【アキのニューヨークお芝居観て歩記】

このコーナーはわたくしアキとペンギン(Penguin)へいらしゃったお客さんとの会話という設定の中で 私が観てきたミュージカルや映画などのお話をしてその内容をご紹介するというものです。
第1回の"Theter Playguide"は、【アキのニューヨークお芝居観て歩記】と題しまして、私アキとお客さんの"恵ちゃん"との会話です。 お楽しみ下さい。

恵ちゃんいらっしゃい
こんにちは
なんにしよう?
ハーパーの水割りを
早いものでもう12月よね
本当だね。 ところでさぁ、ニューヨークはどうだった? 芝居見てきたんでしょ? 何見てきたの?
初日が"RAGRIME"。 今年トニー賞獲ったやつね。 2日目の昼が"SWAN LAKE"、チャイコフスキーの"白鳥の湖"の現代版。 夜がアズナブールのコンサート。 3日目はハロルドプリンスの演出する新作"PARADE"。 これはプレビューの初日だったの。
3日で4本ね。 相変わらずハードだね。 それでどうだったの?
MUSICALが2本だったんだけどそれが人種問題を扱ってるのよ。 すごく難しくて何か気持ちが重くなっちゃったのね。 悪かったわけじゃなかったんだけど、アッシら評論家じゃないから細かいところまで見ないでしょ。 見終わったときにどう思うかなのね。 特に"PARADE"のほうは救いが無いというか、本当に重くなっちゃったわよ。
どんな内容なの、そのミュージカル。
アトランタで1913年に実際にあった少女のレイプ殺人事件の話しなんだけど、アッシら人種差別というと黒人に対する事を頭に浮かべるでしょ。 でもこれはジューリッシュ(ユダヤ人)に対するものなのね。 つまり犯人として逮捕されるのがユダヤ人なのね。 その後、彼の妻が無実を訴えつづけ州知事を動かして減刑されるんだけど、それに我慢できなかったのが南部のユダヤ人以外の人達なのね。 彼らがそのユダヤ人を刑務所から誘拐してリンチを加え木に吊るして殺しちゃうのよ。 本当に暗くて重くて。
へぇー。 本当だね。
そうなのよ。 でも、こういうのって歴史的背景を知らないと駄目よね。 つくづくそう思った。 アメリカの歴史とか勉強しとくとかね。
そういえばアキちゃん、アフリカ史だったよね。
そうなのよ。
音楽とかは?
1部では物語と同じく暗くてね。 休憩時間に何人帰っちゃうのかしらんと思ったけど、2部は聴かせる音楽に変わるの。 それがアッシにとってはちょっとやだったわ。 どっちにしたって暗くて重いんだからずっと暗いままでよかったんじゃないかなって。
でもそんなに暗かったらロングランは無理なんじゃないの?
そうなのよ。 だから最初から限定公演ってわけ。 最初は何でかなぁって思ってたけど観ててわかったわね。 限定公演の理由が。
今度はちゃんと勉強しとかなきゃね。
本当ね。 日本の芝居を観るときもそうしたほうが良いときもあるわよ。 良い勉強になったわ。
じゃあアキちゃん、また来るよ。
あっ、そう。 ありがとうね。 1200円です。
また今度、他の芝居の話しも聞かせてね。
わかったわ、ありがとう、いってらっしゃい。


"PARADE"は映画にもなった"ドライヴィング ミス デイジー"の作家、ALFRED UHRYの 新作です。 音楽は、これがブロードウェイのデビューとなるJASON ROBERT BROWN。 演出は "オペラ座の怪人"のHAROLD PRINCE。 65丁目にあるVIVIAN BEAUMONT劇場で12月17日、 本公演初日。 99年1月24日まで。 なお99年2月にUHRYのトニー賞、最優秀作品賞に輝く "バリフー最後の夜"の日本人キャストでの公演があります。