課題文n-ro451 その衝突の衝撃で,Helena は数十秒間気を失いました。

解説
その衝突の衝撃で: pro la impulso de la kolizio といえばよいでしょう。pro は kau^ze de としても同じですし,kolizio は kunfrapig^o に置き換えることができます。impulso は de la kolizio(kunfrapig^o)で限定されているので,冠詞を付けます。

Helena は気を失いました: Helena perdis la konscion といいます。la konscion は sian konscion としても同じですが,何も付けずに perdi konscion とするのはよくありません。冠詞は mia, via, lia, s^ia ...などの代わりに, 身体の部分や身につけている衣服などを表す名詞に付けますが,この「身体の部分」には「意識,思想,感情」など無形のものも含まれます。冠詞についての詳しい解説は「入門講座」の「冠詞」の項をご参照ください。
「気を失う」は sveni や senkonsciig^i を使っていうこともできます。sveni は自動詞で点動詞ですから svenig^i や esti svenanta の形は使われないのが普通です。esti mortanta(死にかけている)という表現があります。morti は点動詞ですから,この形はおかしいように見えますが,この mortanta は「瀕死の」という形容詞であると考えれば納得できますね。

数十秒間: perdis, senkonsciig^is, svenis はいずれも点動詞ですから,時間の長さを表すときは por を使っていいますが,estis senkonscia(意識を失っていた)とともに使うときは dum を使います。(dum と por については,ここをクリックして解説をお読みください。) 「数十秒」は kelkdek sekundoj のほか dekoj da sekundoj という表現もできます。線動詞の継続時間を表すのは dum, 点動詞とともに使うときは por という使い分けは,なれてしまえばなんでもないのですが,例えば,dum dek sekundoj も por dek sekundoj も dek sekundojn という形で言い換えることができるので,dum か por に迷ったときは,このように対格(-n)を使っていうことができます。ただし,この講座では作文の練習ですから,なるべく dum または por を使って,その用法になれるようにしてほしいと思います。

訳例
Pro la impulso de la kolizio Helena perdis la konscion por kelkdek sekundoj.


課題文n-ro452 わたしはしばらく目を閉じて,気を静めました。

解説
わたしは気を静めました: mi trankviligis min, mi trankviligis la koron などのようにいうことができます。la koron は mian koron ということもできます。koron の代わりに menson を使うのはよくありません。koro は「感情の宿るところ」ですが,menso は「精神作用のうちの考える部分」で,肉体,感覚に対して,知性,判断力,思考力を指す語です。「静める」は kvietigi や luli, mildigi を使っていうこともできます。
しばらく目を閉じて: Mi fermis la okulojn por iom da tempo kaj または Ferminte la okulojn por iom da tempo のようにいえばよいでしょう。「しばらく」は por kelkaj momentoj, por kelke da momentoj, por momentoj, por ioma tempo, por mallonga tempo, por kelka tempo などのようにいうことができます。por kelkaj tempoj のようにはいいません。fermi は点動詞ですから,前置詞は dum ではなく por を使っていいましょう。『エスペラント日本語辞典』の por の項の説明に「予定の期間」と書かれているので,por はあらかじめ想定された時間を指して使うと思っていたと書かれていた方がありましたが,下に挙げた例文からみても分かるように,por は「予定の期間」だけに使われるのではありません。

参考:
s^i por kelke da minutoj enpensig^is(彼女はしばらく考え込みました)
(ザメンホフ訳: Marta, p.35)

ザメンホフの文章では,「点動詞+por」「線動詞+dum」という用法が厳格に守られていますし,多くの優れたエスペランチストもこの用法を踏襲していますが,ヨーロッパのエスペランチストの中にも,ときどき por, dum の用法に混同が見られます。
fermante は「目を閉じるという動作を始めたが,まだ閉じ終わっていない」ことを表す表現ですから,ここでは ferminte を使っていいます。fermite を使うのは誤りです。
「目を閉じて」は,状態を表す前置詞 kun を使って,kun fermitaj okuloj または kun la okuloj fermitaj を使っていうこともできます。fermitaj okuloj は無冠詞で,la okuloj fermitaj には冠詞が付いているという違いは,文法の問題ではなく文体的なものですから,絶対的なものではありません。

訳例
Ferminte la okulojn por iom da tempo, mi trankviligis min.
Mi fermis la okulojn por iom da tempo kaj min trankviligis.


