課題文n-ro621 わたしは Karloは決して約束を破らない人だと信じています。

解説
わたしは信じています: mi kredas といえばよいでしょう。kredi は「証拠を求めないで,真実だと思う」という意味です。

Karloは決して約束を破らない人だ: Karlo neniam rompas sian promeson というのがよいでしょう。rompas を rompos とするのはよくありません。「あなたがこの約束を破らないことを信じます」というような一回きりの約束について述べるときは,Mi kredas, ke vi ne rompos c^i tiun promeson といいますが,「約束を破らない人だ」というのは,Karloの性質,人柄についての評価ですから -as を使っていわなければなりません。Karlo ne estas tia homo, kiu rompas sian promeson というのは誤りではありませんが,訳例のようにいうのが普通です。la ulo, kiu ... のように冠詞をつけるのは誤りです。「約束を破る」は rompi ies promeson といいます。detrui を使うのは誤りです。neniam の代わりに neniel を使うのはよくありません。neniel は「どうしても...ない,どんな風にしても...ない」という意味で,例えば Mi neniel povas solvi tiun matematikan problemon(どうしてもその数学の問題が解けない)のように使われます。

訳例
Mi kredas, ke Karlo neniam rompas sian promeson.


課題文n-ro622 あなたはタバコを吸わないという約束を守っていますか。

解説
あなたは(約束を)守っていますか: C^u vi tenas (vian promeson)というのがよいでしょう。『日本語エスペラント辞典』には obserbi, [gardi, teni] promeson が載っていますが,「約束を守る」というときは,teni を使っていうのがよいでしょう。PIV には respekti sian promeson という Kabe の用例が載っていますが,これはフランス語の影響を受けた表現ですから,teni sian promeson というのがよいでしょう。ただし,この課題文では sian promeson を vian promeson としなければなりません。vian の代わりに la を使うこともできます。

タバコを吸わないという約束を: vian promeson ne fumi というのが簡潔な表現です。 vian promeson, ke vi ne fumas ということもできますし,ne を強めて neniam ととすることもできます。fumi cigaredon の cigaredo は「紙巻タバコ」を指す語ですから,fumi の目的語には tabako を使っていうほうがよいのですが,fumi には「タバコを吸う」という意味があるので,fumi だけで十分です。

訳例
C^u vi tenas vian promeson ne fumi?


課題文n-ro623 結局,マサオは約束したその場所へは現れませんでした。

解説
結局: post c^io を使っていうのがよいでしょう。fine やその強調形である finfine を使った訳が多く寄せられましたが,fine, finfine は「最終的には,やっと」という意味ですから,Li fine venis(彼はやっとやってきました)というのはよいのですが,*Li fine ne venis*のようにはいわないのが普通です。

マサオは現れませんでした: Masao ne venis または Masao ne aperis のようにいえばよいでしょう。場所を表わす語の前に置く前置詞は venis を使うときは al ですが,aperis を使う場合は en や sur, c^e を使います。

約束したその場所: la rendevuejo というのが簡潔な表現です。「一人または二人以上の人と日時や場所を決めて会う約束」のことを rendevuo といいますが,その会う場所を rendevuejo といいます。rendevuejo は「会合の場所」という意味ても使われます。la loko, kie li promesis というと「彼が(何かを)約束した場所」という意味になって,「そこで会おうという場所」を指す意味にはなりません。la loko, kie li promesis rendevui min は la loko が promesi した場所なのか,それとも rendevui する場所なのかわかりません。つまり「約束をした場所」であるのか,それとも「会う場所」であるのかが不明です。la loko kien li promesis veni のようにいえば,kien が veni の目的地であることが明らかになります。la promesita loko もよくありません。この表現は la Promesita Lando (ヘブライ語聖書に記された、神がイスラエルの民に与えると約束した土地)を連想させ,「会う約束の場所」という意味には理解されません。

訳例
Post c^io Masao ne venis al la rendevuejo.


