課題文n-ro421 今月12日に中国で発生した大地震で,数万人が亡くなりました。

解説
今月12日に: en la 12-a de c^i tiu monato, la 12-an de c^i tiu monato などのように言います。12-a のハイフンは付けない人もいます。c^i tiu の代わりに c^i を使うのは詩などの中で音節の数合わせや韻律の必要上からの場合を除いては,乱用しないほうがよいでしょう。c^i-manata(今月の), c^i-monate(今月は)などのように,接頭辞として使われることは,よく見られますが,c^i-monatoのように使うことは普通ありません。je la dekdua は誤りです。序数詞の前に je を置くのは時刻を表すときで,日付は en を使って言うか,-n を付けて表します。la dek dua は la dekduan とします。基数詞の 12 は dek du と2語に書きますが,序数詞は dekdua と1語に書きます。

中国で発生した大地震で: pro la tertremego okazinta en C^inio のように言えばよいでしょう。「大地震」は la granda tertremo, la fortega tertremo, la intensa sismo も使えますが,sismo は地質学の用語です。この tertremego には冠詞を付けます。これが Antau^ tri semajnoj okazis fortega tertremo en C^inio(3週間前,中国で大地震が発生した)と言う文であれば,tertremo は無冠詞になりますが,ここでは「今月12日に中国で発生した」と言う修飾語句で限定されている tertremego ですから冠詞を付けます。okazinta は kiu okazis としても同じですが,okazigita, naskita を使うのは誤りです。pro の代わりに de を使って言うこともできますが,por を使うのは誤りです。「中国で」を c^e C^inio と言うのはよくありません。c^e には en la lando de と言う意味があるので,c^e ni(私たちの国では)のように言うことはありますが,国名の前に c^e を置くことはしないのが普通です。

数万人: dekmiloj da homoj と言います。kelkaj dekmiloj da homoj とも言えますが,この kelkaj は省略されることがあります。kelkaj dekmil homoj, dekmiloj de homoj, kelke da dek mil popoloj, kelkdek mil da homoj は誤りです。

大きな概数の表しかたをいくつか挙げておきます。
kelkaj miloj da, kelke da miloj da(数千の), multaj miloj da(何千もの), deko da miloj da(一万くらいの), dekkelke da miloj da(一万数千の), kelkdeko da miloj(数万の), centoj da miloj da, kelkcento da miloj da(何十万もの), milmiloj da(数百万の), kelkcento da milionoj da(数億の), miloj da milionoj da(数十億の)。

聖書の中の用例を見てみましょう。(日本語は日本聖書協会の訳文による)
* miloj da miloj servis al Li, kaj dekmiloj da dekmiloj staris antau^ Li.
 彼に仕える者は千々,彼の前にはべる者は万々(ダニエル書,7:10)
* Vi vidas, frato, kiom da miloj da kredantoj estas el inter la Judoj
 兄弟よ, ご承知のように, ユダヤ人の中で信者になった者が, 数万にものぼっている(使徒行伝, 21:20)

訳例
Pro la tertremego okazinta en C^inio la 12-an de c^i tiu monato mortis dekmiloj da homoj.


課題文n-ro422 数万羽のフラミンゴが,いっせいに飛び立ちました。

解説
数万羽のフラミンゴ: dekmiloj da flamengoj, kelkaj dekmiloj da flamengoj, kelkdeko da miloj da flamengoj などのように言うことができます。kelkdeko は「数十」を表す名詞ですから,仮に50くらいとすると,その複数形 kelkdekoj を使った kelkdekoj da miloj は「二百数十万」を含む数を表すことになります。ただし,この kelkdekoj da miloj da の実際の用例は極めて少なく,わたしが見たのは Monato誌に出ていた Onidire tie jam vivas kelkdekoj da miloj da litovoj(そこにはすでに二百数十万のリトアニア人が暮らしていると言われています)とほか1例だけです。dekmiloj da の用例は数多く見られますから,「数万の」を表すにはこの表現を使うのが一般的と考えてよいでしょう。du dekoj da(20の)と言うことはできますが,これを1語にした dudeko は,単数形で 20 を表します。(dudeko は両手の指と両足の指を数えた二十進法の名残です。複数形にすると,百以上の数を含むことになります。)
「フラミンゴ」は flamingo ではなく flamengo と言います。英語では flamingo ですが,エスペラントではポルトガル語と同じ flamengo です。語源的には flamo(炎)と関係があります。これは羽の色から来ているのですが,同じ鳥を指す fenikoptero は fenikso(フェニックス,五,六百年ごとに一度,自ら香木を積み重ねて火をつけて焼死し,その灰の中から再び幼鳥となって現れると言う霊鳥)と,「羽根」を表すギリシャ語の ptero から成り立っています。ptero は helikoptero にも入っていますね。heliko は helico(らせん,螺旋)と同じ語源で「カタツムリ」のことです。la dekmiloj da のように冠詞を付けるのはよくありません。