課題文n-ro453 わたしは,ゆうべは8時間以上寝ました。

解説
ゆうべは: 日本語の「ゆうべ」には,いくつかの意味がありますが,ここでは「きのうの夜」という意味で使われているのですから,en la lasta nokto, la lastan nokton, lastnokte などのようにいうことができます。夜の12時までに就寝すると,睡眠時間はきのうの夜からきょうの夜明けまでのふつかにわたるので,hierau^ を使うことにためらわれた方もおられましたが,hierau^ nokte は「きのう就寝してからきょうの夜明けまで」を指す日本語の「昨夜,昨晩」と同じように使われます。ekde hierau^ nokte al hodiau^ matene という表現は誤りではありませんが,この課題文のような場合には使われない表現といってよいでしょう。hierau^ vespere を使うのはよくありません。どんなに遅い時刻でも,就寝するまでの時間は vespero ですから,ここでは nokto, nokte を使っていわなければなりません。

8時間以上寝ました: dormis dum pli ol ok horoj または dormis pli ol ok horojn といいます。「8時間以上」は8時間を含んでいますが,pli ol ok horoj は「8時間より長い時間(8時間を含まない)」ですから,厳密にいえば,pli ol ok horoj と「8時間以上」とは同じ時間の長さを指していません。そのため,ne malpli ol 8 horoj を使った訳がありましたが,日常語としての「8時間以上」は pli ol ok horoj で十分です。ただし,「〜以上」をいつも pli ol 〜 訳すと間違いになる場合があるので,注意が必要です。例えば,「5人以上の会員で支部をつくることができる」という文は,5人で支部をつくることができる,ということをいっているのですが,この「5人以上」を pli ol kvin と訳すと,5人では支部をつくることができない(最低6人は必要)という意味になってしまいます。こういう場合は,pli ol kvin inkluzive または ne malpli ol kvin と訳さなければなりません。dormi は線動詞ですから,por ではなく dum を使っていいます。
この「寝ました」は 「眠りました」という意味ですから,dormis を使っていいます。kus^is(横たわっていた), endormig^is(寝ついた), enlitig^is(ベッドに入った) を使うのは誤りです。なお,endormig^i, enlitig^i は点動詞ですから,dum といっしょに使われることはありません。

訳例
Lastnokte mi dormis dum pli ol ok horoj.


課題文n-ro454 この部屋には,日光は半時間しか差し込みません。

解説
この部屋には: ここでは「差し込む」という動詞とともに使うので, en c^i tiun c^ambron のように -n を付けた形でいうのがよいでしょう。ただし,「(日光が)差し込む」という表現でなく,「(日が)当たっている」という意味で estas を使ったときには, en c^i tiu c^ambro の形を取ります。日本語では「この部屋には」の後に読点が入っていますが,エスペラントで En c^i tiun c^ambron の後にコンマを入れるのはよくありません。エスペラントでは,時間や場所を表す副詞句,例えば Hierau^ nokte(昨夜は)とか,En la Eu^ropaj landoj(ヨーロッパの国々では)などの後にはコンマを付けません。

日光: la radioj de la suno, la sunradioj, la sunlumo, la sunbrilo などのようにいえばよいでしょう。radio は複数形で使うのが普通です。lumo, brilo は radio の集りをいうので,単数形で使います。la suno も「日光」の意味で使われることがあります。

