Jphn Pizzarelli

bossa nova


 ソメイヨシノは終わってしまったけれど、これからどんどん花が咲いて、正に春爛漫。 そんな今の季節にピッタリなアルバムを紹介しましょう。それがジョン・ピザレリの<ボサ・ノヴァ>です。

 彼を知らな方のために、少し彼を紹介してみましょう。アメリカはニュージャージー州で産声をあげた (1960年の4月6日生まれ、というから、ついこの前44歳を迎えたばかりですが)彼は、10代の時から彼の父親、 ギタリストのバッキー・ピザレリが出演していた二ューヨークの高級レストラン、カフェ・ピエールに父親と共演し、 1980年にその父のアルバム<2X7>でレコードデビューを果たします。そこで、 そこそこギタリスト兼ヴォーカリストとして評判を得ていた彼は、83年に自身のアルバム<アイム・ヒップ>を発表、 初めはあまり話題にはならなかったのですが、90年に発表した<マイ・ブルー・へヴン>が大ヒット。 日本でも初来日した91年を境に人気がうなぎ上り。ギターとピアノの違いはあるにせよ、ハリー・コニック・Jr を脅かす存在にまでなったのです。このコーナーでも紹介した事のあるローズマリー・クルーニーとの競作アルバム <ブラジル>で、ボサ・ノヴァは取り上げていますが、全編ボサ・ノヴァで通したアルバムはこれが初めて。 彼のブラジル音楽に対する熱い思いを感じさせてくれるのです。それでは、紹介していきましょう。

 アルバムのトップ#1は、皆さんお馴染み、ボサ・ノヴァが流行るきっかけを作った曲のひとつです。 上手くジャズのテイストも盛り込んでご機嫌なスタートになっています。ガーシュウィン作の#2。 ハリー・アレンのサックスもいい味を出してます。少しゆっくりなテンポで贈る#3。 ワンコーラス目をジョンが英語で、そして、ツーコーラス目をアントニオ・カルロス・ジョビンの孫、 ダニエル・ジョビンがポルトガル語で担当していて、大変興味深い録音になりました。 ボサ・ノヴァのリズムに乗せるとジェームス・テイラーの曲もこんな風になっちゃうんだなと改めて関心した#4。 バックのストリングスが心地よい#5。ジョンのギター弾き語りの#6。ジョンは、これがやりたかったのかも知れませんね。 スキャットで通す#7を聴いていると、ブラジルの田舎道を車で旅している様な気持ちになりませんか? 今やミュージカル界の巨匠になってしまったステファン・ソンドハイム。 その彼がウエストサイド物語りの作詞を担当してから数年後に作ったミュージカル<イブニング・プリムローズ>。 作品自体は失敗したけど、その中のこの#8だけは今も歌われ続けています。 とってもゆったりとした時間を感じる事ができますね。ジョンのオリジナル#9。 ちょっとコーヒーブレイクってな感じで爽やかな気分にさせてくれます。 ジャズヴォーカルの世界では、女性が歌う事の多かった#10。ネットリ感のあった女性陣の歌に比べて、 鼻歌的なさっぱり感があって、好感が持てます。ご機嫌なナンバー#11。ポルトガル語です。 最後に左右分かれて聞こえるスキャットもいいですね。 ジョンの弾き語りにかぶせたドン・セベスキーのアレンジが素晴らしい#12。 アルバム最後の#13は、再びジョンのオリジナルです。スキャットで通したこの曲は、 まるで前からあったボサ・ノヴァの曲の様ですね。この辺りにも、 彼がこのアルバムを作りたかった意思が表れているような気がします。

 如何でしたか?春の爽やかな一日を過ごす事が出来そうじゃないですかね。 気持ちがウキウキしてきました。アルバムの番号は、UCCT-1088(国内盤)、 CD-83591(輸入盤)で、テラークより出ています。ジャズヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。