いっせいに: samtempe または c^iuj kune を使って言うのがよいでしょう。samtempe は「ある動作を同時に(する)」と言う時間的な表現で,c^iuj kune は「みんなが一緒に」と言う行為のあらわれ方を表現すると言う違いがありますが,ここではどちらも使えます。samtempe, c^iuj kune の位置は ekflugis の前でも後ろでもかまいませんが,文末に置いたほうが強調になります。

飛び立ちました: ekflugis がよいでしょう。deflugis は「水面から」と言うような副詞句を伴う場合には, deflugis de la akvosurfaco(水面から飛び立ちました)と言うことができます。forflugis は「飛び去る」 と言う意味ですから,飛び立つ瞬間の有様を言っているこの課題文の場合には,ekflugis を使うほうがぴったりします。時系列的に言えば ekflugis kaj forflugis(飛び立って飛び去った)となるでしょう。

訳例
Dekmiloj da flamengoj ekflugis samtempe.


課題文n-ro423 その集会には,数万人のキューバ人が参加しました。

解説
その集会には: en la kunveno または en la kolektig^o, en la mitingo が使えます。mitingo は「政治的な大集会」を指して使われる語です。kunsido は「会議」と言う意味に使うのがよいでしょう。冠詞の代わりに tiu を使って言うこともできますが,c^i tiu は「この」と言う意味ですから,ここでは不適当です。

数万人のキューバ人が: dekmiloj da kubanoj または kelkaj dekmiloj da kubanoj と言います。kelkdekmiloj は誤りです。「キューバ人」は,英語では Cuban と書きますが,エスペラントでは小文字で kubano と書くのが普通です。

参加しました: partoprenis を使って言うのがよいでしょう。c^eestis も使えますが,alig^is は別の意味で使われます。

参考:
alig^i al kongreso(大会に参加申し込みをする)
partopreni en kongreso(大会に参加する)

なお,この文の語順は訳例に挙げたようにするのがよいでしょう。日本語は「は」と「が」を使い分けることによって,力点をしめすことがありますが,エスペラントではそれが語順で表されることがあります。

比較:
Karlo alvenas c^i tien c^iusabate.(Karloは毎週土曜日にここへやってきます。)
C^iusabate c^i tien alvenas Karlo.(Karloが毎週土曜日にここへやってきます=毎週土曜日にここへやってくるのはKarloです。)

訳例
En la kunveno partoprenis dekmiloj da kubanoj.