半時間しか差し込みません: la radioj de la suno, la sunradioj を主語にする場合は,「差し込む」には penetri を使っていうのが,いちばんぴったりした表現ですが,enradii, radii, enveni も使えます。eniri はこの部屋の中での会話としては不自然ですが,例えば,不動産屋の事務所での会話とすれば,不自然ではありません。la suno lumas c^i tiu c^ambro の lumas は「〜を照らす」という他動詞ですから,目的語の c^i tiu c^ambro は c^i tiun c^ambron としなければなりません。(lumi には「光っている」という意味もあって,そのときは自動詞として機能します)
「半時間」は duonhoro ですが,ここでは「半時間という時間の継続」をいっているのですから,dum duonhoro または por duonhoro といいます。dum, por の使い分けは動詞が線動詞であるか,点動詞であるかによって決まります。penetri は点動詞,radii, enradii は線動詞です。duonhoron の形にすれば,どちらの動詞の場合にも使えます。duon horo と2語に書いたり,duono horo と書くのは誤りです。ここでは「半時間しか」となっているので,nur を付けていいますが,語順は por nur, dum nur または nur por, nur dum のどちらも可能です。

訳例
En c^i tiun c^ambron la sunradioj penetras nur por duonhoro.


課題文n-ro455 「先月は何日働きましたか」「半月くらいです」

解説
先月は: en la lasta monato, la lastan monaton, lastamonate のようにいいます。lasta monato, lastan monaton には冠詞を付けましょう。lastmonate は stm と子音が続いて発音しにくいので,lastamonate というのが普通です。en la lastamonate は誤りです。lastamonate は副詞で,冠詞は副詞に付きません。ただし,例えば Mi ellitig^as plej frue en mia familio(わたしは家族の中でいちばん早く起きます)というような場合に,民族語の影響で plej frue を la plej frue という人もいますが,これは文法的には誤りですから,「副詞には冠詞を付けない」とおぼえておくのがよいでしょう。

何日: Kiom da tagoj で「何日間」という意味を表します。iom, kiom, neniom, tiom は,主格(-n の付いていない形)と対格(-n が付いてる形)が同じですが,この Kiom da tagoj は対格で,Dum kiom da tagoj と同じ働きをしているのです。labori は線動詞ですから,行為の継続時間を表す前置詞には dum を使っていいます。por を使うのはよくありません。kiom tagoj, kiomaj tagoj は誤りです。「何日もぶっ続けで働いたわけではないので、dum はおかしいかなと思いました」と書かれた方がおられましたが,例えば,日本語の「毎日8時間働く」というのが,8時間続けて働くことを意味するのではなく,休憩時間をはさんで働くことを意味するように,labori dum ok horoj c^iutage の dum ok horoj も同じように,休憩時間をはさんで働くことを表すことができますし,labori dum duonmonato も可能な表現です。

働きましたか: vi laboris を使っていいます。

半月くらいです: Dum c^irkau^ duonmonato または C^irkau^ duonmonaton といえばよいでしょう。日本語では「間」という語を入れないで答えてもおかしくはありませんが,エスペラントでは dum を付けるか,または,duonmonaton のように対格にしなければなりません。この答えは Mi laboris dum c^irkau^ duonmonato または Mi laboris c^irkau^ duonmonaton の Mi laboris を省略した言いかたです。一般的にいって,答えは質問の形に合わせた形にするのがよいでしょう。

参考:
"C^u vi sendis la leteron per ekspresa pos^to?"(「手紙は速達で送りましたか」)
"Ne. Per normala pos^to." (「いいえ,普通郵便にしました」)

"Je kioma horo vi ellitig^as c^iumatene?"(「毎朝何時に起きますか」)
"Je la sesa."(「6時です」)

訳例
"Kiom da tagoj vi laboris en la lasta monato?"
"C^irkau^ duonmonaton."


