消費活動を通じた東日本大震災の被災地支援効果に関する産業連関分析

農業・食品産業技術総合研究機構 内田晋
豊橋技術科学大学 渋澤博幸
立正大学 櫻井一宏
和光大学 水野谷剛
筑波大学 徐峰
筑波大学 氷鉋揚四郎

このページは、上記表題で第25回環境研究発表会[(一社)環境情報科学センター主催・2011年11月30日]で発表した内容について、全体のデータを掲載したものです。

ここでは、東日本大震災の被災地を岩手・宮城・福島の3県とし、ある県である商品やサービスを購入した時に、被災地の生産がどれだけ増えるか、あるいは被災地の粗付加価値(大まかに、地元に落ちるお金、と考えてください)がどれだけ増えるか、という割合を算出したものです。

本サイトの計算には、「47都道府県多地域産業連関表」という、統計をもとに計算された表を使いました。詳しい方法は「環境情報科学論文集25」に掲載された、上と同じタイトルの論文の中に記してあります。
論文へのリンク

(1)消費によって増える被災地の生産額の比率(生産誘発係数) 都道府県・産業部門別

(2)消費によって増える被災地の粗付加価値(粗付加価値誘発係数) 都道府県・産業部門別

(3)生産誘発係数ランキング

(4)都道府県ごと・部門ごとに集計した平均値

注)このサイトの数字は震災前のデータを使った推計値です。実際には震災の被害により数値は変化すると考えられますが、詳細な調査に時間を要すること、公表は速い方が情報の価値が高いことなどを考え、今回はこのような推計値を用いました。また、電力のように流通形態が特殊(供給エリアが決まっている)なものについて、実態と異なる計算結果が出ている場合があります。


これらの結果から大まかに言えることとして、次のようなものがあります。
・当然のことながら被災地で消費活動を行うのが最も効果的だが、特にサービス業を利用するのが効果が大きい。
・効果の大きさについて、被災地3県が最も大きく、次いでそれ以外の東北地方(青森、秋田、山形)、さらにその他の県、という3段階に分かれた。
・被災地以外で間接的に支援する場合は食料品や工業製品など、製造業の効果が大きい。
・漁業や電気など、自県で生産が少なく、被災地で生産が盛んな産業の係数が大きくなる傾向にある。ただし、これは震災前のデータに基づいているため注意が必要。
・衣服(番号7)については、岩手や福島で買うより、茨城や栃木で買う方が効果が大きいという逆転現象が見られる。ただし、これは稀なケースである。