課題文n-ro424 わたしは長い間,あなたを訪ねたいと思っていましたが,やっとその願いがかないそうです。

解説
長い間,あなたを訪ねたいと思っていました: 「長い間,思っていました」と言う文は, dum longa tempo mi deziris または longan tempon mi deziris, longatempe mi volis などのように言うことができますが,動詞を現在形にすると,delonge, jam delonge(もうずっと前から)を使って (jam) delonge mi deziras のような表現を使って言うことができます。
では,ここでは現在形の deziras, volas を使うべきか,過去形の deziris, volis を使うべきかと言う問題になりますが,結論を言えば,ここでは現在形を使うべきであって,過去形を使うのはよくありません。これはアスペクト(相)の問題なのですが,線動詞の過去形は「以前はそうであったが,いまはそうではない」ことを暗示します。例えば Mi amis lin と言うのは,Mi ne plu amas lin(わたしはもう彼を愛していない)と言うのと同じ意味になります。点動詞の場合は,例えば Mi enamig^is al li(わたしは彼との恋に落ちた)と言う表現は,過去のあるときの行為について述べているだけであって,現在の状態については何も述べていないので,「いまも愛している」と言う状態も含んでいるのに対して,Mi amis lin は「いまも愛している」ことを否定していると言う違いがあります。ami を使って「いまも愛している」ことを表すには, Mi lin amis kaj amas と言わなければなりません。
課題文の「思っていました」と言う日本語から,deziris, volis としたくなりますが,上にのべたような理由で,-as の形を使わなければなりません。日本語では,形の上では過去形であっても,内容はそうでない場合があります。例えば,「マサオに会ったらよろしく言っておいてね」の「会った」などもその例です。エスペラントで言うときは,日本語の形ではなく,意味をしっかり理解して,内容を正確に伝えるようにしましょう。
deziri, voli は「〜したいと思う」と言う意味ですから,「思っていました」を mi pensas, ke mi volas と言うのは誤りです。esperi も使えますが,deziri, voli に比べるとかなり消極的な表現になりますし,形の上では ke節(ke+主語+動詞)の動詞が,deziri, voli が -u, esperi が -os と言う違いがあります。また,deziri -i, voli -i の形はありますが,esperi -i と言う用法はありません。

が: ここでは順接の「が」ですから kaj を使って言います。sed を使うのは誤りです。「順接」と「逆接」については,バックナンバーのn-ro406の解説をお読みください。kaj 以下では主語が変わるので,kaj の前にはコンマを付けるのがよいでしょう。

やっと: fine, finfine などを使って言えばよいでしょう。apenau^ は,ここでは不適当です。

比較:
Masao apenau^ sukcesis en la ekzameno. マサオは, (合格点すれすれで)やっと合格した。
Masao finfine sukcesis en la ekzameno. マサオは, (何度か落第した後)やっと合格した。

その願いがかないそうです: vers^ajne la deziro realig^os finfine などのように言うことができます。vers^ajne が付いていない訳が大部分を占めましたが,「かないそうです」と言う,確定的な表現を避けた原文の感じを伝えるには,やはり付けておくべきでしょう。

訳例
Jam delonge mi deziras viziti vin, kaj vers^ajne la deziro realig^os finfine.


題文n-ro425 この新聞のここを切り抜いてください。

解説
この新聞のここを: c^i tiun lokon(または c^i tiun parton) de c^i tiu j^urnalo と言えばよいでしょう。この de については,下でもういちどとりあげますが,これを en とするのはよくありません。c^i tiu と tiu c^i は意味の上ではまったく同じですが,発音するときのリズムが,c^i tiu は「弱強弱」,tiu c^i は「強弱弱」と言う違いがあります。どちらを使うかは好みによりますが,エスペラントのアクセントは単語の終わりから2番目にあるので,1語のように発音される c^i tiu と tiu c^i とでは,「弱強弱」と発音される c^i tiu のほうが,エスペラントのリズムに合っていると言うことができます。La Nova Plena Ilustrita Vortaro de Esperanto は c^i の項に, 注として pro belsoneco ordinare estas preferinde starigi la c^i antau^ la montra vorto(c^i は普通は指示語の前に置くのがきれいに聞こえるので望ましい)と言うザメンホフの言葉を載せています。

切り抜いてください: Bonvolu eltranc^i または Bonvolu eltondi, あるいは相手によっては Eltranc^u または Eltondu と言います。-u は「〜しろ」,「〜しなさい」から「〜してください」までを含む表現ですが,文末に mi petas を付けると威圧的な命令口調を和らげることができます。会社などで上司が部下に Bonvolu kopii la dokumentojn と言うのは丁寧過ぎますが,Kopiu la dokumentojn, mi petas は「この書類コピー頼むよ」くらいに当たる表現と言えるでしょう。eltondi は per tondilo と言う意味を含んでいますが,はさみを手にしている人に Bonvolu eltranc^i のように eltranc^i を使って言ってもおかしくありません。
eltranc^i c^i tien のように言うことはできません。c^i tien は「ここへ」と言う意味の副詞です。

この文は de c^i tiu j^urnalo より el c^i tiu j^urnalo とするほうが,自然な場合があります。それはこの修飾句が c^i tiu lokon(parton) でなく,eltranc^i, eltondi に掛かっているようにも取れるからです。つまり,この文は「この新聞のここを切り抜いてください」と言う意味だけでなく,「この新聞からここを切り抜いてください」と言う構文で言うこともできるからです。この修飾句を文頭に置く場合には,De c^i tiu j^urnalo ではなく,El c^i tiu j^urnalo としないと不自然な文になります。

訳例
Bonvolu eltondi c^i tiun lokon el c^i tiu j^urnalo.


