HiNote Ultra V

 Compaq Presario 1900 シリーズ


ノートPC黎明期に存在した偉大な名機

DEC Hi-Note Ultra の末裔!

薄型ノートPCの元祖として一世を風靡した同機の直系の子孫にして正常進化モデル
同機へのオマージュを込めて HiNote Ultra 3 を勝手に襲名!

(左から1928・1925・1920)



  ・ ・ ・ ウ ル ト ラ ノ コ ト

     >>> # HiNote Ultra

     >>> # DEC消滅

     >>> # 復活のウルトラ

     >>> # DECの影

     >>> # 1928の秘密



 # HiNote Ultra 

 20年以上前、まだパソコンがいまほど普及しておらず、ましてノートPCがまだ希少であった時代、、
 その中に在って、、ひときわ高価で、光り輝く存在が在りました

 もともとワークステーションのメーカーであったDECがノートPC市場に送り込んだ高級機 HiNote シリーズ
 そして、革新的コンセプトに基づいて同シリーズの筐体を半分の厚さに凝縮したのがHiNote Ultra シリーズでした

 当時のノートPCはどれも厚さが40mm以上あり、40mm以下であれば薄型といわれていた時代に
 一気に30mmを切る厚さを実現した同シリーズのコンセプトとデザインは革新的でした!

   

 HiNote Ultra には大きく分けて3世代のモデルがあり、
 登場当初の486CPU時代の初期モデルと、、
 CPUをペンティアムに換装した第二世代初期モデル
 そして、液晶が10.4から11.3へと大型化したした第二世代後期モデルです
 ペンティアムを装備する第二世代モデルはHiNote Ultra Uと命名されていました。

 いずれのモデルも、薄型のボディとトラックボール
 そしてそれを囲むようにデザインされた楕円形のクリックボタンなど、
 独創的で強烈なアイデンティティを発揮するデザインは共通していました



 # DEC消滅! 

 洗練されたデザインでユーザーの注目を集めたHiNote Ultra シリーズでしたが
 その価格の高さ(40〜50万円)がネックになり誰もが買える代物ではありませんでした!

 当時の他メーカーの同スペック品に比べて、1.5〜2倍の価格で、、
 ”金持ち”しか買えない文字道理の”高嶺の花”だったのです!!!

 製品があまりに高すぎて売れなかった(というよりはみんな買えなかった!)からか、、
 あるいは時を同じくして始まったPCの低価格化=大衆化の志向を読み違えたからか、、

 経営の芳しくなかった名門DEC社は、ある日、、突然にCompaqに買収されてしまいました!!!
 大衆向けの格安PC(IBMに対して!)を中心にモノ造りしてきたCompaqとしては、
 DECの技術とノウハウを取り込む絶好の機会であったのではないかと想像します

 こうして、、憧れの”華”であった”HiNote Ultra シリーズ”も市場から姿を消すこととなってしまいました、、、

 ”いつかリッチになれたら、HiNote Ultra を買うんだ!!”、と思っていたのに、、

 数年後、、、そのCompachpに買収されてしまったのは意味深な感じ!!



 # 復活のウルトラ! 

 DECCompaqに買収されてから程なくして、、
 Compaqから新しいノートPCの発表がありました!

 しかも(!)”買収したDEC社の薄型化の技術を用いた新製品”Compaq自らがの公言して!
 Presario 1900 シリーズ(発表・第一弾は、1915というモデル>PENU266)

 とかくゴテゴテしたデザインのCompaq製品にしては異様にスッキリしたその概観は
 紛れも無くアノ”HiNote Ultra シリーズ”の面影を色濃く有していおり、
 一見して”Hi-Note Ultra シリーズ”の流れをくむモノであることがわかりました

   

 新しいPresarioは、Compaqに吸収された旧DECのスタッフによって企画&製作された
 実質的な”HiNote Ultra シリーズ”の進化形だったのです

 >>> Tボールは廃されたものの、かってのオーバル型のボタンを踏襲するような三日月型のボタン!
   (初期モノはスクロールボタンが黒(左)、1925/1922から水色(右)に!)

   

 >>> ”Hi-Note Ultra ”と同じ趣向で装着されるドッキングモジュール(ウェッジ)
    しかも今回はFDD(右)だけでなく光学ドライブ(左)も装備している!

   

 >>> 薄さを強調するクリーンな面デザイン
   (対照的に当時のCompaqのノートPCは曲線を多用するデザインが主流でした)

 この新しいPresario は”HiNote Ultra シリーズ”のアイデンティティを継承しつつハード面でもちゃんと進化しており、
 PENUの採用、XGA液晶の採用(1920から)、光学ドライブ(DVD)、USB、などを装備していました

 因みに、、”HiNote Ultra ”は最高スペックのLTS150でもMMXX無し(!)のPEN・150Mhzでした、、
 コレだと流石にチョット辛い、、、
 一度は入手した”HiNote Ultra(LTS150)”を手放してしまったのもコレが理由( ←後に後悔)、



 # DECの影! 

 羨望とオマージュの的であったHiNote Ultra シリーズですが、、、
 実は影(ダメ)の部分もいろいろ持っていて、、Presario もその一部を受け継いでいます

 影・その1>筐体の強度!

 ”HiNote Ultra シリーズ”の最大の弱点がコレでした!
 いかに高い技術を誇っていたDECとはいえ、、当時の素材のレベルで、、
 一気にボディの厚さを従来の半分にしたデザインコ最優先の設計は、、
 ボディの強度をそれは脆弱なものにしてしまいました、、
 ”HiNote Ultra ”は、その高価さと、その壊れやすさから、、
 サブノートでありながら屋外へ持ち出してはイケナイ!、とまで言われたほどでした!

