綾戸智絵

Time


 このコーナーのNo.6でも紹介した綾戸智絵。あの時は、 皆さんに是非聴いてもらいたいアーチストとしての紹介でしたが、 あれからみるみるスターダムに伸し上がり、今では、 コンサートチケット争奪戦の激しいこと、激しいこと。 メジャーデビューのあのアルバムから6年で、何とベストを入れたら 14枚目になる今回のアルバム<タイム>は、 更に大人の魅力が増した彼女を聴く事のできる素晴らしいアルバムになりました。
 最近、彼女のライブを聴きに行った方ならお解りでしょうが、少し、 はしゃぎ過ぎの感が否めないステージが多いですね。ファンも悪乗りというか、 必要以上のエールが多くて、一寸食傷気味です。が、製作されるアルバムは、 水準以上を保っていて安心はしていました。そして、最近、 彼女の伴奏を務めることが多くなった、ピアニストのジョン・ビーズリーが プロデュースとアレンジを手がけた前作から、アルバムの内容が更にアップ。 スウィングジャーナルも無視出来ない出来映えになっています。 それでは紹介していきましょう。

 ズシッっとした低音から入る#1。もうここで、今回のアルバムは何か違うな、 って感じるはずです。ボブ・シェパードのテナーサックスが大人の世界に誘いますね。 ドラムスとベースの変則リズムで始まる#2。このリズムがメチャクチャ格好いいんです。 途中から入ってくるホーンセクション、綾戸のスキャット、こんなのライブで聴きた〜い! って思わせる一曲ですね。 最初と最後に同じアレンジを持って来るというお洒落なアイディアの#3。 ちょっと大人の綾戸が聴こえます。#4には本当にストリングスが良くお似合いです。 シャーリー・ホーンをこのコーナーで紹介した時にも思ったのですが、とても美しいですね。 歌詞を変えたのと同じくらい豪華なサウンドがスゴイ#5。 少し長めの前奏が効果を上げている#6。優雅なダンスシーンが眼に浮かびますね。 「格好いい〜〜〜!」#7はその一言に尽きます。ドラムスのブラシ、綾戸の声、 ジョンのフェンダー、そしてホーンセクション。う〜む、涙が出るぅ。 プレスリーの曲もこんなになっちゃうの?って思う#8。 可愛らしいダイアナ・ロスの声とはまるで違う綾戸の声。#9ではとってもブルースしてます。 ライブで聴かせる歌とはまるで違ったアプローチを見せる#10。 ゆったりとした気持ちになれます。アルバムの最後、#11は、ボブ・ディランの名曲です。 テンポをぐっと落として、ヒーリング音楽を聴いているかのような前半。 でも、ちゃんとジャズしている後半。風が吹き去って行く様な最後のアレンジも素敵です。

 如何でしたか?大人のムードたっぷりな綾戸智絵を聴けたと思います。アルバムの番号は、 EWSA0098 で、イーストワークス(ewe)から出ています。 日本のジャズのコーナーに行ってみてください。