課題文n-ro341 マサオは,その男が部屋に入ってくる前にドアを閉めました。

解説
マサオはドアを閉めました: Masao fermis la pordon と言います。pordon には冠詞を付けます。これはマサオの部屋のドアであることが明らかであるからです。無冠詞の pordon にすると,マサオと関係のないどこかの部屋のドアのことを言っているように聞こえるので不自然です。

その男が部屋に入ってくる前に: antau^ ol la viro estus enveninta en la c^ambron と言うのが正確な表現ですが,estus enveninta は envenus で代用してもよいでしょう。eniris, envenis のように -is を使った訳が多かったのですが,ここでは男は部屋に入らなかったのですから,-us を使って言います。下のふたつの文を比べてみてください。

参考:
Mi diris al la viro, "Ne tus^u la pentraj^on!" antau^ ol li tus^us la pentraj^on.
わたしはその男が絵に触れる前に「絵に触れないで」と言いました。(だからその男は絵に触れなかった。)
Mi diris al la viro, "Ne tus^u la pentraj^on!" antau^ ol li tus^is la pentraj^pn.
わたしはその男が絵に触れる前に「絵に触れないで」と言いました。(が,その男は絵に触れた。)

訳例
Masao fermis la pordon, antau^ ol la viro envenus en la c^ambron.


課題文n-ro342 マサオの友人は,自分の長編小説をエスペラントに翻訳するという夢が実現する前に亡くなりました。

解説
マサオの友人は亡くなりました: 「マサオの友人」を la amiko de Masao と冠詞を付けた訳が多かったのは意外でした。ここでは聞き手にとっては初めての話題ですから,無冠詞にしなければなりません。英語(米語)なら a friend of Masao's(Masao)と言うところです。冠詞の有無について話すとき,「〜は」は冠詞を付けて「〜が」は無冠詞と言われることがありますが,これは絶対的なものではなく,ここでは当てはまりません。la amiko de Masao は,聞き手が「あの人のことだな」と分かる人について言うとき以外は,使えない表現です。「マサオの友人」は訳例に挙げたように unu el la amikoj de Masao と言うこともできます。「亡くなりました」は mortis または forpasis と言えばよいでしょう。forpasi は morti の婉曲表現です。

自分の長編小説をエスペラントに翻訳するという夢: la revo traduki sian romanon en Esperanton と言えばよいでしょう。la revo ke li tradukos sian romanon en Esperanton と言うこともできますが,ke 以下の主語(li)が文の主語(ここでは amiko de Masao)と同じなので la revo traduki ... とすることができます。
en Esperanton は Esperanten することもできますし,traduki en Esperanton は esperantigi を使って言うこともできます。en Esperanto は en Esperanton に,Esperante は Esperanten にしなければなりません。
「夢」に song^o を使うのはよくありません。英語では日本語と同じように,「睡眠中の夢」も「目指す理想,目標」も dream を使って言いますが,エスペラントでは前者は song^o, 後者は revo と区別して言います。
novelo は短編小説のことですから,ここでは romano を使って言いましょう。romano は longa literatura rakonto のことですから,longa romano とは言わないのが普通です。
si や sia+名詞 は主語になることはできないので,sia romano を主語にするのは誤りです。

実現する前に: revo を主語にした場合は antau^ ol la revo realig^us(この課題文では revo に修飾する語句や節を付けるので,語順は antau^ ol realig^us la revo) ですが,人を主語にして「(夢を)実現する前に」と言う場合は li realigus (la revon)となります。-us を使うのは彼の死によって実現しなかったことを言っているからです。realig^us, realigus は efektivig^us, efektivigus としても同じです。

訳例
Unu el la amikoj de Masao mortis antau^ ol li realigus la revon traduki sian romanon en Esperanton.