 Presarioはその反省を取り入れて”HiNote Ultra ”に比べれば丈夫なボディになっています
 が、、、やはり、、、頑丈といえる部類ではなく、、、
 Think-pad などと比べると、、脆弱な筐体と言わざろう得ません!

 ボディを持つ時は、特定の部位を注意して持たないとスグに亀裂や欠損が起こります

 影・その2>塗装の劣化!

 通称・ベタベタ症(!)、筐体の塗装(特にパームレストまわり)の塗装が劣化してベタベタになる症状
 ”HiNote Ultra シリーズ”でも塗装が剥げてくる症状はウィークポイントだったけれど、、
 Presarioでは、、もっと最悪になってしまった!!!
 高級感を狙ったマットのウレタン塗装が、、経年劣化で加水分解してベタベタになる症状

   

 その様子は、安物フィギアの塗装が劣化した時とソックリで、、
 ベタベタになって最後に埃や毛屑がびりつく始末、、、最悪です!

 うちの初号機(1920)もこれになってしまいました、、
 こなると、、もう筐体を交換するしかありません、、、>パネル交換した初号機

   

 影・その3>剥げ・その2

 筐体の塗装と同様に脆弱なのがスピーカーネットの塗装と錆

 Presarioは、ご大層にJBL製のスピーカーが装備されており、、
 コレが当初は(!)セールストピックにもなっていたのだけれど、、、
 (因みに1900シリーズは、片側2個づつの4スピーカ搭載です)

   

 このスピーカーのネット>パンチング・メタルのカバーの塗装がスグに剥げてしまいます
 そして、剥げたあとはスグに錆びてくる!!!

 特に右手との接触が頻繁な右のネットはダメージが出やすく、、
 私の初号機も新品で購入してから数ヶ月で錆びてしまいました、、

 コレも発祥したらもう交換(しかも筐体ごと)するしか手立てはありません、、、
 20万円以上する機材がこんな程度でいいのかと当時は腹が立って仕方なかった


* * * マニアックな話 * * *


 1928の秘密 !?! 

 98年発表のPresario 1900シリーズは、名機”HiNote Ultra ”の優れたコンセプトを受け継いだ
 正常進化モデルとして造られた秀作ではありましたが、、
 その凝った造り故に”HiNote Ultra ”同様コスト高になってしまい、商業的にはあまり成功しませんでした

 ”HiNote Ultra ”の値段を知っていたヒトには”割安感”があったと思います>私もそうでした!

 その為か、1900シリーズの製造期間は約1年と短く、発表された機種もあまり多くは在りません
 しかしながら、その短い期間内にも地味な改良と進化を遂げておりました → 以下

   98年秋・新Presario・1900シリーズ登場 → HiNote Ultraの再来!
     Model 1915 >PEN2-266,SVGA,HDD-4GB

   99年冬・追加モデル登場 → XGAのフラッグシップ登場!
     Model 1920 >PEN2-300,XGA, HDD-4GB

   99年春・追加モデル登場 → セレロン搭載の廉価モデル登場
     Model 1919 >CEL-300, XGA, HDD-6GB
     Model 1905 >CEL-266, SVGA,HDD-4GB
     Model 1906 >CEL-266, SVGA,HDD-4GB

   99年夏・追加モデル登場 → 実質的なマイナーチェンジ!
     Model 1925 >CEL-333, XGA, HDD-6GB
     Model 1922 >CEL-300, SVGA,HDD-5GB

   99年秋・追加モデル登場 → 内容的にはフルモデルチェンジ!
     Model 1928 >CEL-400, XGA, HDD-6GB
     Model 1929 >CEL-400, XGA, HDD-6GB

 面白いのは、1915から1925までの7モデルは”お約束”のアップグレード、
 CPUとHDDのスペックUPのみで、構成的に同じ内容であったのに対して、、
 1928(9)では、マザーBが変更されており、かなりのパワーUPがされている点!

 変更点@CPUソケットの変更>1925まではMMC-2ソケットだったものが、普通のFPGA
 変更点Aビデオチップの変更>1925まではNEO-MAGIC(2.5MB)だったものが、RAGE-MOBILITY(8MB)

 また、冷却用の導風設計が変更され、これによってダクトの形状や位置が微妙に変更されています
 これによって僅かながら1925以前のモデルと1928は概観上の差異を持っています

 ☆ ☆ ☆

 事後談的な話だけれど、、これらは実はベタベタ症になってしまった初号機(1920)を
 復活させる為の試行錯誤の過程で知ったことでした

 1920を復活させようと部品取り用にジャンクの1928を購入し、
 折角なのでCPUも早い方に交換しよう(PEN2-300>>>CEL-400)と作業を始めたところ、、、
 実にこの2台、マザーBのCPUソケットがまるで違うことが判明!!

 左:MMC-2ソケットの1920、右:FPGAソケットの1928、CPUの乗ってるゲタの仕様が全く違う!

    

 同一型番であり、製造年月日も1年しか違わないのに、マザーBの仕様がこんなに違うなんてオドロキ!
 ビデオチップが違うことはカタログから知ってたけれど、、、

 一旦、退却して、、後日、、パーツを買い直してからの再挑戦となりました、、

   

 現在は、、多くのドナーのお陰で1920、1925、1928の3台が復活しました!