天国に涙はいらない

なんか感動の作品!こんなものがあったとは。ストーリー展開もすごいし、世界のありとあらゆる(って、キリスト教と神道が中心だが)宗教とその悪魔や魔物が登場するすごい話。しかも、いわゆるアニメ、ゲーム系の「つぼ」を押えた作品!もうこれは読むしかない!テレビアニメ化しないかな。 あ、作品は、佐藤ケイ作、電撃文庫です。

天国に涙はいらない 1

占師の家に生まれた主人公、賀茂是雄。構造不況のこの業界で、お小遣いももらえない高校生。小遣い稼ぎに、駅前などで1回500円の格安で占いをしていたところ、同級生の律子がやってきた。学校の自分たちのクラスの一階下の1年B組では、つぎつぎに生徒たちが入院したり、病気になったりと奇怪なことが起こっているという。

調べにいった賀茂は、そこで、とてつもない妖気を感じる。そして、その妖気にあてられた律子は、病気に。これには守護霊召喚してパワーアップしかない、と必死で呼び出した守護霊は、なんと、すさまじい高位の天使アブデル。神への忠誠心も人一倍なアブデルは、しかし、美少女趣味のとんでもないやろーで、、、。

さてこの第1話では、自分でも気がつかないうちに妖気をだして周りの人々を病気にしたり死にいたらしめたりしていた、不幸な悪魔の「たま」ちゃんがヒロイン。ロリプニ系の彼女は、国際認定でS級の悪魔。知らないうちにこれまで10万人以上の人々を死にいたらしめてきたが、本人は「自分の周りの人がどんどん病気になったりして不幸に」と思っている被害者でもあったのだ。アブデルの趣味にぴったんこの彼女と、賀茂、律子をまきこんでの、学園ラブコメ?。

いやあ、面白かった。四冊全部かっておいてよかった!しかし、キリスト教国で出版したら、まじで危ない本じゃあないかなーっておもっちゃうようなすごい内容。すごい!


天国に涙はいらない 2 <畜生道五十三次>

最終的に一巻で死んでしまった主人公の賀茂。北海道で子狐として転生した彼は、人間に戻る(化ける)ために、必死で東京までやってきた。そこで、彼を拾ったのは、本人ももと少女だが猫に天生し、いまでは、人間の姿となった化猫の真央。

しかし、その真央を封じようとする根呂と、その忠犬神パトラッシュがあらわれて、二人(二匹?)をおいつめる。

ってことで、二巻のヒロインは、猫耳の少女「真央」。そんな中でぼけまくりの自覚のない悪魔の「たま」ちゃんと、そして、ひっかきまわしまくる律子がなかなかとんでもないコンビネーション。もちろん、猫耳少女にあたっくのアブデルも健在!


天国に涙はいらない 3 <あだ討ちヶ原の鬼女>

なんとか人間に戻ることができた主人公が、アブデル、たまをともなって自宅にもどってみると、自分の部屋にミコの衣装が。そこで登場の、「みき」ちゃん。ミコさん装束の似合う「みき」ちゃんは、ブラコン少女。兄の仇討ちとばかりに、無銭旅行でここまでいたった彼女。

やがて、自分の仇討ちの相手が、「しらないうちに妖気をふりまいていたころのたまちゃん」だったとわかり鬼女となって、仇討ちを果たそうとするが、、、。

はい。もうこのシリーズの目論見は見えますね。つまり、1話は、悪魔娘、2話は、猫耳娘、そして3話は、ミコさん。すなわち、アニメ、ゲーム系の美少女の典型的パターンをつぎつぎとゲストヒロインとして登場させるというものです。2話登場の猫耳娘の真央は、この3巻ではお休み。まったく登場しません。(律子に監禁されているらしい)。いやあ、はまりすぎのすごい小説シリーズであることがわかります。最後に、みきが、鬼に変身していくところは、陰陽道な感じでもあるし、はまりすぎ!

もうすごい!


天国に涙はいらない 4 <男色一代男>

題名あやしいですが、なんだかんだといって、結局、賀茂の家には、アブデル、たま、そして、みきが、一緒に住むことになってしまったが、もともとたまちゃんの住んでいた教会をみつめる紳士がいた。

その紳士が、なぜかとつぜん賀茂たちの高校の校長先生になって登場。しかも、娘は、眼鏡っ子の真理子。よくある眼鏡っ子らしく、結構意志が強そうな彼女は、、しかし、、。

はい。悪魔娘、猫耳娘、ミコ、ときて、第四話は、眼鏡っ子ではありますが、ややヒロインとしてはインパクト薄く、それよっか、最終的にたまちゃんの実の父である悪魔べリアルの登場のほうがインパクトが強く、おそらく、眼鏡っ子真理子のストーリーは、また別の路線で語られることになるのかー?って感じ。

さてさて、次は一体なんでしょう。


天国に涙はいらない 5 <逝き女五枚羽子板>

えっと、結局、今回は、病弱美少女で、しかも、実体化した幽霊っていう設定。1で、たまちゃんの妖気にあてられて、死んでしまった朋ちゃんが、極楽浄土できずに、偽造パスポートで地上に降りて、実体化、そこに、なにやらみょうな思惑をからめて、地獄の獄卒が迫り、それを、賀茂やアブデルなどいつものめんめんがなんとか朋ちゃんの思い残したことを実現させるためにがんばるってことで、もちろん、がんばるのは、健気な悪魔のたまちゃん。自分のせいで死んでしまった朋ちゃんのために必死で、彼女の未練を実現しようと、、。ってことで、読み残しのコミック数十冊とか、やりのこしたゲームたくさんとか、はてまた、やりのこした歴史のプリントたくさんとか、、。

はてさて、親よりも先に死んだ子供たちは、三途の川の河原で石積みをさせられているんだけど、以前は、10歳くらいまでの子供たち、だったのが、日本の児童保護法がかわったので、18歳までに引き上げられたとか、妙な話が大量に出てくるあたりも相変わらずです。

ストーリーがやや一本調子なのが気になるところではありますが、でも、今回もおもしろい話で、いっきによんでしまいました。

さて、次の美少女はどんなタイプ?エルフ耳?かな。


Last modified: Sun Mar 31 23:25:42 JST 2002