n-ro161帰りにマスクをふたつ買うのを忘れないでね。

解説
帰りに: sur via revena vojo または revenvoje のようにいうことができます。via は la にしてもよいのですが,何も付けない sur revena vojo はよくありません。sur を en としても通じますが,sur を使うのが一般的です。kiam vi revenos の reveni は点動詞で,revenos は「帰る」という行為の未来における完了の意味に使われるのが普通ですから,日本語の「帰ったときに」のような意味を表わし,「帰り道に」という継続する行為を表わすことはできません。

参考: Agrabla surprizo vin atendos, kiam vi revenos.
帰ったら,いいことが待ってるからね。(寄り道しないで早く帰っていらっしゃい。)

同じ理由で dum vi revenos もよくありません。

マスクをふたつ買うのを: ac^eti du maskojn。「〜することを忘れる」というのは forgesi 〜i の形を使っていうのが普通なので上に挙げたようにいうのがよいのですが,ke 構文を使っていうとすれば ke vi ac^etu du maskojn ではなく,ke vi ac^etos du maskojn というでしょう。ordoni, peti などの命令や依頼を表わす語では, 下の例文の(1),(2)のように不定形動詞が ke構文では -u に変わりますが,そのほかでは(3)のように -os になります。

(1) Li ordonis min tuj veni. = Li ordonis al mi ke mi tuj venu.
(2) Mi petis lin tuj veni. = Mi petis lin ke li tuj venu.
(3) Ni decidis prokrasti la kunsidon. = Ni decidis ke ni prokrastos la kunsidon.

忘れないでね: ne forgesu。bonvolu ne forgesi は課題文の日本語よりもずっと丁寧な表現ですから,家族の誰かにいうのだとしたら丁寧すぎるいい方といえるでしょう。「忘れないでね」というのは「忘れないでください」という意味の命令文ですから,動詞は -u を使っていいます。文末の「ね」は訳す必要はありません。c^u ne? は Tiu knabo estas amiko de Rika, c^u ne?(あの男の子はリカの友だちだね)のように,相手に同意を求めたり念を押すときに使われますが,Ne forgesu ...,c^u ne? のようにはいいません。

訳例
Ne forgesu ac^eti du maskojn revenvoje.
Ne forgesu ac^eti du maskojn sur via revena vojo.


n-ro162 わたしは Annaに頼まれた本を買うのを忘れました。

解説
わたしは 買うのを忘れました: mi forgesis ac^eti というのがよいでしょう。

Annaに頼まれた本を: la libron kiun Anna petis min ac^eti(Annaがわたしに買うように頼んだ本を) とすれば正確な表現ですが,この課題文では mi forgesis ac^eti(買うのを忘れました)と ac^eti が重複するので,libron petitan de Anna とすることができます。日本語の直訳のようで,「このようにいえるかどうか不安」という添え書きされた方がありましたが,これで十分通じる表現です。petitan は動詞の分詞形で形容詞と同じ働きをするのですから,libron に合わせて -n を付けることが必要です。これは例えば floron に「美しい」とう形容詞を付ける場合,bela floron または floron bela ではなく,belan floron または floron belan のように bela に -n を付けるのと同じです。
最初に挙げた例のように関係詞を使うときは,kio ではなく kiu を使います。kio がどのようなときに使われるのかという詳しい説明については,ここをクリックしてください
Mi forgesis ke Anna petis al mi ac^etu libron の petis al mi ac^etu は petis min ac^eti としましょう。「ある人に〜してほしいと頼む」というのは peti iun 〜i の形でいうのが普通です。

訳例
Mi forgesis ac^eti libron petitan de Anna.
Mi forgesis ac^eti la libron kiun Anna petis min ac^eti.


n-ro163 わたしは彼にアドレスを教えたことを後悔しています。

解説
わたしは後悔しています: mi bedau^ras を使っていいましょう。「過去を振り返って,"〜すればよかった"とか"〜しなければよかった"と後悔する」というのは bedau^ri でいいます。penti は道徳的,宗教的色彩の濃い表現で,「犯した罪(道徳的なものを含む)について二度と罪を犯すまいという気持で後悔する」ことをいうので,ここでは不適当です。

彼にアドレスを教えたことを: ke mi sciigis al li mian adreson。「アドレス」は,ここでは自分のアドレスを指していることは明らかなので,mian adreson とするのがよいでしょう。la adreson としても文脈で理解されるでしょうが,冠詞が人称代名詞の所有格(mia, via, lia, s^ia ...など)の代わりに使われるのは,身体の部分(心など精神活動も含む)や身につけている衣服などを表す名詞に付けるときだけであることをおぼえておきましょう。

