ウイリアムオプティクスMegrez80 II 8cm F6.25 SemiApo |
2004年8月現在,日本では未発売の鏡筒。アメリカで企画され,台湾で製造されているそうだ。600ドル前後で売られているようだが,もう少し安く販売しているサイトもある。 外観は高級感があって,アイボリーの鏡筒塗装がきれいで,金色の対物レンズ部分のアクセントも効いている。対物フードは伸縮式で,付属のデイパック式のソフトケースにコンパクトに収納が出来る。 接眼部は回転装置付きの2インチクレイフォード,良く出来た接眼部で,シュワルツのオプション接眼部と基本的に同じモノのようだ。接眼部の直ぐ前の下部にカメラ三脚に取り付けられるネジ穴があり,鏡筒バンドも別売で用意されている。 対物レンズはセミアポであるが,詳細は不明。F6.25と短焦点で,EDやSDレンズの使用は明記されておらず,あまり期待していなかったが,F値を考えると色収差はかなり良好に補正されている。メーカーによっては,この程度でアポと称している望遠鏡もある。 1等星では色収差が確認できるが,2等星ではほとんど判別できないくらい。木星や月の観望でも,ピント位置によって紫,緑,赤の色ズレが確認できるが,この色収差が不快感を招くほどのことはない。反面,色収差の補正を優先させたためか,残存球面収差があり,高倍率での観望では印象が悪くなる。内外焦点像からも明らかに過剰補正であることが読み取れる。設計自体がかなりの短焦点なので,もともと高倍率での使用を前提としたものではないと割り切る必要がある。 そうはいっても,琴座εダブルダブルは余裕で分解するので,口径並みの解像度はクリアしているようだ。木星などもかなり詳細に模様が見える。同様のスペックのアクロマートよりはるかに良く見え,予想した以上の見え方ではあるが,良く出来たアポよりは見劣りするので,多くを期待すると失望する。 この鏡筒は,メーカーのHPを見る限り,写真鏡として開発したような印象。色収差補正を優先させて,球面収差を犠牲にしたと思われるが,バランスは悪くないと思う。収差図からは写真も眼視性能も優秀な性能を発揮すると思われる3枚玉蛍石アポ鏡筒も存在するが,レンズ以外はほとんど同じ仕様なのに,このセミアポが3本も買える値段。使用目的にもよるが,この性能でこの造りなら,コストパフォーマンスはたいへん良いと思う。 (2004/7) Megrez80IIは2003-2004年に出た新製品だったと思うが,2004年9月現在更にモデルチェンジして,対物レンズが3枚玉のEDになった。アポの表記はないが,国産の基準ではアポと称しても十分通用するレベルだと想像する。この新製品は3枚玉のF7ということで,設計自体はかなり高度な収差補正が期待できる。セミアポの80IIは残存球面収差が多く,あまり高倍率向きではなかったが,これなら写真も眼視も大いに期待できると思う。但し,価格もUS$800と大幅に高価になり,個人輸入すると10万円近い出費になり,わざわざこれを買うメリットが薄くなる。でも,Megrez80
II FL APOの半額,なかなかそそられるスペックではある。でも買えない。 (2004/9) |
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