課題文n-ro201 これがきのう私があなたにお話した本です。

解説
きのう私があなたにお話した本: la libro(,) pri kiu mi parolis al vi hierau^。hierau^ の位置は mi の前でも parolis の前でもかまいませんが,ここでは parolis の前か文末におくのが安定した感じを与えます。pri kio は誤りです。kiu は,英語の who と違って,先行詞が人でも物でも関係なく使われます。kio の用法についての説明は,ここをクリックしてください。
なお,pri の後に対格(-n)が置かれることはありません。pri kiu mi diris や kiun mi diris はよくありません。diri は diri sian opinion(自分の意見を言う)などのように,diri -n の形で使われ,diri pri の形は使われません。diri -n の形といっても,diri la veron(本当のことを言う)のようには使われても,diri la libron のようには言わないので,libro を受けている kiun を目的語として kiun mi diris のようには言いません。paroli は paroli -n の形でなく,paroli pri の形で使われるので,kiun mi parolis とするのはよくありません。priparoli(のことを話す)は priparoli -n の形で使われるので,kiun mi priparolis は正しい表現です。英語の that は接続詞としても機能しますし,関係代名詞としても機能しますが,ke は接続詞として機能するだけなので,la libro, ke mi parolis のように使うことはできません。libro には冠詞を付けます。「きのう私があなたに話した本」というのは,聞き手にとって,すぐそれと分かる本だからです。

英語の関係代名詞の用法と違って,kiu に前置詞が付く場合は,pri kiu のように前置詞を kiu の直前に置き,英語のように前置詞が離れて文末に置かれることはありません。また,目的格の関係代名詞(kiun)が省略されることもありません。

訳例(敬
C^i tio estas la libro, pri kiu mi parolis al vi hierau^.


課題文n-ro202 マサオが婚約した相手というのは,わたしの妹なんです。

解説
マサオが婚約した相手: la knabino(,) kun kiu Masao fianc^ig^is のようにいうのがよいでしょう。la knabino のところは la frau^lino や la virino を使っていうこともできますが,日本語の「相手」にこだわって kunulo, kunulino を使うのはよくありません。「婚約した相手」というのは日本語独特の表現ですから,エスペラントでは最初に挙げた表現でよいのです。
fianc^inig^is は ig^is fianc^ino(fianc^ino になった)という意味で,女性が(男性と)婚約したときに使う語ですから,ここでは使うことはできません。
fianc^ig^i は自動詞なので fianc^ig^i 〜n の形でなく,fianc^ig^i kun 〜 の形で使われるのが普通です。また,fianc^ig^ita de Masao のような受け身の形はありません。

わたしの妹なんです: estas mia fratino でよいでしょう。年下であることを明示したいときには pli juna を付けてもよいのですが,普通は fratino だけで十分です。日本語には fratino に当たる言葉がなくて,姉または妹のどちらかを使っていいますが,エスペラントでは年齢による区別をしないのが普通です。

訳例
La knabino kun kiu Masao fianc^ig^is estas mia fratino.


課題文n-ro203 これらはピカソ(Picasso)がこの絵を描いた絵筆です。

解説
これらは: c^i tiuj または tiuj c^i を使っていいます。c^i tioj は誤りです。tioj という形はなく,複数形は tiuj となります。

ピカソ(Picasso)がこの絵を描いた絵筆: la penikoj(,) per kiuj Picasso pentris c^i tiun pentraj^on のようにいうのがよいでしょう。「絵」には bildon も使えます。「絵筆」は farbopenikoj, pentropenikoj が日エス辞典に出ているので,それを使った訳文がいくつか寄せられましたが,penikoj を使っていうのが普通です。私たちは「筆」というと,文字を書く用具が頭に浮かびますが,文字を書くときに筆を使う習慣のない人たちは,peniko と聞けば絵筆やペンキ,糊などを塗るときに使う用具を思い浮かべます。この課題文の場合のように絵を話題にしているときに,farbopenikoj や pentropenikoj を使っていうと,例えば,誰かに時刻を尋ねられたとき腕時計を見ながら,「わたしの時計では××時です」と答えるのが普通なのに,「わたしの腕時計では××時です」と答えるような不自然さを伴います。penikoj には冠詞を付けます。Picasso がこの絵を描いた絵筆というので特定されるからです。
per のところに kun を使うのは誤りです。道具や手段を示す前置詞は per です。英語では with を使うので,それと混同しないようにしましょう。例えば,write with a pencil は skribi per krajono となります。 per kio の kio は kiu としなければなりません。
「描いた」に desegnis を使うのはよくありません。desegni は「(鉛筆,クレヨン,ペン)などで絵をかく」という意味なので,「絵筆を使って描く」というときには使えません。

訳例
C^i tiuj estas la penikoj(,) per kiuj Picasso pentris c^i tiun bildon.