比較:
(1) Li demetis la okulvitrojn.(彼はメガネをはずしました。)
(2) Li surmetis siajn okulvitrojn.(彼はメガネをかけました。)

(1)は siajn okulvitrojn でもよいのですが,身につけていたメガネなので la を使っていうことができます。(2)は身につけていたメガネではないので,la okulvitrojn とするのはよくありません。

「教える」に instrui を使うことはできません。instrui は「学問,知識,技能などを教える」という意味です。ここでは sciigi か doni を使うのがいちばん自然でしょう。indiki は Indiku la lokon sur la karto(地図でその場所を教えてください)というようなときには使えますが, ここでは不適当でしょう。diri は Diru al mi la veron(本当のことを教えてください)のようにいうことはできますが,diri la adreson のようにはいいません。la dono al li mian adreson のように動詞から派生した名詞に直接目的語を付けるのは,詩などではみられることがありますが,普通の文では不自然なので使われません。
「教えた」という過去の行為は,不定形で表わすことはできないので,sciigi ではなく ke mi sciigis の形でいわなければなりません。

訳例
Mi bedau^ras ke mi sciigis al li mian adreson.


n-ro164 ハルオはそこへ行かなかったことを後悔しています。

解説
ハルオは〜を後悔しています: Haruo bedau^ras(,) ke 〜。bedau^ras と ke の間にコンマを入れる人と入れない人がありますが,これは節(propozicio)の区切りにコンマを置く言語(ドイツ語やロシア語など)と置かない言語(英語など)の影響です。現在ではコンマを入れない人が増えているといえるでしょう。

そこへ行かなかった: li ne iris tien。相手のいるところへ行くというのは veni を使っていいますが,ここでは iri を使うのがよいでしょう。c^i tie は「ここ」ですから,「そこ」は tie を使いますが,「そこへ」という方向をいうときは tien といいます。viziti tien とはいわないのが普通です。viziti は他動詞ですから,viziti Italion(イタリアを訪れる)のように,名詞か代名詞の目的語を取ります。英語では visit there といいますが,この there は副詞ではなく名詞です。

訳例
Haruo bedau^ras(,) ke li ne iris tien.


n-ro165 ここを訪問する外国人は少なくありません。

解説
この文は直訳すると「ここを訪問する外国人」を主語にして,alilandanoj kiuj vizitas c^i tiun lokon ne estas malmultaj のようにいうことができますが,発想を変えて「少なくない外国人がここを訪問します」とすると,簡潔な文になります。「少なくない外国人がここを訪問します」という日本語は不自然ですが,これをエスペラントにした下の訳例のような文は自然な表現です。「外国人」は alilandanoj のほか eksterlandanoj や fremdlandanoj を使っていうこともできます。fremduloj も「外国人」の意味で使うことができますが,この語には「見知らぬ人,赤の他人」という意味もあります。

「ここを訪問する」を vizitas c^i tien とした訳が応募訳の半数を占めましたが,前回の解説で述べたように,viziti は他動詞ですから,viziti Italion(イタリアを訪れる)のように,名詞か代名詞の目的語を取ります。c^i tien は副詞ですから,vizitas の目的語になることはできません。ここでは vizitas c^i tiun lokon というのがよいでしょう。
veni は自動詞なので venas c^i tien ということはできますが,veni が単に「来る」という行為をいうのに対して,viziti には「観光,視察やそのほかの何らかの目的」があることを暗示するという違いがあります。

訳例
Nemalmultaj alilandanoj vizitas c^i tiun lokon.


n-ro166 ここを訪れる外国のエスペランチストは多いですか。

解説
この課題文も前回と同じように「多くの外国のエスペランチストがここを訪れますか」という構文でいうと簡潔な表現になります。
「外国の」は eksterlandaj,fremdlandaj, alilandaj を使うのがよいでしょう。fremdaj は「聞き手の知らない,あるいは聞き手が属しているグループ以外の」という意味にも取れるので,ここでは上のような語を使っていうことをお勧めします。
「多くの」には multe da よりも multaj を使うのがよいでしょう。multe da には「まとまって多くの」という意味に使われることが多いので,例えば,外国のエスペランチストが観光バスでやってきたときには次のようにいうでしょう。

Hierau^ c^i tiun lokon vizitis multe da alilandaj esperantistoj.
きのう大勢の外国人エスペランチストがここを訪れました。