課題文n-ro343 わたしはきのう,アキオのフランス人の友だちと知り合いになりました。

解説
アキオのフランス人の友だち: アキオにフランス人の友だちがひとりしかいないのか,それとも何人もいるのかによって表現がちがいますが,この課題文ではそれが分からないので,franca amiko de Akio,unu el la francaj amikoj de Akio, francaj amikoj de Akio のどれでもよいでしょう。ただし,franca amiko de Akio と unu el la francaj amikoj de Akio とは同じではなく,前者がアキオのフランス人の友だちが一人の場合でも何人かいる場合でも使える表現であるのに対して,後者はアキオのフランス人の友だちが何人もいる場合に限って使うことができる表現です。francaj amikoj de Akio が konatig^is kun の後に置かれると,アキオの友だちである複数のフランス人と知り合った
ことを意味します。
franco(,) kiu estas amiko de Akio は誤りではありませんが,franca amiko de Akio と言うほうが簡潔で一般的です。

と知り合いになりました: konatig^is kun を使って言うのが普通です。ekkoni は聖書の中で「性的な関係を持つ」と言う意味に使われている語なので,『エスペラント日本語辞典』では「性的な関係」と明示しないで単に iun を「を経験する」と言う訳語を載せていますが,文通や会話の相手がヨーロッパ人の場合には避けたほうが無難です。

hierau^ は文頭,文末,文中の mi と konatig^is の間に置くことができます。日本語では「きのう」の後に読点やコンマを置くことができますが,エスペラントで Hierau^, のようにコンマを置くのはよくありません。

訳例
Hierau^ mi konatig^is kun franca amiko de Akio.


課題文n-ro344 あの青年は,去年イタリアを自転車旅行したイギリス人です。

解説
あの青年は: tiu junulo と言うのがよいでしょう。指などで指し示す場合は,la junulo でなく,tiu junulo と言い ます。

去年: en la lasta jaro, la lastan jaron, lastjare または en la pasinta jaro, la pasintan jaron, pasintjare と言います。副詞の jare を,形容詞の lasta で修飾することができないので,lasta jare と言うことはできません 。lasta(n) jaro(n), pasinta(n) jaro(n)には冠詞を付けます。

イギリス人: anglo または brito ですが,前者は「イングランド人」,後者は「(イングランド人,ウェールズ人,ス コットランド人を含む)イギリス国民」を指します。この課題文では,その区別が不明なので,どちらも使えますが,日 本語で「イギリスの方」と紹介された人が,すべて anglo とは限らないので注意が必要です。今年の9月に亡くなった 有名な詩人 William Auld はスコットランド人ですから,brito と言うことはできますが,anglo ではありません。 Angulo, Britano は誤りです。angla, kiu bicikle vojag^is ... の angla は anglo にしましょう。初めて話題にす るのですから,anglo や brito は無冠詞にします。

イタリアを自転車旅行した: 「自転車旅行した」は vojag^is per bicilo, vojag^is bicikle, ciklovojag^is のよう に言うことができるほか,cikloturismis と言う表現もあります。ここでは「イギリス人」を修飾するために,関係詞 の kiu を使って anglo または brito につなぎます。vojag^i は自動詞なので,「イタリアを」は Italion(Italujon) ではなく,en Italio(Italujo) または tra Italio(Italujo) としましょう。al を使うと「イタリアへ」と言う意味に なるので,ここではよくありません。

訳例
Tiu junulo estas anglo(,) kiu lastjare vojag^is per biciklo en Italio.


課題文n-ro345 昨夜わたしの近所で火事がありました。原因はまだ分かっていません。

解説
昨夜: hierau^ nokte または hierau vespere と言います。nokto は「就寝する時刻から夜明けまで」,vespero は「日没のすこし前から就寝する時刻まで」を言うので,かなりあいまいな表現です。例えば,午後11時頃は,すでに寝ている人にとっては nokto ですが,まだ起きている人にとっては vespero と言えますから,その頃に起きた火事については,nokte と言う人と vespere と言う人がいてもおかしくありません。

わたしの近所で: en mia najbaraj^o, najbare de mia domo, en la c^irkau^aj^o などのように言うのが一般的でしょう。najbara には「隣接している」と言う意味があるので,mia najbara domo を使うと「隣の家」が焼けたと言う意味に取られるでしょう。c^irkau^aj^o de mia domo の c^irkau^aj^o には冠詞を付けます。