課題文n-ro624 結局,わたしの夢は実現しませんでした。

解説
結局: post c^io を使っていいましょう。finfine は前回の解説で述べたように,こういう文では適切ではありません。g^isfine もよくありません。この語は「最後まで,徹底的に」というような意味です。聖書に次のような用例があります。

Kaj c^irkau^is g^in la s^tonj^etistoj kaj g^isfine frapis g^in.(UReg^oj, 3:25)
石を投げる者がこれを囲んで撃ち滅ぼした。(日本聖書協会の訳文による。)

わたしの夢: mia revo を使います。song^o は「睡眠中に見る夢」を指します。ザメンホフには song^o を revo の意味に使った用例がありますが,これは今では arkaismo(古語)になっています。複数の「夢」についていうときは,miaj revoj となります。

実現しませんでした: ne realig^is, ne efektivig^is などを使っていいます。他動詞の realigi や efektivigi, plunumi を使っていうこともできますが,この場合は ne povis realigi(efektivigi, plenumi) mia(j)n revo(j)n のように povis を入れなければなりません。povis を入れないで ne realigis(efektivigis, plenumis) mia(j)n revo(j)n のようにlいうと,「(実現させたかったのだが)実現しなかった」のではなく,「自分の意思で実現させなかった」という意味に理解されます。

訳例
Post c^io mia revo ne realig^is.


課題文n-ro625 みなさんのご支援でこの計画は実現しました。 

解説
みなさんのご支援で: danke al via helpo などのよういえばよいでしょう。danke al は denk' al の形でも使われます。副詞である danke の -e を省略してapostrofo(')を付けるのは例外的な用法なので,そういう例外を嫌って dank' al は使わないという人もいますが,ザメンホフも dank' al を使っているので,この表現は例外的な慣用用法として定着しているといえるでしょう。helpo を複数形にした訳が多く寄せられましたが,helpo は抽象名詞なので,単数形で使いましょう。helpo の antonimo(対義語)である malhelpo は複数形を取ることができます。mi devis bataladi kotrau^ diversaj malhelpoj(わたしはさまざまな妨害に対して戦わなければなりませんでした) というザメンホフの用例があります。これは malhelpo には malhelpaj^o(障害物)という意味があって,可算名詞となっているからです。

この計画は実現しました: 「計画」には plano, projekto のどちらも同じように使われます。日本語のプロジェクトには「事業・研究などの計画」で使われるのが普通で,「わたしの今年の夏のプランは...」というようにいうことはできても,「わたしの今年の夏のプロジェクトは...」というようにはいわないのが普通ですが,エスペラントでは miaj projektoj por la somero ... のように projekto を使っていうことができます。

訳例
Danke al via helpo mi povis realigi c^i tiun projekton.


課題文n-ro626 途中でハガキを投函するのを忘れないでね。

解説
途中で: survoje といいますが,文頭に置くのはよくありません。Survoje ne forgedu ...と続けると,「途中で忘れてしまわないでね」という意味に取られかねないからです。ここでは enpos^tigi の前か文末に置くのがよいでしょう。sur voje は1語にしなければなりません。

ハガキを投函するのを忘れないでね: ne forgesu enpos^itigi la karton のようにいうのがよいでしょう。「ハガキ」は pos^tkarto ということもできますが,状況で分かっているときは karto だけで十分です。例えば,壁に掛かっている時計の前でその時計のことを話題にする場合には,la murhorlog^o(掛け時計) と言わないで la horlog^o というだけで十分である,ということと同じです。karto には冠詞を付けます。聞き手にはどのハガキを指しているのかが分かっているからですう。つまり,この冠詞は「さっきあなたに投函を頼んだときに渡した(ハガキ)」という情報を相手に伝えるために必須のものなのです。この冠詞がないと家のどこかに買い置いてあるハガキの一枚を指すことになってしまいます。 「...するのを忘れる」というのは forgesi ...-i の形で表わします。forgesi, ke ... が「...したことを忘れる,...であることを忘れる」という意味であることと一緒に覚えておきましょう。「投函する」は meti を使っていうこともできますが,*meti la pos^tkarton al pos^tkesto* ではなく,meti la pos^tkarton en pos^tkeston としましょう。meti の代わりに j^eti を使うのはよくありません。

訳例
Ne forgesu enpos^tigi la karton survoje.