女性のエスペランチストを指す esperantistino という語もありますが,最近は男女の区別をしないで,男女とも esperantisto という人が増えています。女性語尾を持つ母語の影響で esperantistino を使う人もいますが,そのような人にとっても,複数形の esperantistoj は女性を含むエスペランチストを意味するのが普通です。

この課題文に Ne で答える場合は,たいてい Ne.Ne tre multaj.(いいえ,あまり多くはありません)とか,Ne.Nur unu au^ du duonjare.(いいえ,半年に一人か二人くらいです)のように補って答えるでしょう。

訳例
C^u multaj eksterlandaj esperantistoj vizitas c^i tiun lokon?


n-ro167 各人は互いにほかの人の権利を尊重しなければなりません。

解説
「各人」は大部分の訳に c^iu, c^iu homo, c^iu persono が使われていました。確かに普通はこのように訳してよいのですが,ここでは単数形ではなく,複数形の c^iuj, c^iuj homoj, c^iuj personoj を使いましょう。というのは,主語が単数形の文でその主語について reciproke や unu la alian を使うことは普通ないからです。
ただし,主語が単数でも目的語が複数で,その目的語についていうときはreciprokeを使うことができます。これはunu la alianなどについても同じです。

参考:
La milito j^etis la du virojn unu kontrau^ la alian.
(戦争はそのふたりの男を対立させました)

注: kontrau^ のあとはいつも -n の形というのではなく,ここでは「対立の立場に投げ込んだ」という意味で kontrau^ la alian となっていますが,stari unu kontrau^ la alia(向かい合って立っている)のように移動の意味を含まないときは kontrau^ la alia の形を取ります。

「人」を指していうとき,homo や persono を使わずに,c^iu, c^iuj, alia, aliaj だけでも十分で,これは iu, iuj, kiu, kiuj,neniu,tiu, tiuj についてもいうことができます。

「ほかの人の権利を」の訳は,複数の「権利」のすべてについて述べているのですから,複数形の rajtojn を使っていいます。c^iujn rajtojn de c^iuj aliaj としてもよいのですが,文頭に c^iuj を使うので,la rajtojn de c^iuj aliaj または la rajtojn de la aliaj というのがよいでしょう。aliajn homrajtojn は「そのほかの人権を」という意味ですし,alian personan rajton は alian personan/ rajton という区切りではなく,alian/ personan rajton という区切りで理解されるので,「もうひとつ別の persona rajtoを」という無意味な表現になってしまいます。rajtojn に siajn を付けると,「自分の権利を」という意味になります。fremdaj homoj は「見知らぬ人たち」という意味で,ここで使うのは不適当です。

「尊重する」は estimi ではなく respekti を使います。estimi は人だけでなく物についても使われますが,この語はとくに人について「道徳的に高く評価する」という意味でよく使われるので「尊敬する」という訳語に近く,日本語の「尊重する」にはrespektiを使っていうのがよいでしょう。

訳例
C^iuj devas respekti inter si la rajtojn de la aliaj.


n-ro168 Mac^jo は Tanjo と互いに愛しあっています。

解説
Mac^joは:「Mac^joは...」となっているので,Mac^jo amas ... と書き出したくなるところですが,この形では reciproke や unu la alian を使うことができなくなるので,ここでは Mac^jo kaj Tanjo を主語にしましょう。
Mac^jo kune kun Tanjo amas としても主語が単数であることに変わりはありません。

互いに愛しあっています: amas sin reciproke または amas unu la alian といえばよいでしょう。ami は他動詞なので amas reciproke でなく,目的語の sin が必要です。amas ilin reciproke とすると,ほかの人たちと愛しあっている,という意味になります。unu al la alia はここでは不適当です。例えば,Ili estas fremdaj unu al la alia.(彼らは互いに知らないもの同士でした)のように使われますが,前置詞はいつも al ではなく,動詞や形容詞によって変わります。(fremdaj unu al la alia は fremda al から)

参考:
Ili konsilig^is unu kun la alia.
(彼らは互いに相談しました) < konsilig^i kun(と相談する)
Ili ridis unu je la alia.
(彼らは互いにあざ笑いました) < ridi je(をあざ笑う)

この課題文は訳例の最後に挙げたようにいうこともできます。

訳例
Mac^jo kaj Tanjo amas sin reciproke.
Mac^jo kaj Tanjo amas unu la alian.
Mac^jo kaj Tanjo estas en reciproka amo.