課題文n-ro426 わたしは彼にその新聞を見せながら,「どこを切り抜きましょうか」と聞きました。

解説
彼にその新聞を見せながら: montrante al li la j^urnalon のように言えばよいでしょう。al li は j^urnalon の後に置くこともできます。「ある行為をしながら」は -ante を使って言います。-inte は「ある行為をし終わってから」を表すので,montrinte は「見せてから,見せる行為を終わってから」を意味します。「その新聞を」「その」を c^i tiun と言うのは不自然ですから, tiun または冠詞を付けて言いましょう。

どこを切り抜きましょうか: 話した言葉をそのまま書くとき(直接話法)は," "に入れるなどして Kiun parton(lokon) mi eltranc^u(eltondu)? のように言えばよいでしょう。el c^i tiu j^urnalo を入れれば正確な表現になりますが,新聞を見せながらの発話ですから, j^urnalo を省略して el c^i tiu と言ってもよいし,あるいはこの el c^i tiu も省略できます。間接話法の場合は el c^i tiu j^urnalo の代わりに el g^i が使えますが,直接話法で el g^i を使うのはよくありません。
話し手が聞き手に「(わたしが)〜しましょうか」と申し出るのは, c^u mi -u の形を使いますが,ここでは Kiun で始まる疑問文なので c^u が消えて,Kiun parton(lokon) mi eltranc^u(eltondu)と言います。この -u を -os とすると,「わたしは〜するでしょうか」と言う,まるで聞き手に話し手の行動を予測させるクイズの問題のような意味になります。
Kiun lokon vi deziras eltondi? は「あなたはどこを切り抜きたいのですか」という質問になります。Kiun parton vi volas, ke mi eltranc^os? は eltranc^os を eltranc^u にすれば「あなたはわたしにどこを切り抜いてほしいのですか」と言う意味の正しい文になります。

と聞きました: mi demandis lin と言います。demandis al li でも通じますが,demandi は直接目的語を取る他動詞ですから,demandi iun が正しい用法です。これは動詞一般について言えることですが,最初におぼえるときに 「demandi=尋ねる」ではなく demandi iun の形でおぼえるとよいでしょう。また,エスペラントの物語や小説などを音読する習慣を身につけておくと,このような基本的な表現は何度も出てくるので,エスペラントの語感が身について,demandi lin が口をついて出てくるようになります。

なお,日本語では「彼にその新聞を見せながら彼に聞きました」のように「彼」を繰り返すことはしないで,「彼にその新聞を見せながら聞きました」と言うのが普通ですが,エスペラントでは montrante al li ..., mi demandis lin のように言うほうが普通です。これは,例えば「彼はポケットから何かを取り出した」を Li elprenis ion el sia pos^o のように言うのと同じです。

訳例
Montrante al li la j^urnalon, mi demandis lin, "Kiun lokon el c^i tiu mi eltondu?"


課題文n-ro427 鞄をお持ちしましょうか。

解説
鞄を: valizo, kofro, teko, sako の訳語が寄せられました。『エスペラント日本語辞典』では,これらの語にそれぞれ「旅行かばん,スーツケース,トランク」,「旅行用大かばん,トランク」,「手さげかばん,書類入れ」,「袋,バッグ」と言う訳語が与えられています。この訳語でそれぞれの語の差異がおおよそ分かりますが,Praktika Bildvortaro de Esperanto や Esperanta Bildvortaro も役に立ちます。前者は Oxford University Press が出版した英語版の bildvortaro をエスペラントに訳した辞典,後者は Duden の bildvortaro(ドイツ語版)をエスペラントに訳した辞典です。これらの語には vian を付けましょう。状況によっては la を付けて言うこともできます。

お持ちしましょうか: C^u mi portu ...? と言うのが一般的です。Lasu al mi porti ...(わたしに持たせてください) とか C^u mi helpu vin porti ...?(運ぶのを手伝いましょうか)などのように言ってもよいでしょう。C^u mi povas porti ...? は「わたしが持ってもいいですか」と言う意味です。C^u mi portas ...? は「わたしは持っていますか」と言う意味の表現ですから,ここでは使えません。

訳例
C^u mi portu vian valizon?


