていますので、上手く描けば描くほど、あるいは個性的に描くほど、親からカモにされてしまって、ある意味で損をするわけ。
 そのあたりのジレンマも面白いところです。

み:このゲームの面白さは、なかなか文章では伝わらないかもね。というわけで、写真を撮っておいたぞ。
織:おお!?

み:さて、この写真の中のイラストを見て、「お題」がわかるかな?
織:車輪!
み:はずれー。
織:おやぁ……?
み:じゃ、もう一枚見せよう。



織:あ、わかりやすい。これは──ルーレット♪
み:あたり! これはその回で一番として親から2点もらったイラストだ。
織:納得です。
み:お絵かき終了直後の風景も写してみた。

み:こんな感じ。



織:おー、みんな真剣だぁ。
み:では、ここで今回の名画伯たちの描いた傑作をいくつか紹介しようか。



織:なんですか、この最後のアヤシイ踊りは……。
み:絵にコインが2個載っているってことは、このイラストがその回の最優秀ってことだ。
織:さいゆうしゅう……。あー、思い出した! これって、確か──。
み:おっと、ネタばれはそこまでだ! ゲームを遊ぶひとのために、このイラストのお題は隠しておくことにしよう。みなさんも考えてみてくださいね。
織:わかるかなぁ、これ。
み:なんてところで、そろそろ開始から2時間だ。
織:早いですねぇ。じゃあ、ここからはテーブルを2つに分けましょう。

 というわけで、テーブルを2つに分けて遊びました。
 ここでは、テーブルAとBとして紹介しましょう。

3.テーブルAで遊ぶ。『スピリッツ!』〜『ふくろのネズミ』

み:
まずは、プレイ風景の写真を。



織:スピリッツ!』ですね。
み:プラスチックのスピリット(幽霊)のフィギュアが可愛いよね。
織:1から3までの数字が書かれた手札を次々と場に出していく。数字を足していって7を越えてしまったひとが、場に溜まったカードを引き取る、っていう。
み:1回カードを引き取るごとにスピリットが一体付いてくる。スピリットの数が多い人が負け。
織:つまり、幽霊を引き取っちゃいけない?
み:そりゃまあ、幽霊は欲しくないだろう。
織:フィギュアは可愛いのに。
み:可愛くても負けだぞ? これ、単純だけど、けっこう盛りあがるよ。
織:そういえば確か、みやびさん負けてましたよね?
み:そこだけピンポイントで覚えていなくてもいいの!
織:あっという間に終わる手軽さもいいですよね。
み:何事もなかったかのように話を続けるなっ。

織:で、次に遊んだのが、『ふくろのネズミ』。
み:これは写真を撮り忘れたなー。
織:マンホールの中に隠れた泥棒ネズミを探すっていうゲームでした。
み:記憶力と推理力が試されるゲームだ。
織:最年長のみやびさんには厳しいゲームっていう。
み:だから、どーして私をディスるの!?
織:やだなあ、愛情ですよ、愛情。ほら、よく言うじゃないですか。
み:なんて?
織:バカな子ほど可愛いって。
み:バカって言われた!?
織:良い意味で、ですよ。良い意味で♪
み:ほんとかあ……?

4.テーブルBで遊ぶ。『ベイカーズ・ダズン』〜『ドメモ』

織:
で、僕たちが幽霊を押し付けあっている間、(ず)さんのテーブルは何を遊んでいたんでしょう。
み:最初は、これみたいだよ。



織:これは……紙のドーナツ?
み:そう。『ベイカーズ・ダズン』、つまり「パン屋さんの1ダース」っていうタイトルのゲームだ。詳細は注釈を見て欲しいかな。
織:カラフルなドーナツのイラストが楽しそうですね。
み:実は「ポイズン」(毒薬)というゲームのリメイクらしい。
織:毒薬がドーナツになってしまったんですか!
み:ファンシーだから、女性受けもいいみたい。
織:なるほど。
み:ドーナツを1枚ずつ出し合って、13を越えるとアウトっていう。
織:確かにドーナツに数字が書いてありますね。あ、幽霊のゲームとなんか似てます。
み:ゴーストの代わりにドーナツを押し付けあうゲームってとこかな。
織:うう、メタボりそうです……。

