今日の柴野さん(『あぶない刑事』)
昔見た時には、柴野さんはもちろん、鷹山・大下もまごうかたなき「おじさん」だったというのに、今の私は「清水さん若いなー」と思ってしまうという驚き。というか、作中の清水さんと私が10歳違わn(以下略)……ショックだ。果てしなくショックだ(笑)もっとも「春の坂道」とか見ると軽く自分より年下な清水紘治を見ることになって愕然としたりするわけですが。清水紘治の役柄:神奈川県警本部の柴野刑事。明言はありませんが捜査一課のはず。初期と中期ではかなり性格が違う。口煩いという設定のようだが、大人になって官公庁気取りの企業に務めてみると縦割り意識の激しい組織ではごく普通の人だと思われる。部下の一人もいないようでいつも単独行動のため、私に「柴野さんの部下になりたい」などの妄言を吐かせてしまう。責任取ってくれ(おい)。今回見直して、どうして柴野さん大好きなのかわかりました。ずっとスリーピースなんだもん(笑)なぜか上着は脱いでくれませんが。この頃の清水さんは青池保子の描く男の人みたいな薄い腰をしていて、スーツ姿の腰が細くて鼻血が出そうです。
第1話「暴走」
鷹山と大下が全然コンビっぽくなかったり、どうも方向性が定まっていない感のある第1話。鷹山はとことん冷たくて(クールではない)女あしらいの上手い男、仕事熱心というか何かに粘着している感じ、大下は何でも一気に決めたがる、不真面目に見えるけど熱血漢、という設定のようですが、それらをセリフにして何度も言わせてしまっているところがいかにも初回というか、脚本がいまひとつ練れていないというか。同じ港署の捜査課に勤務していた二人がこの事件をきっかけにコンビっぽくなる必然性が特にない点がちょっと微妙かなぁ。ありきたりでも、どちらかが異動してきて最初の事件で意気投合、もしくは「気に入らないけど、結構やるじゃん」という感じでコンビっぽくなったほうがよかったのではという気がします。異動で始まるという定番を外したかったのだろうと思いますが。あ、けなしているわけではなく、「暴走」はわりに好きな話です。普段クールぶってるくせにどこかキレている鷹山に対して、ちゃらんぽらんに見えて肝心なところで良識的な大下、というのは第1話からちゃんと設定されているんですね。ラストの署内パートの締めの雰囲気がちょっと好き。柴野さんと中さんが0時過ぎかもっと遅くまで取調べをしていたらしいのに笑ってしまった。
冒頭、埠頭で大下と張り込んでいるのが柴野さんなのが笑える。「あぶない刑事」名物走る大追跡シーンで走らされているのがなぜか柴野さんなのも笑える。細くてすぐへばっちゃいそうだから可哀想なんですけど。息を切らせて追いついて大下に「ご苦労さん」と見得を張る柴野さん萌え(笑)この回ではきわめて真面目なというか、刑事物に一人は出てくる堅物気味で常識的な刑事という感じの柴野さんがいつからあんなオーバーアクションなハイテンションキャラになったのか謎。
この回の最大のみどころはモンタージュ作成に協力した目撃者のおばあちゃんのVサインに応えてVサインを返す課長。課長、かわいいよ!お父さんになってほしい(笑)基本的に清水紘治の娘になりたいらしい私だが、柴野さんは俺の嫁なので、お父さんでなくとも可です。
このドラマ、エンディングのクレジットにはレギュラーメインは入らないんですね。トップが清水紘治でびっくりしました。
第5話「襲撃」
柴野さん出演回の中でストーリーが一番好きなのはこの回かも。全体のバランスがよくていい。この頃ぐらいのチームプレイっぽい港署が好き。
この頃の柴野さんはまだ普通だなぁ。あまりわーわー騒いだりしないので、取調べ室のシーンとか素敵だと思います。黙って立ってたらいい男(笑)証拠無しで井上商会を引っ張りたがる鷹山・大下を「あんなラリパッパの言うことじゃ証拠として弱いんだよ」とたしなめて、状況を馬鹿丁寧かつ厭味っぽく説明して帰るというシーンが面白くて好き。猟銃立て籠もり犯の現場に一番乗りして拳銃を構えていて「お珍しい」と冷やかされるシーンがあるのだが、残念ながらあの数ショットで使用拳銃がわかるほど私は銃器マニアではない。銃身のえらい短い拳銃でしたな。それより、「たまたま通りかかった」と言ってましたが、拳銃撃ち放題な犯人&港署の刑事たちだけではなく県警の柴野さんまで拳銃携帯でふらふら(?)しているとは。
今回一番かっこよかった人、「私の今日の出勤時間は10時だから」の一言で捜査課の連中に黙認を与える課長。素敵。
第8話「偽装」
コメディ寄りの回。拳銃を貸し出して強盗をさせ、その上前をはねている元締めのしっぽを掴むためへっぽこチンピラに現金輸送車を襲わせる鷹山と大下。チンピラが至近距離で撃たれて大騒ぎする柴野さんが印象深い回。いや、意外にいい人だなぁという意味で(笑)「あぶない刑事」の柴野さんというと何となくこのシーンを思い出します。