課題文n-ro456 今夜は7時までに帰ってきてください。

解説
今夜は: hodiau^ vespere, c^i-vespere, c^i tiun vesperon, en la hodiau^a vespero などのようにいうことができます。c^i-nokte や hodiau^ nokte などのようにいうのはよくありません。vespero は本来 tago と nokto の間の薄暗い時間帯を指す語ですが,実際の用法では,人が起きている時間は遅い時刻でも nokto ではなく vespero といいます。

7時までに: g^is la sepa horo ですが,horo は会話ではたいてい省略されます。「7時前に」という意味の antau^ la sepa も使えますが,antau^ ol la sepa は誤りです。『日エス辞典』の見出し語「-までに」には antau^ ol が載っていて,antau^ ol la unua de majo という例文が出ていますが,これは誤りで antau^ la unua de majo としなければなりません。antau^ ol は下の用例のように 節(主語+動詞),または不定形の動詞の前に使われます。ただし,不定形の動詞を使うことができるのは,文の主語と不定形の動詞の意味上の主語が同じ場合に限られます。下に挙げた例文の enlitig^i の主語は明示されていませんが,文の主語である mi がenlitig^i の意味上の主語です。

参考:
Mi apenau^ povis envagonig^i antau^ ol la pordo fermis.(ドアが閉まる前にかろうじて乗車できました)
Mi trinkas glason da akvo antau^ ol enlitig^i.(私は寝る前にコップいっぱいの水か湯を飲みます)

この課題文の場合は,g^is を使っても antau^ を使っても同じですが,対象となる語が長い時間を表す場合には g^is と antau^ では意味が違うので注意することが必要です。例えば Redonu la libron(本を返してください)に続けて g^is la monatfino(月末までに)といわれたら,2月なら28日中に本を返せばよいのですが,antau^ la monatfino(月末前に)といわれたら,遅くとも27日中に返さなければなりません。

帰ってきてください: revenu または bonvolu reveni を使っていいます。mi petas を付けていうこともできます。hejmen を付けることもできますが,家から出かける人にいうときは hejmen は不要です。

訳例
Revenu g^is la sepa c^i-vespere.


課題文n-ro457 お願いしたいことがあるので,今夜8時ごろお邪魔したいのですが,よろしいでしょうか。

解説
お願いしたいことがあるので: 寄せられた訳文の大部分では,c^ar mi havas peton al vi または類似の表現が使われていました。文法上の問題はまったくありませんが,エスペラントではこういう場合,下の訳例で2番目に挙げた文のように,c^ar を使わないでふたつの文にしていうことがよくあります。日本語でいえば「今夜8時ごろお邪魔したいのですが,よろしいでしょうか。実はお願いしたいことがありまして」という感じの表現です。また,訳例の1番目に挙げたように kun peto を使っていえば,簡潔でスマートな表現になります。
mi havas la peton のように冠詞を付けるのはよくありません。peti は mi petas al vi でなく,mi petas de vi とするのが普通ですが,mi havas peton de vi の de vi は al vi とするのがよいでしょう。

今夜8時ごろ: c^irkau^ la oka c^i-vespere というのがよいでしょう。c^irkau^ je la oka や je c^irkau^ la oka のように,je を入れるのはよくありません。

お邪魔したいのですが,よろしいでしょうか: c^u mi povus viziti vin という表現を使っていうのがよいでしょう。c^u mi povos ... という言い方もありますが,c^u mi povus ... は「したいのですが,よろしいでしょうか」と相手の許可や同意を求めるときの丁寧で控えめな表現です。darfas を使っていうのはよくありません。この語はドイツ語の durfen(uはウムラウト付き)から作られた語で,手もとの辞書では NEPIVAJ VORTOJ(A.Cherpillod, 1988)に載っているだけで,『日エス』にも載っていません。Krauseの『独エス』(1983) でも darfi は採用されておらず,esti permesata, havi permeson と訳されています。もしこの語を使って文を書けば,理解できない人が多いでしょう。
C^u mi povas viziti vin kun peto, c^irkau^ la oka ... のように,コンマを入れるのはよくありません。エスペラントのコンマの用法は,日本語の読点とは違うということに注意してください。

訳例
C^u mi povus viziti vin kun peto c^irkau^ la oka c^i-vespere?
C^u mi povus viziti vin c^irkau^ la oka c^i-vespere? Mi havas peton al vi.