み:そして、2つ目に遊んでいたのが、これ。



織:ドメモ』だ!
み:そう。織神くんも大好きな数字当てゲームだ。これも文章だと説明しにくいゲームなんだけど……。自分の前に並んでいるプラスチックの札に数字が書いてあって、その数字は自分では見えなくなっている。
織:他のプレイヤーの数字しか見えないんですよね。
み:そう。数字の札は、1から7までの7種類があって、それぞれの数字ごとに数が決まっている。たとえば1だったら1枚。7だったら7枚、という風に。
織:見えている他人の札から、自分の札を当てる、と。
み:他人の札の中に7が7枚見えていたら……とか。
織:7は、ぜんぶで7枚しかないから、自分の手元には無いことがわかる!
み:そうやって可能性を考えて手札を推理していくわけだ。そうそう。このゲーム、昔は札がカードだったらしいよ。
織:プラスチックにして、テーブルに立つようにしたのが改良です。
み:確かに。ゲームにおいてコンポーネント(構成部品──ここではゲームの箱の中に入っているフィギュアとかカードとかの小物のこと)が如何に重要かってことだよね。
織:コンポーネントが良いと、遊ぶ気が増します♪
み:だよね!

5.メンバー・シャッフル

み:
ここで一度、テーブル分けを変えたんだっけ。
織:ほんとはもっと頻繁に変える予定だったんですけど、人数が少ないので、あまり変えなくとも充分交流できました。
み:『ドメモ』が好評で、もうちょっと遊びたい、という声があって。
織:引き続き『ドメモ』を遊ぶテーブルと、別のゲームを遊ぶテーブルに分かれたんです。
み:織神くんは『ドメモ』のテーブルに行ったんだよね。
織:みやびさんは何をやってたんですか?
み:ヘックメック』を遊んでた。これも遊ぶのに夢中で写真を撮り忘れちゃった。てへっ。
織:てへっ、じゃないですよ〜。仕方ないですねぇ。で、どんなゲームなんです?
み:ダイスゲームだよ。詳しいゲームの内容は注釈を見て欲しいんだけど、ダイスゲームだけに、ギャンブルっぽくて燃えた。
織:へー。
み:もちろん確率を計算して可能性の高い手を探るわけだけど、最後は運だからねぇ。
織:運……。それって、みやびさんに最も無いものじゃないですか!
み:し、失礼な!
織:だって……勝てたんですか?
み:負けた。
織:…………。
み:…………。
織:ファイトです!
み:お、おう!

 そろそろ時間も押し迫ってきて、閉会式まで一時間ってところまで辿りつきました。
 どうやら、最後のゲームになりそうです。

み:というわけで、今回の目玉だね。
織:はい♪
み:再び『キャット&チョコレート』だ。

6.最後のゲーム『キャット&チョコレート』

み:
これは最初に発売された「幽霊屋敷編」のほうだよね。
織:そうです。幽霊屋敷に乗り込んでいったときにありがちなピンチが押し寄せてくる。そのときに手持ちのアイテムを使ってどうにかして切り抜ける、っていう。
み:ホラー映画のノリかな。
織:ですねー。悪魔とか幽霊とか出てくるので、多少、ホラーとかファンタジーとかを知らないと、対応策を探しにくいかも。
み:と、いうと?
織:例えば、「注射器」というアイテムがあったとしますよね。
み:何に使うんだ、そんなもの!?
織:ふっふっふ。実は、この注射器には聖水が入っているのですよ!
み:ナ、ナースエンジェル……?
織:だから、幽霊が出てきたときは、ほら、この注射器で聖水をチュー、っと。
み:いいのか、それ。
織:そこはそれ。説得次第。でも、悪霊退治に聖水、って、そもそもホラー小説とか読んでないとわからないじゃないですか。
み:あー、なるほど。
織:そこがちょっとだけ敷居が高いかな、と。