課題文n-ro428 このふたつのトランクは,マサオに運んでもらいましょう。

解説
このふたつのトランクは: ここでは構文上「このふたつのトランクを」と変えて c^i tiujn du kofrojn と言うのがよいでしょう。あまり大きくないトランクであれば,valizojn を使って言うこともできます。c^i-du のようには言いません。発音のルールに従って c^i にアクセントを置いて発音されれば,聞いても何のことか分からないでしょう。c^i tiujn du kofrojn はトランクを指さしながら言う表現ですが,このトランクのことが話題になっているとき,例えば誰に運んでもらおうかと話し合っているときなら,指で指し示さないで la du kofrojn と言うでしょう。なお日本語では話し手の位置に接していない物でも手を伸ばして指さしながら,「この」と言う指示語が使えますが,エスペラントで c^i tiuj を使うのは,手に持っているか,あるいは身に着けていたり,足もとに置いてある物を指して使われるので,日本語で「この」と言う場合でも,それが足もとから離れておれば,エスペラントでは tiuj が使われることがあります。

マサオに運んでもらいましょう: Masao portu と言うのが簡潔な表現です。Ni lasu al Masao porti, Ni igu Masao-n porti のように言うこともできますが,主語(Masao)を入れないで,Portigu や Lasu と言うと意味が変わります。-u の形の動詞に主語が付いていないときは,vi が省略されているのですから,Portigu や Lasu は聞き手に対して「運ばせなさい,運んでもらいなさい」と指示していることになって,「運んでもらいましょう」と言う課題文の意味からは離れています。Masao portos は「マサオが運んでくれます」と言う意味ですから,ここではこの言い方もよくありません。

訳例
Masao portu c^i tiujn du kofrojn.


課題文n-ro429 あのふたつのトランクは,誰に運んでもらいましょう。

解説
あのふたつのトランクは: ここでは構文上「あのふたつのトランクを」として tiujn du kofrojn と言うのがよいでしょう。あまり大きくないトランクなら valizojn を使って言うこともできます。

誰に運んでもらいましょう: Kiu portu と言うのが簡潔な表現です。ひとりでふたつ持てないくらい大きなトランクの場合には,Kiuj portu と言うでしょう。Al kiu ni lasu porti と言うこともできます。前回の解説の中で述べましたが,-u の形の動詞に主語が付いていないときは,vi が省略されているのですから,Al kiu portigu は「(あなたは)誰に運ばせますか」と言う意味になります。Kiu portos は「誰が運んでくれますか」と言う意味ですし,Kiun ni petos porti は「わたしたちは誰に運んでくださいと頼むでしょうか」と言う意味です。

訳例
Kiu portu tiujn du kofrojn?


課題文n-ro430 最初の10行を誰に訳してもらいましょうか。

解説
最初の10行を: la unuajn dek liniojn と言います。la dek unuajn liniojn は誤りとは言えませんが,unuajn を先に置くほうが普通です。la komencajn dek liniojn と言うこともできます。komenca と unua は同じように使われることもありますが,次のような場合には komenca を使って言うほうが一般的です。

参考:
C^u vi skribas majuskle la komencan lieteron de "esperantisto"?(あなたは esperantisto の最初の文字を大文字で書きますか)

unua は序数詞ですが,形容詞と同じように変化するので,複数形対格の名詞(ここでは liniojn)を修飾するときは,それに揃えて unuajn としなければなりません。序数詞には冠詞を付けるのが普通です。(ただし,「第三者」のように特定のひとりを指さない語の場合は,無冠詞の tria persono と言います。)

誰に訳してもらいましょうか: Kiu traduku と言うのがよいでしょう。Al kiu ni petu traduki は peti が他動詞ですから,Kiun ni petu traduki としましょう。「ある人に頼む」は peti al iu ではなく, peti iun と覚えておきましょう。ただし,名詞形の peto は al を使って peto al iu(ある人への依頼)と言います。Kiu volas traduki は「訳したいのは誰ですか」と言う意味ですから,ここでは不適当です。

訳例
Kiu traduku la unuajn dek liniojn?