バンバンほかオムニバス

荒井由実作品集


 今年も2年に一度行われる、松任谷由実<SURF & SNOW 逗子マリーナコンサート>の季節がやってきました。 意外かも知れませんが、実はこの私、ユーミンの大ファン。しかし、それは、彼女のデビューから15年ほどの事。 最近は、作る曲もイマイチで、かつてのあの才能は何処へ行ったの?と思う今日この頃なんですが、それでも、 このコンサートは別物。葉山マリーナで行われていた頃より仕事やその他の事情で2度ほど行かなかっただけで、 あとは大学時代の興奮をそのままに、楽しんでいるのです。というのも、この逗子でのコンサートは、 アルバム主体のコンサートと違うからです。それは、かつての名曲をどんどん歌ってくれるのです。それに、 逗子という海辺で行われるという特別感。もう今から待ちどうしくて仕方ありません。
 先ほども言いましたように、最近のユーミンは、その作る楽曲に魅力がなくなり、 ビジュアル志向になってきたのが残念でならないのですが、荒井由実としてデビューした当時は、それこそ、 その溢れる才能に脱帽したものです。歌はお世辞にも上手とは言いがたいのですが、彼女が作る詩、 曲、共に素晴らしく、今でも、ユーミンはやっぱり荒井由実時代だな、と思っているのです。
 そんな荒井由実時代に、他のアーチストに提供した楽曲を集めたアルバムが今年の初めに発売されました。 それもオリジナル音源での発売だから、我々、学生時代からのユーミンファンにはたまらない企画です。 でも、紹介するのはどうかな?と思ったのですが、今の若い方たちにも聴いてもらいたくて、 敢えて紹介する事にしました。荒井由実時代を知らない人は、きっと新しいユーミンを発見する事でしょう。 それでは、紹介していきましょう。

 <心凍らせて>の高山厳が抜けて、これを最後にアーチスト活動を停止しようとしていたバンバンが1975年に発売した#1。 思わぬ大ヒットで活動を続ける事になった曲ですが、詩を読んでいるだけで、あの頃を想い出しノスタルジーに浸ってしまいます。 瀬尾一三の編曲も見事です。赤い鳥時代から山本潤子の声にはとても魅力を感じていたのですが、 その彼女の声の魅力が良く分かる#2。#3を聴いて、石川ひとみだと思った人は、リピートしてもう一度聴いてみて下さい。 そう、オリジナルはこの人、三木聖子なんです。当時、なんでこの曲がヒットしないのか、 学生同士でいろいろ話し合ったものです。まだまだあどけない頃のアグネス・チャン。彼女が歌っている姿が目に浮かぶ#4。 半年遅れて発売になったユーミンのアルバムでは、途中の台詞がカットされてたのですが、その理由が良くわかる#5。 岡崎友紀が言うからいいんですよね。初々しさを感じる#6。ちょっと大滝詠一の世界を感じる#7。 ユーミンがセルフカバーした時には、タイトル、歌詞あ変わっていましたね。ハイ・ファイ・セットで有名な#8ですが、 実は、#1のシングルB面に収められていたんですね。アレンジが違うだけで、 こんなにイメージが違う曲になるんだという見本みたいな曲でした。私の好きなユーミンの曲ベスト5に入る#9。 山本潤子の歌の上手さが光ります。決してユーミンの歌と聴き比べないで下さいね。現、井上陽水夫人の石川セリ。 とても美しい彼女ですが、どこか不安定な声がとても魅力的でした。その彼女の不思議な声の魅力を最発見する#10。 あの頃の太田裕美だったらシングルカットしても絶対にヒットしてただろうな、と思うほど、彼女にピッタリな#11。 このアルバムでの大発見。ライオンに噛まれた事で有名な(もちろん私世代には、子役時代から有名でしたが) 松島トモ子が1976年に出したアルバムに収められていた#12。こんなに歌えたんですね、彼女。ハモるわけでもなく、 ただ一緒に同じ旋律を歌っているこのデビッド&ミッシェルって誰?そんな疑問ばかりが頭に浮かんでしまう#13。 #14はハモリのお手本、ハイ・ファイ・セット。コーラスの楽しさが伝わってきます。ユーミンといえば、 ハイ・ファイ・セットと言われたくらい、ユーミンが作る作品は彼らに本当にあっていますね。再び登場の石川セリ。 #10と同じアルバム<ときどき私は・・・>に収録されていた#15。詩の内容が古き良き時代を感じます。 今ではケーナ奏者としても有名になった田中健。フォークソングが全盛だったのが分かる#16です。 ギターをアルぺジオで弾き語りしてみたくなりますね。#4のB面に収録されていた#17。 ぶりッ子している頃のアグネスが目に浮かびますね。#1の大ヒットの後に発売したバンバンの#18。 歌に勢いが感じられますね。そんなに重要な事ではないと思うのですが、歌詞カードの発売年が間違っていますね。 1975年2月ではなく、発売されたのは、1976年の2月です。あの頃だったらヒットしてもおかしくなかったと思う#19。 それにしても、かん せつかず っていうアーチスト、初めて聞く名前ですが、誰か知ってますか?このアルバムの最後は、 大御所、雪村いづみの#20です。ユーミンのファースト・アルバムのタイトルにもなった曲ですが、 雪村いづみの録音が1971年か2年。という事は、彼女は早くからユーミンの才能を認めていたという事ですね。 そういえば、昔、渋谷にあったライブハウス<ジャンジャン>で定期的に彼女が行っていたコンサートで、 ユーミンの曲を取り上げていた記憶があります。それにしても、やはり上手いです、歌が。 歌詞の内容が映像になって頭に浮かんできませんか?

 如何でしたか?ユーミンて並々ならぬ才能の持ち主だったって、改めて感じていただけたでしょうか?私も、 ノスタルジーに浸っているのではなくて、やっぱりユーミンは、荒井由実時代だな、って思いました。 アルバムの番号は、MHCL338 で、ソニー・ミュージックから出ています。J-POPの松任谷由実のコーナーか、 オムニバスのコーナーに行ってみて下さい。