課題文n-ro204 あなたがこの金庫を開けたカギはどこにありましたか。

解説
あなたがこの金庫を開けたカギ: la s^losilo(,) per kiu vi mals^losis c^i tiun kason または la s^losilo(,) per kiu vi malfermis c^i tiun monkeston などのようにいうことができます。kie vi trovis の構文にしたときは la s^losilon の形になります。「金庫」には mons^ranko も使えます。malfermi は「(を)開ける」という他動詞ですから,「(を)開ける」の意味で malfermigis とするのは誤りです。kie la s^losilo estis, per kiu vi ... は先行詞と関係詞が離れているので,kie estis la s^losilo, per kiu vi ... の語順にしましょう。

どこにありましたか: kie estis または kie trovigxis が使えます。kie ekzistis は誤りではありませんが,ekzisti という語は,例えば C^u vi pensas ke Dio ekzistas?(あなたは神が存在すると思いますか)のように,「存在する,実在する」という重い語感があるので,ここでは避けたほうがよいでしょう。kie vi trovis といういい方もできます。en kie のようにはいいません。c^ie, ie, kie, nenie, tie に en を付けることはありません。

訳例
Kie vi trovis la s^losilon(,) per kiu vi mals^losis c^i tiun kason.
Kie estis la s^losilo(,) per kiu vi malfermis c^i tiun kason?


課題文n-ro205 アオキ先生は,わたしがこの方のお陰で健康を回復したお医者さんです。

解説
アオキ先生: d-ro Aoki とするのがよいでしょう。「〜先生」というのは,学校の先生から弁護士,華道,手芸の先生,その他にいたるまで広く使われますが,医師に対する敬称としては,d-ro を使うのが普通で,博士号の有無には関係なく使われます。ここでは文頭なので大文字を使いますが,文中では小文字で書くのが普通です。

わたしがこの方のお陰で健康を回復したお医者さん: la kuracisto(,) dank' al kiu mi resanig^is のようにいうのがよいでしょう。dank' al は danke al の形も使われますが,danko al とするのは誤りです。la kuracisto, pro kiu mi resanig^is の pro や la kuracisto, per kiu mi resanig^is の per は,よくありません。pro は原因や理由,動機を表す前置詞ですし,per は用具や手段などを表す前置詞ですから,どちらもここでは不適当です。la kuracisto, per helpo de kiu mi povis restau^ri mian sanon の per helpo de kiu は per kies helpo とするのがよいでしょう。また restau^ri mian sanon のようにいうのはよくありません。フランス語の restaurer には「絵画などを修復する,王制を復古する」という意味のほかに,「(健康を)回復させる」という意味がありますが,エスペラントの restau^ri にこの後者の意味はありません。ラテン系の言語を母語とする人には抵抗のない表現でしょうが,そのほかの人には奇異に感じられるでしょう。resanig^i は「健康を回復する」という自動詞ですから,resanig^i min のようにいうことはできません。
Doktoro Aoki estas la doktoro al kiu mi s^uldas mian resanig^on は誤りではありませんが,同じ語を避けて la doktoro を la kuracisto とするほうがよいでしょう。

訳例
D-ro Aoki estas la kuracisto(,) dank' al kiu mi resanig^is.