n-ro169 わたしはその10本の紐を互いに結び付けました。

解説
その10本の紐を: la dek s^nuretojn, la dek s^nurojn。la は tiujn としてもよいでしょう。文脈で聞き手にそれと分かる紐についていう場合には la を使っていうことができます。「10本の」は dekon da を使っていうこともできますが,dek da のようにいうことはできません。また,da の後に la の付いた名詞が置かれることもありません。「平ひも」を指していうときは bendojn を使えます。

互いに結び付けました: 「互いに」は,ここでは unu kun la alia または reciproke を使っていえばよいでしょう。inter si を使うこともできます。この si は主語を再示するという機能を失っていて,inter si で ひとつの副詞のように働いて reciproke と同じ意味で機能します。alterne は「交互に」とう意味で,次のように使われますが,ここでは不適当です。

参考: Kunligu alterne la rug^ajn s^nuretojn kaj la blankajn.(赤と白の紐を交互に結んでつないでください)

「結び付ける」は ligi,kunligi を使っていうことができます。alligi も使えます。kunligi と alligi の差違は,日本語でいえば「と結び付ける」と「に結び付ける」の違いのようなものですが,例えばロープ同士を結び付ける場合には kunligi,ロープを柱に結び付けるという場合には alligi を使うほうが自然でしょう。ligi はどちらの意味にも使われますが, ligi kun, ligi al のように前置詞によって,kunligi,alligi のニュアンスを表わすことができます。

訳例
Mi ligis la dek s^nuretojn unu kun la alia.


n-ro170 委員会は来月11日に変更されました。

解説
委員会: この「委員会」は「委員で構成される組織」という意味ではなく,「委員が集まって協議する会議」のことですから,la komitato としないで la komitat-kunsido, または la kunsido de la komitato とするのがよいでしょう。聞き手にそれと分かる「委員会」のことですから,上のように冠詞を付けます。この課題文のような文の場合,会話では la komitat-kunsido, または la kunsido de la komitato の代わりに la komitato が使われることがあります。これは会話では誤解される恐れのない限りできるだけ簡潔に表現する傾向があるからです。しかし書くときは「委員が集まって協議する会議」を指してkomitato を使うことはお勧めできません。次の文を見てください。

La komitat-kunsido estas malfermita al c^iuj.
委員会は公開されています。(だれでも傍聴できます。)

これを La komitato estas malfermita al c^iuj というと「だれでも委員になれます」という意味に誤解される恐れがあります。

ここでいう「委員会」は「委員会を開く日」のことなので,la dato de la komitat-kunsido のようにいうのが正確な表現ですが,実際にはたいてい la komitat-kunsido, または la kunsido de la komitato のようにいうでしょう。

来月11日: la 11-a de la venonta monato。11-a は dekunua と読みます。ハイフンを入れずに 11a と書く人もいます。正式には la 11-a tago ですが, tago は省略することができます。日付は,例えば la 15-a de junio(6月15日)のように「日+ de +月」ということをおぼえておきましょう。「6月15日に〜を行う」というときは okazigi 〜n en la 15-a (tago) de junio または okazigi 〜n la 15-an (tagon) de junio のようにいいます。
je la 11a のように je を使うのはよくありません。je は「時刻」,en は「日付」に使うという慣習が確立しているので,je la 11a horo(11時に),en la 11a tago(11日に)というときの horo や tago を省略しても誤解される恐れがないのです。

に変更されました: oni s^ang^is al または (「委員会」を主語にして) estis s^ang^ita al といえばよいでしょう。あるものを別のものに変えるというときは s^ang^i 〜n en ---n の形を取りますが,「名前を変える」とか「住所を変える」などのような単なる変更の場合は s^ang^i 〜n al --- の形を取ります。

比較:
s^ang^i kampon en log^terenon.
畑を宅地に変える
s^ang^i sian plumnomon al 〜
ペンネームを〜に変える

「変更されました」という過去の 行為は estas s^ang^ita ではなく,estis s^ang^ita と過去形でいうのがよいでしょう。s^ang^ig^is を estis s^ang^ita の意味で使う人もいますが,「表情が変わる」とか「天候が変わる」などのように「(状況,状態が)変わる」という意味で使うのはよいのですが,この課題文のように「変更される」というときに s^ang^ig^is を使うのは避けたほうがよいでしょう。

この課題文は会話では La komitato estis s^ang^ita al la 11-a de la venonta monato のようにいうことがあるかもしれませんが,作文の練習としては下の訳例のようにいうのがよいでしょう。

訳例
La dato de la komitat-kunsido estis s^ang^ita al la 11-a de la venonta monato.
Oni s^ang^is la komitat-kunsidon al la 11-a de la venonta monato.
La komitat-kunsido estis s^ang^ita al la 11-a tago de la venonta monato.