モニカ・マンシーニほか

ULTIMATE MANCINI


 ヘンリー・マンシーニが亡くなってから早10年。今年で彼は、生誕80年を迎えました。そこで、 彼のトリビュート・アルバムが発売されました。彼の愛娘、モニカ・マンシーニをフューチヤーしたアルバム、 <アルティメイト・マンシーニ>がそのアルバムです。
 このコーナーでも、以前ヘンリー・マンシーニを特集したアルバムを紹介した事が二度ほどありました。 No.7では、今回もフューチヤーされているモニカ・マンシーニのデビュー作を、No.8では、オランダが誇る歌姫、 リタ・レイズを。しかし、もうそれは、5年以上前の事になってしまいました。そこで、 彼の生誕80年を記念して作られたこのアルバムを紹介する事にしたのです。
 今回は、アルティメイト・マンシーニ・オーケストラという70名ほどのオーケストラが新たに編成されて、 モニカ・マンシーニが約半分の曲で歌を披露していると言う物です。しかも、多くの曲が、 ヘンリー・マンシーニに依る編曲を使用している為に、以前紹介したモニカのデビュー作とは、 雰囲気も全く異なっていて、聴く側も新鮮な気持ちで聴く事ができるのです。

 ヘンリー・マンシーニは、映画音楽やテレビのテーマ曲で有名ですが、アカデミー賞に20回近く、 グラミー賞では70回以上もノミネートされているので、知らない人でも、聴いた事があるな、 と思う曲が何曲かはあるのではないでしょうか。今回フューチヤーされている彼の愛娘、モニカは、 1952年生まれで、1998年に<モニカ・マンシーニ>でデビュー。その後、2枚のアルバムを発表して、 今回が4作目になります。それでは紹介していきましょう。

 もう40年以上前に誕生したコメディー映画<ピンク・パンサー>。その主題曲としてあまりにも有名な#1。 ゲイリー・バートンのヴァイブ、ジョーイ・デフランセスコのオルガン、プラス・ジョンソンのサックスなど、 それぞれのソロも素晴らしいです。美しい曲ですが、聴くとすぐにサスペンス映画だなと判る#2。 このコーナーのNo.7で紹介した時に比べて、数段進歩したモニカの歌が光る#3。倦怠期を迎えた夫婦の姿が目に浮かぶ様です。 スティーヴィー・ワンダーがハーモニカで参加した#4。コーラスはTAKE6といった、とてもゴウジャスなナンバーとなりました。 でしゃばらないトム・スコットのサックスがモニカの歌を引き立てる#5。 私の好きな映画のベスト5にいつも入っている<酒とバラの日々>。悲劇的な話の内容とは全く違って美し過ぎるこの曲は、 その年のグラミーとアカデミーを合計4つも獲得する名曲となったのです。パトリック・ウィリアムズのアレンジもいいですね。 ヘンリー・マンシーニを一躍有名にしたTVシリーズ<ピーター・ガン>。そのテーマ曲#7。 今度は前面に出てきて吹きまくるトム・スコットのサックスが格好いいですね。#8は同じTVシリーズから生まれたヒット曲です。 モニカとデュエットしているのは、このコーナーでも紹介した事のあるケニー・ランキン。 二人のデュエットのなんて美しい事でしょう。ジョージ・ダーリングのアコースティックギターに寄り添うように歌うモニカ。 #9では爽やかな風を感じませんか?日本でも年末年始になると12時間ドラマというTV番組がありますが、 #10はアメリカの10時間ドラマのテーマ曲です。曲を聴く限りでは、西部の歴史物、と言った感じですが、 本当のところは分かりません。知っている方がいたら教えて下さいね。#10のTVドラマの中で使われた#11。 歌詞を聴いていると、ドラマのシーンが浮かびますね。雰囲気ががらっと変わって、 オルガンの奏でる音とオーケストラとのバランスがとても良い#12。声帯手術の失敗で、 今では歌えなくなったジュリー・アンドリュースの女スパイ役が格好良かった映画<ダーリング・リリー>。 ジョニー・マーサーの詞、マンシーニの曲、どちらもが大変美しく、ふ〜っと息を吐きたくなります。 #14〜#16は映画音楽のメドレーになっています。#14は1986年の映画<ザッツ・ライフ>で使われた曲ですが、 マイケル・ラングのピアノが大変素晴らしいですね。#15は、ジュリー・アンドリュースの男装がとても美しかった <ヴィクター・ヴィクトリア>から。アメリカでは大ヒットを記録して、アカデミーとゴールデン・グローブで ベスト・スコア賞を獲得しているのですが、日本では全くヒットしなかった映画です。でも、一度見て下さい。 とっても面白い映画です。後に、ジュリー主演でミュージカル版も作られました。モニカの歌もジュリーに負けずに素敵です。 10点満点の女性をテーマにした<テン>。#16は、その映画からのナンバーです。主演した10点満点女、 ボー・デレクは今、何処にいるのでしょうか。それにしても、マイケル・ラングのピアノの美しいこと。 70歳を越して、益々魅力の出てきているショーン・コネリー。彼の主演作<ザ・モーリー・マクガイア>。 その中で使われた#17。輸入盤は、ここまでです。日本盤のボーナストラック#18もまた大変美しい曲ですね。 1963年の映画<ソルジャー・イン・ザ・レイン>の主題歌です。

 如何でしたか?力が抜けて、リラックスできたのではないでしょうか?このアルバムのライナー・ノーツでは、 作曲家のジョン・ウィリアムズや、スティーリーダンのドナルド・フェイゲンも賛辞を寄せています。 本当にいい物は、誰がやっても、誰が聴いてもいい物なんですね。アルバムの番号は、VICP62611 でビクターより出ています。 サウンドトラックの作曲家のコーナーにいってみてください。