課題文n-ro206 あなたが文通している中国の人は,何という都市に住んでいるのですか。

解説
あなたが文通している中国の人: la c^ino(,) kun kiu vi korespondas といえばよいでしょう。via c^ina leteramiko または via c^ina korespondanto のようにいうこともできます。la c^ino, kiu korespondas kun vi も使えます。via korespondanta c^ino は,日本語で考えると,語順通りに「あなたの文通している中国人」のように取れそうですが,エスペラントでは via c^ino korespondanta(=via c^ino kiu korespondas) という意味不明の表現になります。h^ino を使う人もいますが,今では少なくなっています。なお,korespondanto には「(新聞などの)通信員」という意味もあります。               
何という都市に: en kiu urbo が一般的ないい方です。en kia urbo はよくありません。kia urbo は「どんな都市」という意味で,返事は granda urbo とか kvieta urbo などのようになるでしょう。en kiu urbo を kiun urbon とするのはよくありません。en kia noma urbo や kia nomo estas lia log^anta urbo は誤りです。
下の訳例に挙げたように kian nomon havas を使っていうこともできます。

訳例
En kiu urbo log^as la c^ino(,) kun kiu vi korespondas?
En kiu urbo log^as via c^ina leteramiko?
Kian nomon havas la urbo(,) kie log^as via c^ina korespondanto?


課題文n-ro207 あの人は,わたしがKeppel博士にインタビューしたときの通訳です。

解説
あの人は: tiu を使っていうのがいちばんよいでしょう。tiu persono, tiu homo も使えますが,tiu だけで十分です。li を使うのはよくありません。li は人称代名詞ですから,いちど話題にした人のことをいうときに使うのはよいのですが,初めて使うときは指示代名詞の tiu を使いましょう。日本語では,例えば部屋に入ってきた女性を指して,「彼女は誰ですか」などということがありますが,こんなときエスペラントでは Kiu estas s^i? ではなく,Kiu estas tiu? のように尋ねるのが普通です。

わたしがKeppel博士にインタビューしたときの通訳: 「〜したときの」は「とき」が入っているので,kiam を使っていいたくなりますが,kiu を使っていうこともできます。訳例に挙げた訳がそれですが,la interpretisto, per kies helpo mi intervjuis doktoron Keppel ということもできます。この interpretisto は per kies helpo ... という形容詞句で限定されているので冠詞を付けますが,la interpretisto, kiam mi intervjuis d-ron Keppel は kiam 以下が副詞句で,interpretisto を限定していないので,interpretisto に冠詞を付けると不自然ですから,mia interpretisto としましょう。
intervjui は他動詞で intervjui iun の形で使われるので,ここでは intervjuis d-ron Keppel とするのがよいでしょう。動詞の目的語になる人名に敬称(d-ro, s-ro, s-ino など)が付いているときは,その敬称に -n を付けて,d-ron Keppel, s-ron Tanaka, s-inon Suzuki などのようにいいます。la doktoron Keppel は誤りです。敬称に冠詞は付けません。

訳例
Tiu estas la interpretisto pere de kiu mi intervjuis d-ron Keppel.


課題文n-ro208 この書類を出した紙袋を持ってきてください。

解説
この書類を出した紙袋を: 「紙袋」は papersako でよいのですが,大きな封筒を考えれば kovertego を使ってもよいでしょう。ここでは目的格ですから -n を付けます。papero sako のようにいうことはできません。英語では名詞を形容詞のように使うことができるので,「紙袋」を a paper bag ということができますが,エスペラントでは語尾で品詞が区別されているため papera sako とするか,または合成語にして papersako としなければなりません。「この書類を出した」の「書類を」には paperojn, dokumentojn, skribaj^ojn, dosieron などが使えます。「出した」は「取り出した」という意味ですから,elprenis がよいでしょう。eltiris は「引っ張り出した」という感じを伴います。elpreni は elpreni 〜n el ---(---から〜を取り出す)という形で使われるので,ここでは la papersako または la kovertego に付けて,el kiu vi elprenis とするのがよいでしょう。papersakon, kovertegon は, el kiu 以下で限定されているので冠詞を付けます。
「この書類の入っていた紙袋を」と考えれば,la papersakon(,) en kiu tovig^is c^i tiuj paperoj のようにいうことができます。trovig^is のところには estis を使うこともできます。la papersakon enhavintan c^i tiun dokumenton は文法上の誤りはありませんが,この表現は重苦しいので,la papersakon kiu enhavis c^i tiun dokumenton のようにいうのが普通です。

