BBCの古代生物シリーズ!

はじめに

日本では、なんといっても、恐竜が一番人気だから、BBCの、"Walking With Dinasaurs" もしっかり日本語版が出ていますが、私が興味があるのは、人類の歴史!っていうことで、Amazon.co.jp から、"Walking with cavemen" と "Walking with Prehistoric Beasts" を購入、早速見てみました。

詳しくは、BBCの先史生物のページをごらんいただくといろいろわかります。 おもしろい!絶対おもしろい。もちろん、英語なんですが、BBCの作品は、一般に英語も分かりやすく、ナレーションは十分に聞き取れる感じでした。なれているせいかもしれないけれど。で、とにかくおもしろいです。

というわけで、とりあえず、古い順に紹介すると、、。


Walking with Dinasaurs

これは、日本でも、発売されているのですが、恐竜時代におけるいろいろな生物について、まあ、とくに恐竜とそのほかの爬虫類についてですが、これをCGやいろいろな特撮SFXを駆使して、ビジュアルに見せようというものです。

恐竜時代の曙や、恐竜とともに生きた海の爬虫類、翌竜の生活、そして北極における恐竜の生息、さらに恐竜最後の時代、などに章立てして、それぞれの章では、特定の種の恐竜にスポットをあてて、その生活や、他の恐竜や生物との関係などをストーリー仕立てで解説するというものです。この方法は他のシリーズでも、同じですね。

ティラノザウルスのような有名なものももちろん出てきますが、海の爬虫類や、翌竜の話などは非常に興味深いです。これは、日本語吹き替え版が出ています。で、このシリーズでおもしろいのは、なんといっても、Making を含めた特典映像。実はこの中にもいろいろな恐竜に関する話題がこめられていて、たんなる Making ではなく、シリーズをさらに深めるために使えるというものです。


Walking with Cavemen

さて、この作品の前に、"Apemen" というシリーズもあったようですが、こちらは、DVDにはなっていないのかな。つまり、猿人から原人、旧人、現代人への人類の進化を映像化したものです。Walking with Dinasaurs では、CGを駆使していますが、こちらは、特殊メイク中心。

#左から、アファール猿人、ボイセイ猿人、ホモ・ハビリス

直立猿人としてしられるアファール猿人や、クルミ割り人間といわれる、ロブストス猿人、そして、石器を使い始めたとされるホモ・ハビリスの話が、最初の章。まずは、人類がどうして立ち上がり、二足歩行を始めるにいたったか、ということと、初期人類はなにを食べ、どうやって生きていたか、ということで、このアファール猿人と、ロブストス猿人(中ではボイセイを中心に描いている)、そしてホモ・ハビリスの石器造りの話しなどが詳しく描かれます。

#左から、ホモ・エルガスター、ホモ・ハイデルベルゲンシス、ネアンデルタール人

そして、次は、完全な直立姿勢で、現代人なみの体型をもつにいたったホモ・エルガスターと、そのアジアへいった子孫であるホモ・エレクトス(いわゆる、ジャワ原人や北京原人)、そして、現代人と近い大きさの頭脳をもつにいたったホモ・ハイデルベルゲンシス(原人と旧人の境目)、そして、ネアンデルタール人、現代人が二つ目の章。BBCのオリジナルの番組では、4章だてだったのが、こちらでは、二章に圧縮されていますが、とにかく見応えがあります。

こちらのDVDは一枚だけで、映像特典は、ちょっとしかないけれど、それぞれの猿人などにメイクされている俳優さんが、食事をしたりしているシーンはなかなか面白いですね。

結構うれしかったのは、私的にはなじみのない世界だった原人の生活をかなりビジュアルにリアルに再現してくれたことです。エルガスター原人の生活なんて、見ているだけで感動!すばらしい!

もっとも、初期の猿人となると、体型的に人間が演じるのは無理があるので、ちょっとね、っていうところがありました。それから、ネアンデルタール人については、まだまだ現代人的すぎる顔でして、このあたりはどうも、、と思っていたら、Walking with Beasts のほうで、かなり改善されていたので、おっけーです。


Walking with Prehistoric Beasts

#左はクジラやイルカの祖先らしい。右は、もう絶滅した初期哺乳類

これは、恐竜滅亡後、哺乳類が世界を席巻して、現在にいたるまでの間の、滅亡した生物種(人間をのぞく)について主にCGでビジュアルに描くもので、これも、Walking with dinasaurs と同じく、章ごとに特定の生物を中心にしたストーリーを作って見せてくれます。 最初はちっちゃいリスみたいな動物から始まり、最後はマンモスで終わるという形。それぞれの動物が、どのような生活をしていて、どのような敵がいて、というあたりが詳しく紹介されます。今回はいろいろな動物が中心なのですが、人間についても、アファール猿人の生活が詳しく紹介されています。