火事がありました: 「火事」は fajro, fajrego, brulo, brulego, incendio のどれも使って言うことができます。「ありました」は,okazis がよいでしょう。okazig^is のようには言いません。「火事がありました」の語順は,fajrego okazis でよいのですが,Hierau^ nokte のような副詞句の後では,okazis fajrego のように倒置されることがよくあります。

原因はまだ分かっていません: la kau^zo estas ankorau^ nekonata のように言うことができます。oni ankorau^ ne trovis la kau^zon のようにも言えますが,この trovis を trovas とするのは誤りです。trovi は点動詞ですから,一回きりの行為について -as を使うことはできません。同じ理由で klarigas や klarig^as も誤りです。ただし,trovi には opinii(と思う)と言う意味もあるので,その意味で使われるときは線動詞として,Mi trovas vian ideon g^usta.(あなたの考えは正しいと思います)のように,-as の形で使うことができます。Ankorau^ ne trovis sin la kau^zo. の trovi sin は trovig^i と同じで「ある,存在する」と言う意味ですから,この文は「まだ原因はありません」と言うような意味になります。
「原因」は,ここでは火事の原因を指しているのですから,g^ia kau^zo と言うこともできますが,こういう場合は冠詞を付けて la kau^zo と言うのが普通です。la kau^zo de la fajro は誤りではありませんが,火事の話の中で la kau^zo と言えば,その火事の原因を指しているのは明らかなので de la fajro は不要です。
「分かっていません」に kompreni や komprenig^i を使うのは,よくありません。kompreni は「(意味や考えや事柄など)を理解する」, komprenig^i は「(意味や考えや事柄など)が理解される」と言う意味です。

訳例
Hierau^ nokte okazis fajro en mia najbaraj^o. La kau^zo estas ankorau^ nekonata.


課題文n-ro346 きのうあなたがなくしたキーは,まだ見つかりませんか。

解説
きのうあなたがなくしたキー: la s^losilo(,) kiun vi perdis hierau^ と言えばよいでしょう。hierau^ の位置は vi の前や perdis の前に置くこともできます。trovi の目的語になるときは la s^losilon(,) kiun vi perdis hierau^ となります。la s^losilon hierau^ de vi perditan とも言えます。旧約聖書に c^io, kio estos perdita de li(あなたの兄弟の失った物 Readmono 22:3[訳は日本聖書協会])があります。
s^losilo には冠詞を付けます。キーをなくした人に尋ねているのですから,聞き手にはどのキーのことか分かっているからです。

まだ見つかりません: la s^losilo を主語にして ankorau^ ne estas trovita または ankorau^ ne trovig^is のように言うか,vi を主語にして vi ankorau^ ne trovis と言うのがよいでしょう。「まだ〜していない」は ankorau^ ne 〜 と言います。ザメンホフは ne bone konas ankorau^(まだよく知らない)のように ne と ankorau^ の間に動詞を置く形も使いましたが,現在は ne を ankorau^ のすぐ後に置くのが普通で,Plena Ilustrita Vortaro de Esperanto(PIV)でも ankorau^ ne を副見出し語として挙げています。
ankorau^ ne trovas の trovas は trovis としなければなりません。trovi は点動詞ですから一回きりの行為について使うことはできません。「点動詞」についての詳しい説明は,ここをクリックしてください

訳例
C^u vi ankorau^ ne trovis la s^losilon(,) kiun vi perdis hierau^?
C^u ankorau^ ne estas trovita la s^losilo(,) kiun vi perdis hierau^?


課題文n-ro347 Markoがいま話しているのは,スペイン語ですか,それともポルトガル語ですか。

解説
Markoがいま話しているのは: 「Markoがいま話している言語は」という意味のla lingvo(,) kiun Marko nun parolas または la lingvo(,) en kiu Marko nun parolas を使って言うことができますが,この課題文は「Markoはいまスペイン語で話しているのですか,それともポルトガル語で話しているのですか」という構文で言うほうが簡潔な表現になるので,その場合は C^u Marko nun parolas で始まる文になります。

スペイン語ですか,それともポルトガル語ですか: en la hispana au^ en la portugala あるいは la hispanan au^ la portugalan または hispane au^ portugale のように言うことができます。en la hispana を使ったとき au^ の後の en を省略する人もいますが,au^ の後にも en を付けて en la portugala と言うのをお勧めします。この課題文のような場合には au^ の前にコンマを付けないのが普通です。En kiu lingvo Marko nun parolas, la hispana au^ la portugala? の la hispana au^ la portugala は en la hispana au^ en la portugala としましょう。

訳例
C^u Marko nun parolas en la hispana au^ en la portugala?
C^u Marko nun parolas hispane au^ portugale?


