ELIANE ELIAS〜イリアーヌ

Dreamer〜夢そよぐ風


 八月も半ばを過ぎると朝晩風が出てきて少し過ごし易くなりますが、 そんな時は夏の疲れを癒すには最高です。夕方、少し涼しく感じる風を受けなが疲れを癒してくれる、 とても素敵なアルバムが届きました。それが今回紹介するイリアーヌの<ドリーマー〜夢そよぐ風>です。

 彼女を知らない人の為に、少し彼女を紹介しておきましょう。ジャケットを見てもお分かりのように、 大変美人の彼女、イリアーヌは、1960年にブラジルはサンパウロに生まれました。 幼い頃より世界的に有名なジンボトリオのメンバー、アミルトン・ゴドイからピアノの指導を受けて、 その後、ヴィニシウス・ヂ・モライスのバンドに在籍。そして、渡仏しますが、そこで、 エディ・ゴメスに勧められて81年に二ューヨークに行きます。 フュージョン界ではとても有名なステップス・アヘッドに加入、そこでトランペットの ランディ・ブレッカーと知り合い結婚。88年からは、彼女名義でアルバムをコンスタントに 発表して今日に至っています。それでは紹介していきましょう。

 オスカー・カストロ・ネヴィスのギターに導かれて歌い出すイリアーヌ。 とても気だるい雰囲気が夏の終わりの夕暮れにピッタリの#1。バックに流れるストリングも良いですね。 飛びはねない程度に乗れる#2。う〜む、コーヒーが美味しそうです。 お決まりのストリングが抜群の効果を上げている#3。 常夏のリゾートでハンモックに揺られている気分がしませんか?彼女のオリジナル#4。 ダンナがしっかりサポートしていますが、バックボーカルの存在がやけに気になる一曲です。 オルガンがピアノに代わるとこうも違うのかな、と思わせた#5。思い切りテンポを落として挑戦した#6。 ちょっとウトウトしてきませんか?ピアニスト、イリアーヌとして認識できる#7。 ジョ二ー・ソマーズのアルバムを久しぶりに聴きたくなったのは私だけではないでしょうね。 タイトル曲にもなっている#8。アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲のひとつですが、 彼女の歌を聴いても、あのアフリカの草原を写したジャケットを想い出してしまいます。と言うより、 彼女の歌も、あのジャケットをイメージさせるのかもしれませんね。 このアルバム二つ目の彼女のオリジナル#9。コーヒーを飲み終わって、ほっと一息入れた感じです。 とてもいいです。ポルトガル語で歌われる#10。夕方からの行動を促してくれます。 アルバム最後の#11は、バカラック〜デイヴィッド〜ディオンヌのコンビで有名な曲。 ここでイリアーヌは歌を歌わず、彼女のピアノとマーク・ジョンソンのベース、それに、 ストリングスという構成で演奏していますが、それが最後の曲として大きな効果を上げています。 そろそろ陽も傾いて地平線の彼方に沈みそうな感じですね。

 如何でしたか?夏の疲れを癒してくれたでしょうか? 全体にストリングスの効果が目立たなかったけれども大きかったと言えるアルバムでした。 アルバムの番号は、Bluebird 82876-5335-2 (輸入盤)、BVCJ-31037 (国内盤)です。なお、 国内盤には、ボーナストラックとして、#12の<嘘をつかないで>が追加されています。 ジャズ・ヴォーカルのコーナーへ行ってみて下さい。