課題文n-ro458 4月ごろ海外旅行をしたいと思っています。

解説
4月ごろ: c^irkau^ aprilo といいます。c^irkau^ en la aprilo はよくありません。エスペラントでは月(januaro など)や曜日(dimanc^o など)や季節(printempo など)には冠詞を付けません。ただし,修飾語を伴う場合には la venonta aprilo のように冠詞を付けていうのが普通です。c^irkau^ aprile の aprile は aprilo としましょう。aprile は en aprilo と同じ意味で使われますが,c^irkau^ en aprilo とはいわないのと同じで, c^irkau^ aprile とはいいません。「8時ごろ」は c^irkau^ je la oka といわないで c^irkau^ la oka というように,c^irkau^ のあとに en や je を入れることはない,とおぼえておきましょう。c^irukau^ はうっかりミスですね。

海外旅行をしたいと思っています: 「海外旅行をする」は「海外で旅行する」という意味にとれば vojag^i eksterlande といえますが,普通は「海外へ旅行する」という意味にとって vojag^i eksterlanden という表現をとります。vojag^i en aliaj landoj と vojag^i en aliajn landojn は「外国で旅行する」と「外国へ旅行する」との違いがあります。vojag^i en fremdlando は「見知らぬどこかの国で旅行する」ですが,en fremdlandon とすれば「見知らぬどこかの国へ」という意味になります。
「したいと思っています」は,mi volas, mi deziras というのが一般的ですが,mi planas, mi pensas, mi intencas を使っていうこともできます。deziri が「したい」という気持ちに重点を置いた表現であるのに対して,voli は「したい」という意志に重点を置いた表現です。plani は「具体的な計画を持つ」ことをいいます。pensi, intenci はどちらも「するつもりである」という意図を表す表現ですが,pensi の使い方には注意が必要です。pensi には mi pensas, ke 〜 のように使われる場合と,mi pensas 〜-i のように使われる場合とでは意味が違います。前者は「〜であると思う」という意味ですが,後者は「〜したいと思う」という意味を表します。
比較:
Mi pensas, ke mi povos reveni hejmen g^is la oka.(8時までに帰れると思う)
Mi pensas reveni hejmen g^is la oka.(8時までに帰りたいと思っている)

Mi volus という表現は,相手に何かを依頼するときの表現ですから,ここでは mi volas というのがよいでしょう。ただし,s^ati を使っていうときは Mi s^atus vojag^i(旅行したい)のように, -us の形がよく使われます。これは英語の I would like to の影響でしょう。

訳例
Mi volas vojag^i eksterlanden c^irkau^ aprilo.


課題文n-ro459 この部屋は午後5時までは無料で利用できます。

解説
この部屋: c^i tiu c^ambro または tiu c^i c^ambro ですが,「(午後5時までは)この部屋を(無料で利用できます)」 という構文にした場合は c^i tiun c^ambron または tiun c^i c^ambron という対格の形になります。