#集団で二足歩行するアファール猿人

で、今回は、アファール猿人はおもにCGで再現されています。まだまだ不自然さはあるものの、これはいけている!本当に歩くチンパンジーって感じですね。

#左から剣歯虎、マンモス。

このDVDで感動的なのは、もはやCGらしさがほとんど見られないということです。剣歯虎(本当は剣歯猫らしいが)の姿などは、まさにライオンか虎を普通にみているように自然です。もちろん、若干の動物ではCGだなぁ、と思わせるところがありますが、かなりの完成度。

#BEASTS の中で登場するネアンデルタール人。Cavemen のときよりも、より科学的にネアンデルタール人らしくなっているかも。


全体の感想

うーん、Walking with dinasaurs からどんどん進歩しているっていう感じで、Beasts に至っては、本当にすばらしい映像。よくよく考えてみると、我々が「野生の世界」なんていうものを見るのも、ほとんどは、アフリカとかの自然公園の中の野生の世界を映像として見ているだけであって、そういうのも日本でいえば、NHKみたいなのの科学ドキュメンタリー番組で見るとかがほとんど。たとえば、NHKの「地球大自然」みたいなシリーズですね。で、実際、それがとことん巧妙にできたCGだとしても良いわけで。

つまり、実際に、ナマで野生動物を見るとしても、動物園の中じゃあ野生動物のナマの生活はみられないから、じゃあ、本当に、野生動物がいる自然公園まで行ってみる人は少ないわけで、じゃあ、それがCGで作られてしまう時代になると、別に、今の野生動物じゃあなくてもいいでしょう。100万年前の動物でも、1億年前の動物でもいい。つまり、我々は、もうそういう時代なんだと。21世紀という現代に生きていながら、すごい昔の動物も、現代の動物も、同じような正確さで同じように画像としてビジュアルに見ることができるんだな、ということになるわけで、もちろん、時には1億年後、とかいうのを想像しちゃっているのも最近ありましたが。

結局、我々はタイムマシンをある意味で実現しちゃったんでしょうね。当初予定していなかった姿ではありますが。当初予定していなかった姿で実際上実現しちゃったものはたくさんあって、空を鳥のように飛びたいという夢は、「羽ばたかないけど鳥よりも早くとぶ飛行機」で実現したわけだし、そういう意味では、このCGをつかったすごい映像で過去から未来までの映像を見せるっていうのは、やっぱりタイムマシンなんだろうなぁ、と。一方で、我々自身の野生動物との接触がとことん少なくなったということも意味しているのかも、、、。

なんて哲学的なことも考えたくなる。

で、BBCはさらにシリーズを展開しているようだけれど、あと5年か10年後にもう一度こういうシリーズを作ってほしいです。そのときには、またCGも進歩しているだろうし、それに、さらに新しい研究成果が反映されていると思うからです。たとえば、アファール猿人の雌雄の体格に差があったというのは最近否定されたので、そうなると、アファール猿人の生活はかなりWalking with Cavemen で紹介されたのとは違っているかもしれない。あるいはネアンデルタール人についても、後期旧石器文化をもったシャテルペロン文化のネアンデルタール人ならどうだったか、っていうこともある。クロマニョン人と一緒に行動したネアンデルタール人っていうのも想定可能です。そういう要素をいれて、また作ってほしい、、、。

それにしても、NHK の「地球大進化」の動物CGってば、なさけないくらい、リアリティないんだよねー。どうせなら、BBCから映像買えば?っておもっちゃう。うーん。

とまで書いたから、今日2004年9月25日の地球大進化の感想もちょいとかいちゃうと、、、

NHKの「地球大進化」は、ひどすぎ!!

はっきりいって、Walking with Beasts の焼き直しって感じ。しかも、CGのだささはもうどうにもならないレベル。Walking with Beasts のMakingをもう一度見直してみたけれど、今回の地球大進化の中で、Walking with Beasts に出てこなかった話は、まだ、おおくの研究者が眉唾っぽく考えていることとか、あとは、せいぜい、ヒトの白目の問題くらい。あとは、もうほとんど焼き直し。しかも、焼き直すときに、CGがとことんしょーもない。BBCが昨年の段階で、ここまですごいシリーズを作っているんだから、まあ、NHKがやるべきは、Walking with Beasts に、山崎努のナレーション入れればよかったんじゃあないかなぁ、と思う。

Walking with Beasts は、どうやら、日本のテレビ朝日あたりが絡んでいる作品らしいから、NHKで登場することはないと思うけれど、でも、もし、テレビ朝日が、これを放送しちゃったら、地球大進化なんて、全く作った意味なくなっちゃうよねー、と思ったのでした。本当に、似たような映像のしかもずっとクォリティのおちるのをあとから、作り直して、なにが楽しいんだろうっておもっちゃう。あれだけ似ているからには、絶対に、NHKのスタッフもWalking with Beastsを見ていると思う。


本ページ内の画像は、BBCのサイト内のものを、そのまま参照して貼り付けています。

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Last modified: Sun Sep 26 14:12:20 JST 2004