課題文n-ro348 原稿は月末までにお送りください。

解説
原稿は: ここでは「送る」の目的語になるので,「原稿を」という意味の la manuskripton または vian manuskripton でよいでしょう。読み手に分かっている原稿の場合は「例の原稿を」という意味の la manuskripton というでしょうし,そうでない場合は vian manuskripton が使えますが,無冠詞の manuskripton は, ここではよくありません。

月末までに: g^is la monatfino, g^is c^i tiu monatfino, g^is la fino de la monato, g^is la fino de c^i tiu monato のように言います。会話やメールの中で,la monatfino とか la fino de la monato と言えば,「その月の末」を指します。g^is のところに antau^ を使うこともできますが,g^is と antau^ とでは意味が違います。もし11月であれば,g^is la monatfino が「11月30日までに」を表すのに対して,antau^ la monatfino は「遅くとも11月29日までに」ということを表します。la fino de c^i tiu monato と同じ意味で c^i-monatfino という言い方もありますが,c^i tiu monata fino のように言うことはできません。g^is la fine de la monato の fine は fino としなければなりません。monatfinatago のようには言いません。g^is c^e c^i tiu monatfino, g^is en c^i tiu monatfino の c^e, en は削除しましょう。antau^ ol la monatfino の ol も削除しなければなりません。antau^ は前置詞ですから antau^ la monatfino のように言うことはできますが,antau^ ol は従属接続詞として働くので節(主語+動詞)の前に使われます。次の例文で antau^ ol と antau^ の働きの違いを見てください。

参考:
(1) Lia patrino ellitig^as antau^ ol li ellitig^as.(彼の母親は彼が起床する前に起きます。)
(2) Lia patrino ellitig^as antau^ lia ellitig^o.(彼の母親は彼の起床前に起きます。)
(1)の文は文末の ellitig^as を省略して Lia patrino ellitig^as antau^ ol li と言うこともできます。このように主節(ここでは Lia patrino ellitig^as)と従属節(ここでは li ellitig^as)の動詞が同じ場合は,従属節のの動詞を省略することができます。

お送りください: Bonvolu sendi や Bonvole sendu または Sendu と言えばよいでしょう。al mi や al ni を付けるほうが正確な表現ですが,送り先が読み手に分かっている場合には省略してもよいでしょう。

訳例
Bonvolu sendi al ni vian manuskripton g^is la fino de c^i tiu monato.


課題文n-ro349 この入口は6時まで鍵をかけないでください。

解説
この入口は: 「入口」が「入ること専用」の場合なら,enirejo または eniro や enira pordo ですが,「出入口」という意味で使われている場合には pordo を使って言うことができます。pordo には「出入りするための開口部」という意味と「出入りするための開口部に付いている扉」という意味とがあります。

6時まで: g^is la sesa horo といいますが,sesa は 6-a または 6a と書くこともできますし,horo は省略することができます。「6時前には施錠しないように」という意味で antau^ を使っていうこともできますが,antau^ ol を使うのは誤りです。antau^ と antau^ ol の違いについては n-ro348 の解説をお読みください。『日エス辞典』の見出し語「-までに」には antau^ ol が出ていて,「メーデーまでに」の訳として antau^ ol la unua de majo が載っていますが,これは誤りですから antau^ ol の ol は消しておいてください。