午後5時までは: g^is la kvina horo posttagmeze ですが,horo はたいてい省略されます。antau^ を使った訳が寄せられましたが,ここでは g^is を使いましょう。「5時までに帰ります」という場合には,Mi revenos g^is la kvina という代わりに Mi revenos antau^ la kvina(5時前に帰ります) といってもかまわないのは,例えば,5時半ごろに訪問客がある予定なので,その時間には在宅していなければならないという状況では,5時ぎりぎりに帰っても,5時前(5時より早い時刻)に帰っても差し支えないからです。しかし,この課題文の場合は,その部屋が5時ぎりぎりまで使えるのか,5時前に使用をやめなければならないのか,という違いが感じられるので,g^is を使っていうのがよいでしょう。
日本語では「まで」と「までに」とは同じではないので,例えば「10時までに起きる」を「10時まで起きる」とすると,意味の通らない文になってしまいます。ただし「10時まで起きている(10時まで就寝しない)」ということはできます。これは「までに」は点動詞とともに使われ,「まで」は線動詞とともに使われるという用法上の決まりがあるからです。このことは英語でも同じで until(まで)は線動詞とともに使われ, by(までに)は点動詞とともに使われるという区別があります。ところがエスペラントでは「まで」も「までに」も g^is で表しますから,エスペラント文を日本語に訳すときは,例えば ellitig^i g^is la sepa(7時までに起きる),dormi g^is la sepa(7時まで眠る)というように g^is を訳し分けなければなりません。

無料で利用できます: oni povas uzi senpage のようにいえばよいでしょう。状況によっては oni のかわりに ni, vi を使っていうことができます。c^ambro を主語にした場合は estas uzebla senpage または uzeblas senpage のような表現になります。senpage の位置は uzi, uzebla, uzeblas の前に置いても同じです。utiligi も使えますが,この語は「役立たせる」というのが本義ですから,例えば utiligi la sunon kiel la fonton de energio(太陽をエネルギー源として利用する)のように使うときにはぴったりの語です。「無料で」には senkoste も使えます。

訳例
Oni povas uzi c^i tiun c^ambron senpage g^is la kvina posttagmeze.
C^i tiu c^ambro estas uzebla senpage g^is la kvina posttagmeze.


課題文n-ro460 わたしの父は,高齢のせいでしょうか,朝たいへん早く目をさまします。

解説
高齢のせいでしょうか: 「高齢のせいで」というのであれば,pro maljuneco のようにいえばよいのですが,「高齢のせいでしょうか」というのは,「高齢のせい」と断定するのをためらう表現ですから,eble pro maljuneco または vers^ajne pro maljuneco などのようにいうのがよいでしょう。eble を使うと「高齢のせいかもしれないが,そうではなくてほかの原因があるのかもしれない(それぞれの確率は50%)」という意味になりますし,vers^ajne を使うと「確実に高齢のせいだとは言い切れないが,おそらく高齢のせいで」というような意味になります。eble, vers^ajne のところには supozeble や probable を使っていうこともできます。c^u pro maljuneco のように c^u pro を使った訳が,いくつか寄せられましたが,これは誤りです。c^u pro maljuneco, c^u pro cerba malsano(高齢のせいでしょうか,それとも脳の病気のせいでしょうか)のように,c^u ... c^u ... の形で使うことはできますが,c^u pro maljuneco のように c^u を単独で使うことはできません。c^u pro を使った訳がいくつもあったということは,もしかすると『日エス』の見出し語「−でしょう」の用例に「彼は病気ではないでしょうか」の訳として載っている Mi timas, c^u li estas malsana. からの類推ではないかと思われますが,この Mi timas, c^u ... は誤りです。timi に続く接続詞は c^u ではなく ke ですから,この文は Mi timas, ke li estas malsana. としなければなりません。「誤りのない辞書はない」といわれていますが,どんなに優れた辞書でも間違いはあるので,『日エス』で知った語句は『エス日』で調べてみましょう。

朝たいへん早く: tre frue en la mateno のようにいえばよいでしょう。en la mateno は matene を使っても意味は同じですが,tre frue matene よりも tre frue en la mateno のほうがスマートですね。mateno には冠詞を付けましょう。tre を tro とすると,「早すぎて困っている」というマイナスイメージを伴います。

目をさまします: vekig^as を使っていいます。ellitig^as は「起床する,床から起き上がる」という意味です。目をさましても床から起き上がらないことがありますから,ellitig^as はここでは不適当です。

訳例
Mia patro vekig^as tre frue en la mateno eble pro maljuneco.