前は気づかなかったけれど、署内の刑事達、スリーピースが多いんですね。上着を脱いでくれる人もちらほらいてニヤケ気味。でも柴野さんは一度も上着脱がないんだよなぁ、残念。
館ひろしの「右耳は課長専用ですから♥」というセリフが好きだったのを思い出した。
第12話「衝動」
珍しくちょっとシリアス寄りの回。にもかかわらずいつもにましてハイテンションな柴野さん。トレンチコートがよれよれ。県警四課にパシらされているっぽい柴野さん萌え(笑)暴力団につながりのある取り立て屋が部屋に戻らないのを知っていた鷹山に嵌められたと怒鳴り散らすシーンで、あれだけキレているのに「君」とか「私」とか意外に紳士的な柴野さんが好きです(笑)
テンガロンハットにちょび髭とか、眼帯とか目立つ格好の人ばかりですが裏稼業という自覚はあるのか、こいつらは。薫を慰める課長が超いい人。
第22話「動揺」
これもわりとシリアス寄り。冒頭出てくるお姉さんの棒読みっぷりに涙が。というか、脇の女性の演技が結構壮絶ですね、このドラマは。第5話のラリパッパちゃんとか(爆笑)中村卜オノレの演技も結構…(笑)
「県警からの叱咤激励」という名の捜査会議。煙草をふかしながら話をする柴野さんを見て、「あー昔のドラマだなぁ」と思いました。私、柴野さんの演技ってハイテンションで軽くてすごいレアだと思っていたんですが、周りのテンションと軽い雰囲気でそう見えるけれども、柴野さん自体はわりと清水紘治的演技なのね。にぎやか気味なのが非常に珍しいだけで。このシーンは「Wの悲劇」の劇中劇っぽくないですか? 柴野さん、鼻のラインがきれい(笑)
交代無しの徹夜明け張り込みで肝心の最後の接触を見過ごしている柴野さん。…何やっとんねん。県警本部で絞られるんだろうなぁ。これが登場最終回なんですが、このミスで一課から飛ばされたとかだったら悲しいな(笑)
・ちょび髭は素人のくせに射撃がうますぎです。というか、ゲストキャラ、脇キャラのちょび髭率が異様に高いと思うのですが。当時の流行ですか?
・今回だけは課長の「いいとこ」に疑問。保険金7000万ばっくれがさらっと不問に処されて「イイ話」みたいに扱われているのは納得がいかない。
まとめとその他
・脚本と監督のこと
柴野さんが出るのは村川監督回ばかりのような気がしていたのですが、今回5話全部見たらそうでもありませんでした。各話の監督と脚本を確認したのでメモしておきます。
話数 タイトル 監督/脚本
第1話「暴走」長谷部安春/丸山昇一
第5話「襲撃」長谷部安春/田部俊行
第8話「偽装」村川透/新井光
第12話「衝動」村川透/新井光
第22話「動揺」西村潔/新井光
昔々、夕方の再放送で見た時にはシリーズが進むにつれてどんどんおちゃらけてきた印象だったので、柴野さんのキャラが変わったのもそういう流れかと思ったのだが、こうして見ると単に脚本依存という気もする。新井脚本の柴野さんがハイテンションキャラなのか。というか、私はシリーズ最初期が好きと思っていたけれども、新井脚本があまり好きでないのかなぁ。「偽装」は悪くないですが。
・DVDマガジン第2号のこと
第2号の第5話「襲撃」解説に「柴野刑事はキャリア組」との記載がありました。ただ「神奈川県警本部に所属する警察官」だから「国家公務員のキャリア組」という記述は正しいのかどうか。県警本部にも地方公務員はいるはずですが。この設定を真に受けた場合の私の感想、(1)出向組で所轄の大問題児(?)鷹山・大下にあの態度って、柴野さんってどちらかというと心の広い、いい人なのでは…… (2)描写からして一課長(警視)設定ということはありえないので、柴野さんの階級は警部か警部補ということになるかと思いますが、キャリアでその階級って……すごい無能設定だ (3)第22話を最後に登場しなくなったのは単なる出向解除で解決 の3つですかね。
・「あぶない刑事 DVDマガジン」キャラクターファイルのこと
神奈川県警の回によると柴野さんの役職は県警本部捜査一課係長、だそうです。あぁ、そうなの。長年の謎が少し解けました。でも結局階級はわからずじまいで残念。まぁ、警部補でしょうね、普通に考えて。ノンキャリ、警部補という私の推測はたぶん間違っていないと思います。しかし、第2号で「柴野刑事はキャリア組」と大嘘を書いたDVDマガジンの書くことをどこまで信用してよいものか。キャラクターファイルぐらいは設定資料に基づいて書いて頂きたいものだが。柴野さんがキャリアで警部とかいう超無能設定だったらどうしようと思っていたのですが、安心しました。