鍵をかけないでください: Ne s^losu または丁寧な表現として Bonvolu ne s^losi あるいは Bonvole ne s^losu を使って言うことができます。Ne s^losu は「鍵をかけないでください」から「鍵をかけるな」までをカバーする表現です。mi petas を付けて丁寧さを表す人もいますが,peti は Plena Ilustrita Vortaro(PIV)では Sciigi al iu, ke oni deziras, ke li faru ion(してほしいことを相手がしてくれるように相手に告げる)と定義されているように,g^entileco(丁寧さ)を含んでいない表現として使われます。わたしが文通している Renato Corsetti(世界エスペラント協会会長)は, 最近のメールで Petu min ...(...のときはわたしに言ってください)と書いてきましたが,この Petu min は,もちろん「わたしにお願いしなさい」という意味ではありません。ただし,ヨーロッパでは民族語の影響で mi petas を Bonvolu と同じような丁寧表現として使う人もいるので,『エス日辞典』では mi petas を命令文に添えて丁寧さを表すと書かれていますが,PIVの定義通りに理解する人もいるので,丁寧さを表すときは Bonvolu を使って言うほうが無難です。Bonvole ne s^losu と Bonvolu ne s^losi は同じ意味で使われますが,Bonvolu ne s^losi と言うほうが普通と思ってよいでしょう。

訳例
Ne s^losu c^i tiun pordon g^is la sesa.


課題文n-ro350 10時までにここに来てください。そうでないと,最終のバスに乗れません。

課題文n-ro350 10時までにここに来てください。そうでないと,最終のバスに乗れません。

解説
10時までに: g^is la deka horo または antau^ la deka horo と言いますが,horo は省略することができます。「ある時刻までに」を表すときは,g^is を使っても antau^ を使っても同じですが,「来週の日曜日までに」などのように,「〜までに」という〜のところが一瞬ではなく,時間の長さを持っている場合には,n-ro348の解説で述べたように,g^is と anatau^ が同じではなくなるで注意してください。(n-ro348の解説はバックナンバーでお読みください。)

ここに来てください: venu c^i tien または bonvolu veni c^i tien と言います。al c^i tie の al 〜は「〜のほうへ」というのが本来の意味ですが,文脈によっては「〜へ」という到達の意味に理解されます。ただし,「ここに来てください」は,venu al c^i tie と言わずに venu c^i tien と言うのが普通です。

そうでないと: au^ または alie や se ne を使って言います。いずれも意味は同じですが,書くときは au^ と alie は前の文にコンマを付けて続けるのに対して,se ne は前の文をピリオドで切って,その後に別の文として書くのが普通です。au^ と alie と違って se ne は後にコンマを付けます。

参考:
Ekiru tuj, au^ vi malfruos.
Ekiru tuj, alie vi malfruos.
Ekiru tuj. Se ne, vi malfruos.
(いずれも意味は「すぐ行きなさい。そうでないと遅れるよ」)

最終のバスに乗れません: vi ne povos preni la lastan au^tobuson, vi maltrafos la lastan au^tobuson などのように言えばよいでしょう。au^tobuso は buso とも言います。日本語の「乗る」は,「(バスや電車などに)乗り込む」という意味もありますが,ここでは「(目的地まで)乗って行く」という意味ですから,enbusig^i(バスに乗り込む)や envagonig^i(鉄道の車両に乗り込む)ではなく,preni を使って言いましょう。課題文では「乗れません」という否定文ですから,ne povos preni となります。これから起こることについて言っているのですから,povas や povus ではなく povos と言いましょう。「乗れません」は「乗り遅れる」という意味の maltrafos や mistrafos を使って言うこともできます。
「最終のバス」は la lasta au^tobuso または la lasta buso と言いますが,ここでは preni や maltrafi の目的語になるので,対格にして -n を付けます。この lasta は「いちばん遅い」という意味で,比較級も最上級もない形容詞ですから,la plej lasta のように plej を付けることはありません。 lasta のところに fina を使うのはよくありません。fina の対語は komenca(始めの)ですが,「最終バス」の対語「始発バス」は komenca buso ではなく,lasta の対語 unua を使って la unua buso と言います。ヨーロッパのエスペランチストの中にも,la fina buso と言う人もいますが,la lasta buso と言うようお勧めします。buson la lastan という語順は韻文の中では可能ですが,日常の会話では使われないでしょう。perdi が maltrafi の意味で使われることはありません。la lasta buson の lasta は,うっかりミスでしょう。

訳例
Venu c^i tien g^is la deka, au^ vi maltrafos la lastan buson.