課題文n-ro627 忘れないうちに Petroに電話しなさい。
解説
Petroに電話しなさい: telefonu al Petro といえばよいでしょう。

忘れないうちに: antau^ ol vi forgesos fari tion などのようにいえば正確な表現になりますが,ここでは antau^ ol vi forgesos または antau^ ol forgesi だけで十分です。forgesi はPIVや『エスペラント日本語辞典』では他動詞となっていますが,forgesi pri の形で自動詞として使われている用例も多く見られます。antau^ ol vi forgesos の代わりに dum vi memoras を使っていうことはできますが,dum vi ne forgesas は不自然な表現です。dum は線動詞とともに使われる前置詞ですから,点動詞である forgesi とともに使われることはありません。antau^ forgesi というのは誤りです。antau^ は名詞の前にしか置くことができませんから,動詞の不定形である forgesi の前に置くときは antau^ ol としなければなりません。

訳例
Telefonu al Petro antau^ ol vi forgesos fari tion.


課題文n-ro628 わたしの90歳になる祖父は,物忘れがひどくなりました。

解説
わたしの90歳になる祖父: mia nau^dekjara avo のようにいうことができます。nau^dekjara は 90-jara のように書くこともできますし,nau^dekjarag^a という言い方もあります。mia avo 90-jarag^a は mia 90-jara avo と同じですが,90-jarag^a の前後にコンマを置いて  mia avo, 90-jarag^a, というと,mia avo, kiu estas nau^dekjarag^a と同じ意味になって「わたしの祖父は90歳になるのですが」という日本語に近い表現になります。読む(話す)ときは,コンマのところで少し間を置きます。

物忘れがひどくなりました: farig^is tre forgesema または「物忘れがひどくなっている」という現在の状態に力点を置く estas tre forgesema のようにいうこともできます。tre の代わりに terure も使えます。この terure は ekstreme, eksterordinare という意味で,tre よりも強い表現になります。ege は treege(treの強調形)と同じ意味で使われますが,この語は場合によっては嫌悪感を含むニュアンスを感じさせるので,使うときは注意が必要です。

訳例
Mia nau^dekjara avo farig^is tre forgesema.


課題文n-ro629 わたしの母は80歳ですが,わたしの仕事を手伝ってくれます。
解説
わたしの母は80歳ですが: mia patrino, kiu estas 80-jarag^a, または mia patrino, 80-jarag^a, のようにいえばよいでしょう。80-jarag^a は okdekjarag^a と書くこともできますが,80-jarag^a のほうが読みやすいので,新聞や雑誌などでは算用数字を使う表示が好まれます。-jarag^a は -jara としてもここでは同じです。mia okdekjara patrino は「わたしの80歳の母は」と意味ですから,課題文とほぼ同じ情報を伝えますが,原文のニュアンスを伝えるには,訳例のようにいうのがよいでしょう。「ですが」の「が」はとくに訳さなくてもよいのですが,kvankam okdekjara(80歳であるにも拘わらず)のようにいうこともできます。この「が」を sed と訳すのはよくありません。「が」にはいろんな意味があります。お手もとの国語辞典でお調べください。

わたしの仕事を手伝ってくれます: helpas min en mia laboro というのがよいでしょう。helpas mian laboron とはいわないのが普通です。日本語の「手伝う」は「他人の仕事を助ける」(広辞苑)という意味で,対象は「仕事」ですが,helpi の対象は「人」であって「仕事」ではないので,helpi iun en io の形でおぼえておくのがよいでしょう。 「わたしの仕事」は mia laboro といいます。la laboro ということができるのは,聞き手が知っている仕事を指す場合に限ります。体の部分や身につけている衣服などを指すときは,mia, via, sia などの代わりに冠詞が使われることがありますが,それ以外の場合には mia などを冠詞に置き換えることはできません。

訳例
Mia patrino, okdekjarag^a, helpas min en mia laboro.


課題文n-ro630 あなたの仕事を手伝ったのは,誰と誰ですか。
解説
この文は「誰と誰があなたの仕事を手伝いましたか」と表現します。

誰と誰が: Kiuj といいます。Kiu kaj kiu といっても通じますが,いわばカタコトのエスペラントになります。

あなたの仕事を手伝いましたか: helpis vin en via laboro といいます。課題文のような質問は,ほかの話題について話しているときに,唐突に言い出されるのではなく,おそらく聞き手が携わっていた仕事の話をしているときの質問でしょうから,en via laboro は en la laboro ということもできます。しかし,mia, lia, sia などがいつも la と置き換えられるわけではないのは,前回の解説の中で述べた通りですから注意することが必要です。

訳例
Kiuj helpis vin en via laboro?