 その敷居をもうちょっと上げてしまおうというのが、今回の特別仕様な『キャット&チョコレート』でした。
 なにしろ『デュアン・サーク完結記念』ですから。

「というわけで、実はこの幽霊屋敷はパステルやデュアンたちのいる世界にあります!」

 参加者のみなさんから、おお、とか、なるほど、という声が上がります。

織:ハードル上げましたねー。
み:まあ、全員が深沢美潮先生の作品ファンならでは、だね。本来の遊び方とは違うんだけど……。
織:そこはゲームの作者であるところの川上亮(秋口ぎぐる)様にお伺いしまして、ファンタジー風にして遊んでいいですかと尋ねたところ、快くどうぞどうぞと言っていただけました。
み:それはよかった。
織:ほんとは6人までなんですけど、ちょっとルール変更して全員(8人)で遊べるようにしたんですよね。
み:全員に○×の札をもってもらって、個人戦にしたんだ。
織:ひとりが答えて、残りの7人がセーフかアウトかの判定をするっていう。
み:そう。で、セーフが一番多かったひとが勝ち。
織:勝ち負けよりも、どれだけ面白い答えが出せるか、っていう大喜利みたいになってましたけど。
み:それもまたよし!
織:あれ? これも写真を撮ってないんですか?
み:ちゃんと撮ってあるよ。ほら。
織:あ、ほんとだ。でも、会話ゲームだけに、雑談してるようにしか見えないですねぇ。



み:と思って、ゲームの中のピンチと使用アイテムの例も、一枚だけ撮ってある。これ。



織:これ、お題が「温室」で、使用アイテムが「手鏡」ってことですよね。温室で巨大な植物に襲われるっていうピンチですけど。いったい、手鏡でどうやって切り抜けたんでしたっけ……?
み:手鏡って言えば、あれだよ、あれ。ほら──。

「この襲ってくる植物というのは巨大なキノコでして、実は、わたしはキットンだったのです!」
「おお!?」
「つまり、この手鏡こそはゼンばあさんが托してくれた手鏡! 鏡をかざすと、ゼンばあさんの声が聞こえてきました。『キットンよ、キノコ変化じゃ!』。その声に従い、わたしはとっさに自分自身をキノコに変えたのです。すると、巨大キノコはわたしを仲間だと思い、攻撃をやめました!」
「おおおお!?」

織:あ、なんか、ほんとにフォーチュンっぽい。
み:確かに。このときは笑い声よりも、感心した声のほうが多かったかも。
織:これって、解答者は誰だったんでしたっけ? まさか、みやびさん?
み:いやいや。参加者の方ですよ。
織:おお、それはすごい。で、判定は?
み:全員一致でセーフだったね。
織:おー♪
み:最後の最後でデュアン完結記念お茶会っぽくなった!
織:よかったです♪

7.閉会式



 楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。
 最後のゲームが終わると閉会式です。

み:写真は閉会式のようすだね。

 ふたたび会場の前に立ちました主催者が締めの言葉を述べて、楽しかったお茶会も終わりです。
 たくさんのゲームを遊べて、みな充実したようす。

織:あれ? 黒板に何か書いてあります。
み:『デュアン・サーク完結記念 お茶会』って書いてあるんだよ。
織:いえ、そこではなくて、その脇の「日直」のところに何か書いてありませんか?
み:うん。「日直:織神」と書いてある(笑)
織:僕、日直だったんですかー!
み:というわけで、号令をどうぞ。
織:あ、はい。きり〜つ、れい〜 とつげきぃ!
み:お、おい。
織:いけー! すすめー!
み:
こら、どこへ突撃するつもりだ、君は!
織:いざゆかん、ゲームの聖地目指して!
み:どこだよ、それは! ああ、もう、わけわかんない。というわけで、最後はよくわからなくなったところで、このレポートもおしまい!
織:ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました♪



み:おっと、いけない。連絡がひとつあるんだよね?
織:あ、はい。今回は第一弾でして。実は第二弾が企画されています。
み:おー。
織:次は6月4日の予定です。
み:詳細は?
織:それは近日発表ということで。ただ、ゲームのほかにチャリティオークションもやろうと思ってまして。もしかしたら今日遊んだゲームも並ぶかも。
み:なるほど。楽しみだね!
織:はい。では、これにて、ほんとうにおしまい、です!


 参加者全員が、また遊ぼうねと言葉を交わして、会場をあとにしたのでした。


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