持ってきてください: alportu al mi, portu al mi などのようにいえばよいでしょう。丁寧に頼むときは bonvolu alporti al mi や bonvole alportu al mi のようにいいます。Venu kun la papersako や Bonvolu kunporti papersakon は,話し手から離れたところにいる相手に向かって電話などで「持ってきてください」という場合ならよいのですが,c^i tiun dokumenton などのようにいうのは聞き手が話し手のそばにいるときのいい方ですから,ここでは上に挙げたようにいうのがよいでしょう。al mi はなくてもかまいませんが,bonvolu porti mi の mi は al mi としなければなりません。「ここへ」という意味で c^i tien を使ってもよいでしょう。

訳例
Bonvolu alporti al mi la papersakon el kiu vi elprenis c^i tiujn paperojn.
Bonvolu alporti al mi la papersakon en kiu trovig^is c^i tiu dokumento.


課題文n-ro209 この仏像が置いてあった座布団を見せてください。

解説
この仏像: c^i tiu statueto de Budho のようにいえばよいでしょう。statuo を使った訳は大部分を占めましたが,statuo は普通「等身大の彫像,銅像など」を指すので,床の間に置いたりするものを指すときは statueto といいます。「仏像」は仏の姿を彫像や絵画にあらわした像ですから,正確にいえばBudho(仏陀)の像だけではありません。statueto de Amitavo(阿弥陀像)などのように仏の固有名詞を入れていえば正確ですが,Amitavo などは仏教徒のエスペランチストでなければ知らない語です。「仏」は狭義では仏陀を指しますが,明王,諸天などを含めた広義の「仏」に相当する語はないので,budhisma statueto を使っていう人もあります。

置いてあった: staris や sidis を使っていうのがよいでしょう。sidig^is は「座った」いう動作を表す語ですから,ここでは不適当です。estis metita は「置かれた」という動作を表す意味にも取れるので,「置いてあった」という状態を表すにはstarisかsidisを使ったほうがよいでしょう。

座布団を: la kusenon でよいでしょう。sur kiu 以下の節で限定されるので,冠詞を付けます。

見せてください: bonvolu montri al mi, bonvolu prezenti al mi などのようにいうことができます。bonvolu を付けるとたいへん丁寧な表現になります。付けずに montru ..., prezentu ... といっても,日本語の「見せなさい」というような語感を伴うとは限りませんが,初対面の人に対しては bonvolu を付けたほうが無難です。bonvole montru は日本ではよく使われる形です。誤りではありませんが,ヨーロッパでは bonvolu -i が使われています。 日本語では「わたしに」という表現は入っていませんが,al mi を付けていうほうがよいでしょう。al mi の代わりに min を使うのは誤りです。英語の me には「わたしを(対格)」と「わたしに(与格)」というふたつの意味がありますが,エスペラントの min は与格として機能しません。

訳例
Bonvolu montri al mi la kusenon sur kiu staris c^i tiu statueto de Budho.


課題文n-ro210 ハナコがその手紙を受け取ったイタリア人は若くありません。

解説
ハナコがその手紙を受け取ったイタリア人: la italo, de kiu Hanako ricevis tiun leteron のようにいえばよいでしょう。tiun leteron は la leteron とすることもできます。la italo, kies leteron Hanako ricevis と表現すると,課題文にある「その手紙」の「その」が抜けてしまいます。「彼からもらった手紙」と「彼からもらったその手紙」とは同じではありませんね。「その手紙」というのは特定の手紙を指しているのですから,伝える内容の中では重要な情報のひとつです。
la italo, el kiu ... の el は誤りです。英語の from はエスペラントでは el になったり de になったりします。Li venis el Italio(彼はイタリアから来た)のように,el は「〜(の中)から」という意味ですから,ここでは de を使っていいます。

若くありません: ne estas juna。ne は否定する語の直前に置かれるので,estas ne juna のほうがよいように思われるかもしれませんが,esti の後の predikativo(ここでは juna)を否定するときは,esti の前に置くのが普通です。ザメンホフもそのように使っています。
ne estas juna を文頭の置いて,Ne estas juna la italo ... という語順にすると,「若くない」という点が強調されます。

訳例
La italo, de kiu Hanko ricevis tiun leteron, ne estas juna.